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異文化交流

「ー……ふぅ」

 コロニー内のカフェで軽めの軽食を済ませた俺は、適当に近場を歩き時間をつぶす事にした。

「ーじゃあ、お願いしますね」

「えぇ、任せて下さい」

 すると、近くのパークから凄い聞き覚えのある2つの声が聞こえて来た。…そして、少しして片方の人物はパークから出たのでー。

「ーおーいっ!ロランッ!」

「…っ!?オリバー兄さんっ!」

 声を掛けると、鍛え上げられたがっしりした体躯の『弟』…ロランはこちらに気付き駆け寄って来た。

「お疲れ様です、兄さん」

「まあ、『そんなに』疲れてないがな。…ところで、『お使い』を頼まれたのか?」

「…っ。良く分かりましたね。

 ええ。『単独』で動けるのは俺だけですから」

 予想を口にすると、彼は頷いた。

「お、流石『士官スクール』の生徒だな。

 …そうだ。俺も暇だから手伝うよ。

 ー『見た所』、かなり人数が居るんじゃないか?」

「…っ。…ホント、兄さんに隠し事は出来ないですね。

 …それじゃ、お願いします」

 俺は彼の持つ電子手帳を指差しながら、予想を口にした。当然、彼は驚き改めて頼んで来た。

「おぅ。…えっと、確かー」

 なので、俺は『下調べ』の情報を思い出しつつ左側を向いた。


「ーお、あったあった」

「…え」

 視線の先に、自販機の密集しているスペースが見えたので俺はそこに向かう。…だが、ロランは少し驚きながらついて来た。

「…もしかして、以前此処に来た事があるんですか?」

「いや?俺は後援会や君達と同じく、初見だよ。

 ーただ、事前に『下調べ』をしていただけの話しだ」

 向かう途中、彼はそんな事を聞いて来たので否定しつつ理由を答えた。

「…やっぱり、『プロ』は凄いなぁ。

 俺なんか、『とりあえず誰かに聞けば良いかな?』とか考えてました…」

 すると、ロランは凄く感心した。…その後、ちょっぴり反省した様子になる。

「まあ、完璧に『下調べ』するのも『それなりのスキル』が必要だからな。…そもそも、情報の『鮮度が落ちてる』なんて事もザラらしいし。

 そういう意味では、『現地』での情報収集も大事な事だぞ?」

「……」

 それを聞いて、ロランは反省モードを終了した。…そうこうしている内に、自販機スペースに着き『まとめ買い』用の自販機の前に立つ。


「…んで?何頼まれたんだ?」

「えっと…ー」

 彼は電子手帳を確認し、内容を告げて言った。

「ふむ。ティーが多いな(…あれ?)。…あ、ミールは…大丈夫そうだな」

 オーダーを聞き終えた途端、違和感を抱く。…だが、一旦スルーし多いモノから攻略する事にした。なので、一応おカネの確認をする。…まあ、案の定彼は『カード』を出した。

「はい。

 ー有難い事に、俺達『イデーヴェススクール』の地上警護をしてくれているオークレー准尉が『皆の分』出してくれました」

「…っ。そうだったのか」

 俺は、今初めて聞いた風を装いつつ決定ボタンを押した。…ふむ。たまたまどっかのグループ…それも、『女史のクルーの人』が警護をしているトコと合流したのか?

 なんとなく理由が分かったので、とりあえずまとめて出て来た商品を受け取り…恐らくは、『もう1つのチーム』が頼んだであろう『バラバラ』なオーダーを攻略する。


 ー…なんか、清涼飲料水が多いな。…まあ、ボランティアスタッフのほどんどはスクール生だから、不思議な事はないが。…というか、ロラン達がちょっと『背伸び』してる気がするんだよな。

 基本的に、自販機で扱ってるティーはお値打ち価格だし…後は、無意識に買いに行く人に配慮してる感がある。

『ボランティアスタッフ』とはいえまだまだ子供なんだし…それに、せっかくの『外旅行』なんだからもうちょい『楽しんで』欲しいかな~。


 そんな事を考えつつ、2回目のオーダーを終え商品を回収しする。

 …そしてー。

「ーさて、せっかくだから『お借したアレ』を使おうかな」

「…はい?…っ!?」

 俺は、ウォッチデバイスを操作し『オーダー』を出した。すると、数羽の『トリ』…小型『ファルコン』達がやって来たのでロランは驚愕する。

「…に、兄さん、これって……」

「ああ。

『キャプテン・プラトー』から『お借り』した、『小型物輸送チーム』さ。

 ーえっと…『オーダー』。『ドリンクをパークまで』」

『PYE!』

 俺が不慣れ感じでオーダーを出すと、『ファルコン』達は俺とロランの抱えるドリンクボトルをそれぞれ5個ずつフロートし、安定した飛行でパークに飛んで行った。

「…相変わらず、凄いパワーですよね……」

「…だな」

 ロランは唖然としながらそれを見ていたので、同調する。…まあ、最大で『大人2人』までいけるんだけどね。

 そして、俺と彼もパークに向かった。


『ーワッ!?ナ、ナニコレッ!?』

『エ、機械ノ鳥ッ!?…エ、エッ!?』

 すると、パークから『複数』のリアクションげ聞こえて来る。…ああ、『そういう事』か。

「ーっ!…えっと、もしかしてこの『トリ』達は『貴方』の?」

 そんな中、俺とロランもパークに入る。…すると、真っ先にミント准尉は俺に聞いて来る。

「(流石は軍の方。見事な聞き方だ。)

 ーいいえ。それらの『サポーター』は我々の『ボス』からお借りしたモノです。

 …あ、申し遅れました。私は、『プレシャス』所属のブライトとです」

「…っ。…ご丁寧にどうも。

 私は、第1独立遊撃部隊戦闘班所属のオークレー准尉であります」

「宜しくお願いします、准尉殿」

『ーPYE』

 お互いに、『初見』を装い挨拶するなかふと『ファルコン』達が鳴いた。

「…おっと、次の『オーダー』を出さないと。

 ーえっと、まずは『ティー』を頼んだ人は手を挙げてくれますか?」

 俺はさも今思い出したかのように呟き、ボランティアスタッフに聞いた。

「…あ、『私達』です」

『はーいっ!』

 すると、やっぱりフェンリーさん達イデーヴェススクール組が一斉に挙げた。

「分かりました。

 ー『オーダー』。『ティー系統を持っているモノは挙手している生徒の元へ』」

『PYE!』

 すると、『ファルコン』の一部がオーダー通りの行動を始めた。


「ーありがとうございます」

『…っ。ありがとうっ!』

 そして、どんどん配られて行くなかフェンリーさんも受け取るのだが…流石『未来のライトクルー』だけあって、運んでくれたサポーターに対し自然にお礼をした。

 それを見て、リコや他の生徒達も慌ててお礼を言った。

『ー………』

 尚、一連の流れを見ていた『第2グループ』…見た感じ『移民の子孫』っぽいボランティアスタッフ達はぽかんとしていた。

『ーPYE!』

「…良し。『第1グループ』は受け取り完了したようですね。

 ー『オーダー』。『まだドリンクボトルを持っているモノは自由に配布せよ』」

 そうこうしている内に第1陣はティーを配り終えたので、残りを配布するべく3回目のオーダーを出す。

『PYE!』

『ーワワッ!?』

『…スゴッ……』

 まあ、案の定彼らはまたビックリするのだがー。

「ー大丈夫ですよ。『そのコ達』は貴方達に、『絶対』に危害を加えたりしませんから」

 そんな彼らに、女史の戦闘クルーであるライムさんは落ち着かせた。

『エッ……』

『…ア、本当ダ……』

 それを聞いて、彼らは少し落ち着きそして自分達の前でホバリングしているサポーターを見て

 完全に冷静になった。

「あ、驚かせてしまいましたね…。

(ー驚いたな。…まだ顔合わせてそんなに経ってないだろうに、もう信頼を勝ち取ってるよ。

 いや、流石は女史のクルーってところか)」

 俺はちょっと申し訳ない感じを出す裏で、彼女の『コミュニケーション能力』に驚愕していた。


『ア、アリガトウゴザイマス…』

 そんなこんなで、彼らもオドオドしながらドリンクを受け取っていった。…すると、先程のイデーヴェス組のやり取りを見ていたおかげか彼らも受け取る際に、お礼を言っていた。

「…すみません。休憩中なのに、お手を煩せてしまいまして」

「大丈夫ですよ。…そもそも、『あまり疲れて』はいませんから」

 若干嬉しくなっていると、ミント准尉が申し訳なさそうにしていた。なので、俺は苦笑いを浮かべる。

「…そんな事は……。……ー」

「ー…っと。『オーダー終了』。

 …ところで、何でお2人のグループは一緒に行動を?」

 当然、准尉は否定して来るが人前故にそれだけに留めた。…なので、『ファルコン』達に解散のオーダーを出した後話題を切り替える。

「…っ。それは、『彼ら』から聞くとよいでしょう」

 すると、准尉はハッとした。…多分、『フェイク』だと気付いたようだ。そして、気持ちを切り替えイデーヴェス組の方を向いた。

「…もしかして、君達から言い出したのか?」

「正確には、『この方達』です」

 俺は、内心かなり驚きながらフェンリーさんに聞いた。そして、彼女やリコ達は横にずれる。

 ー当然、ティーを飲む『移民生徒』達が露になった。

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