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コンタクト

 ー……ん?

 夕餉を済ませ、あてがわれたルームでのんびりしていると『ミッションモード』でメールが来た。

 なので、直ぐさま確認する。…送り主は、女史だった。

『夜分遅くに申し訳ありません。…至急、お伝えしたい事がありますー』

 文面を読んでいくと、何故女史が『慌てている』が分かった。

 …まさか、『例のハッキング野郎』が彼女達に『チケット』を……ー。

 どう考えても、怪しさ満点の『チケット』に俺は少し考える。

 ーそして、少しして問題のメールを転送して欲しいと頼んだ。…何故だか分からないが、『そうした方が良いような』気がしたからだ。

 それから数分後。問題のメールが転送されて来た。

 俺はそれを、『カノープス』に転送する。…さて、『どうなるか』。

 すると、直後向こうからメールが来た。…多分、『ネズミ』の報告だろう。

『ー夜分遅くに失礼します。

 -ネズミ-達からの報告をお伝えします。…どうやら-彼ら-は……ー』

 ー…なっ!?マジか……。

 その内容は、『驚愕の事実』だった。…けれど、『リスクマネジメント』の観点から考えれば十分『理にかなって』いる。


『ーマスターにご報告します。

 先程転送されたメールの-判断-が終わりました。

 判定は、-白-です』

 いろいろと考え始めた矢先、今度は『メール』の判断結果が送られて来た。…つまり、少なくとも『トラップ』等は仕掛けられていないって事か。

 なので、とりあえず『中身』を確認するように伝える。…勿論、『チケット』が『正しい手段で得たモノ』かも確認して貰う。

『ーご報告します。

 -1件目-のメールは、-案内-です。…それも、彼女達だけでなくマスターにも宛てた文面になっています』

 数分後、船から連絡が来た。…うわ、『彼女達が俺に送る事』を想定してたのか。

 つくづく、『厄介な相手』だ。…まあ、少なくとも『敵』でないと分かっているのが救いだな。

『そして、-2件目-のチケットですが…。

 ー間違いなく、-正しい手段で得たモノ-です』

 そして、続きを読むと『断言』が帰って来た。…いや、分からんな。

『あれだけのウデ』を持っているなら、『どうにでも準備』が出来そうだが…何で、『正しい手段』で?

 その『判定』が、ますます俺を混乱させる。……そうだ、無駄かも知れないがー。

 ふと、『アプローチ』が浮かんだのでそれをオーダーしてみた。


『ー了解しました』

 すると、少し間をおいて返信が来る。…さすがに、ちょっと悩んだようだ。

 でも、最終的に俺の意識を尊重してくれたようだ。

 ーっ!

 それからさほど間を置かず、『仕事用』の端末が振動する。…やっぱり、『待って』やがったか。

『ー初めてまして、プラトー三世。

 きっと、連絡してくれると思っていました』

 内容を確認すると、案の定そんな文からメールは始まる。

『ー…今ごろ貴方は、-何故あんな事やこんな事-をしたのかと思っているでしょうか?

 …その理由は、-貴方のご想像の通り-です。

 つまり、-貴方達-に近付きたかったからです』

 ー…やっぱり。

 次に、『騒動』を起こした理由と今回のチケットの事に触れた。

『ー…どうですか?私の-アビリティ-は?

 …もしも、貴方が必要としてくれるのなら私は-貴方達の為-だけにこのアビリティを使うとお約束します』

 …うわ、『そう来た』か。

 そして、向こうは『アピール』をして来た。…正直、『リスク』がなぁ。

 だが、『拒否』するのも危険だ。…下手したら、恐ろしい『敵』になりかねない。


 ー…俺は少し悩んだ後、『コンタクト』を希望した。やっぱり、最後の決め手は自分の直感だろう。…勿論、女史にも『立ち会って』貰うつもりだ。

『ーああ、本当に嬉しいです。…ですが、何処でお会いしましょうか?

 今、-此処-はどこも不安ですし』

 すると、向こうは間髪入れずに返信して来た。…だが、問題点を指摘して来る。

 ー…冷静な部分もあるんだな。…そして、やっぱり『ナイヤチ』に居たか。

『相手』の意外な一面を見て、少し人物像を改める。…いや、もしかしたら『受け入れられたから』冷静になったのかもしれない。

 …しかし、どうするか。……まあ、とりあえずはー。

 とりあえず、一旦『保留』にする旨と『もしかしたらー』…とを伝えた。

『ーはい(^-^ゞ』

 その返信は、絵文字付きで返って来た。…うわ、ノリノリだなぁ。

 俺は、少し引きながら女史と老師(大将には後で船から送る事にして)にメールを送った。


 ーっ!こっちもレスポンス早…。

 それから本当に間を置かず、お2人から返信が返って来る。

『ー顔を合わせて話し合いがしたい』

 その内容は、まるで示し合わせたかのように同じだった。…だよなぁ。

 なんとなく分かっていたが、お2人はかなり難色を示しているようだ。まあ、『礼儀知らず』って部分が一番引っ掛かるのだろう。

 だがら、俺は翌日の『自由時間』を『ミーティング』の時間に充てる事にしてその旨を送信する。

『了解しました』

『分かった』

 すると、またもや素早い返信が来た。…はあ、忙しいな。

 俺はため息を吐き、とりあえず『使用許可』を得るべくルームを出る。

『ーでさぁ、そいつなんだけど…』

『…ん?』

 そして、師範クラスの居る上層に向かい始めると後ろから俺と同じ代理の人達の声が聞こえた。…なんか、チラホラと小規模コミュニティが出来上がってるなぁ。

 はあ、『ミッション』がなければ俺も『同門』の人達と親睦を深められたのにー。


「ーん?どした、オリバー?」

 そんな事を考えていると、最初に顔を合わせた先輩がこちらに気付いて近付いて来る。

「あ、こんばんは。

 …実は、ちょっと『祖父関係』で老師か師範達にお願いしたい事がありまして」

「…っ」

 俺は小声で事情を話すと、先輩は少し驚いた。

「…というか、師範クラスも関わっているのか……。…ちなみに、今は全員老師のお部屋で『祭』の打ち合わせ中だぞ」

「…そうですか。どのくらいで終わりそうですか?」

「…どうやら、かなり大事な用事のようだな。

 …だが、いつも就寝時間ギリギリまで行われているので終わった後に話しをするのは難しいだろうな。

 …っ、そうだ。グラディス師範代に伝言を頼んでおくと良いだろう」

「あ、なるほど。ありがとうございます」

「いや、大した事じゃないよ。

 …老師に釘を刺されているから、詳しくは聞かないが……。

 ー『無理はするなよ』?」

 すると、先輩はふとそんな事を言う。…多分、俺が演舞の練習以外で『労力』を使おうとしている事を察したのだろう。

「…(流石は、『先輩』だな。)肝に銘じておきます。おやすみなさい、先輩」

「ああ、お休み」

 俺はその忠告を有難く思いながら聞き入れ、先輩と分かれたー。


 ーその後、グラディス師範代に『伝言』を頼み俺はルームに戻る。…そして、俺のナイヤチ1日目は……ん?

 就寝の準備をしていると、仕事用の端末が再度振動した。

 ー………っ、え、マジ?

 素早く内容を確認すると、驚くべき内容が書かれていた。

『ーマスターに報告します。先程、キャプテン・ジュールより-私もナイヤチ方面に向かっているのでお2人と共に顔を合わせてミーティングがしたい-ご連絡がありました』

 …どうやら、大将が引率してくれていたメンバーの『ファインドポイント』の確認は終わったようだ。でも、何でナイヤチに?

 いろいろ気になる事はあるが、とりあえず『ミーティング』の事を伝えて貰う。

 …まあ、明日聞けば良いか。

 そして、船からのメールを確認した俺は今度こそ就寝の準備をするのだったー。

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