「…そして、もう1つは『今後の事』だ。

　ー実は、現在『彼』とマオ殿達『顔役』によって『敵の潜伏場所』の捜査がおこなわれている」

『…っ!?』

「…なんと、もうそこまで……」

「今頃は、『突入』している頃だろうな。

　…ただ、『彼』は『まだ気が抜けない』と言っていた」

『……？』

「…『襲撃者』を捕らえれば、万事解決なのでは？」

　当然、マスタークラスの面々はプラトーの『予想』に疑問を抱いた。

「…普通は、そうだろう。

　ーしかし、今回の件は間違いなく『異常』の部類になるだろう。…『彼』は、『今回の事件はかの悪名高い企業が裏で糸を引いている』と確信を持って言っていたのだから」

『……っ』

「…そんな……」

　彼らは、若干ざわついてしまう。

　ー…何故なら、かつてこの星系は『サーシェス』に『吸収』されかけた事があるのだ。

　そして、それには彼ら…『アーツの流派』が利用されかけたのだがそれを『初代』が未然に『万事解決』し、彼らの名誉と星系の平和を守ったのだ。

「ー…だから、『まだ何か』が起こるやも知れない。…事実、『あの時』も解決したと思ったその瞬間に『恐るべき一撃』を放たれかけたのだ。…あの時は、本当に『星』になる事を覚悟したな」

『………』

　彼らは、無言で頷いた。…恐らく、今でも時折『悪夢』を見ているのだろう。

「…とは言っても、我々はどう動いたら良いのでしょうか？

　少なくとも、『祭』が開催している時以外でしか身動きが取れないと思いますが…」

　そんな中、婦人は方針を尋ねた。…すると、カーファイは小型端末を取り出した。

「その点は心配ない。…『彼』は、我々に『どう動いて欲しい』かの要望を出してくれた。

　皆、端末を出してくれ」

『…っ』

　すると、全員素早く端末を取り出した。…そして、カーファイは全員の端末に『非常事態を想定したスケジュール』を転送した。

「ー…これは……」

『……』

　そして、彼らは直ぐに内容を読んでいく。…その内容に、彼らは目を見開いた。…どうやら、相当意外な内容のようだ。

「…ちなみに『彼』は、『これは皆さんにしかお願い出来ない事です。どうか、ご協力をお願いします』…と頭を下げて来た」

「…やれやれ。

　ー『助けてくれた大恩人』にそんな風に頼まれたのなら、一肌脱ぐしかありませんね」

『ああ…』

『…これも、-恩返し-だろう』

　すると、彼らは非常に真剣な様子で『協力』を快諾した。

「…それでは、各々がた。どうか、宜しくお願いする」

『了承した』

　最後に、カーファイは全員に頼み全員は強く頷いたのだったー。

　◯

　ーSide『プレシャス』

『ー中に居る者達に告ぐ！大人しく投降せよ！』

『ファイターエリア』の端にあるその旧市街地は、物々しい空気に包まれていた。

『とある建物』の周辺は、地上警備部隊の装甲車やヘリコプターによって包囲され降伏勧告

　が出されていた。…無論、周辺の住居や住民達は『前もって』ガードと避難が完了していた。

「ー…『反応』は無しか」

「…まあ、素直に応じる者達ではありませんからね」

「…では、『予定通り』ですね」

　当然、中からのリアクションはなくいよいよ『突入』となる。…それを見越して、マオ達『顔役』はシートから立ち上がり『ウサギ』のヘルメットを装着した。

『ー行くぞ』

『さあ、-お掃除-の時間ですよ』

『これより、-害獣駆除-を開始する』

　そして、別の『ウマ』に待機しているそれぞれのクルーに『開始』のオーダーを出した。

『押忍っ！』

『イエス・マムッ！』

『応っ！』

　クルー達はそれぞれ応じ、素早く『ウマ』を降車して行く。…最後に、マオ達が降りてクルー達の前に立った。

『ーこれが-最後の勧告-だっ！大人しく投降せよ！

　…っ！…仕方ない。これより、強制突入を開始する！』

　ちょうどその時、現場指揮管が『最後の警告』を出した。…だが、やはり中からのリアクションはなく現場指揮管は味方にも分かりやすい『合図』を出した。

『ー…では、-入り口-を開けよう』

　すると、ロイドは閉ざされた鋼鉄のゲートの前に立ち愛用のインパクトグローブを起動する。

『…-セーフティーモード-アンロック』

『ーブレイク・オン』

『セイッ！』

　そして、彼はグローブの『安全装着』を外し…あまたの害獣を『星』にしてきた一撃をゲートに打ち込んだ。

『ー…っ！』

　直後、ゲート全体は激しく振動した。…そして、少ししてゲートの真ん中にドデカい凹みが生まれる。

『トオッ！』

　彼は、間髪入れずに2発目を叩き込んだ。…すると、更に凹みは深くなり所々大きな亀裂も生まれる。

『フンッ！』

　そして、彼は最後の1発を叩き込む。…それから少しして、ゲートに大きな穴が形成された。

『ー突入ーーッ！』

『イエス・コマンダーッ！』

　直後、指揮官がオーダーを出し警備部隊と『プレシャス』の合同部隊は敷地内に突入していく。

『ーッ！総員、注意せよっ！

　左右の影に-襲撃者-が潜んでいるぞっ！』

『ーっ！』

　建物の中は、朝にも関わらず真っ暗だった。…すると、マオ達が装着する『ウサギ』が熱源を感知したので彼は全員に注意を出した。すると、合同部隊は足を止める。

『ー遠距離攻撃班、一斉掃射を開始せよっ！』

『了解！』

　直後、指揮官は素早くオーダーを出した。それに対しオーダーを受けたその部隊は迅速に部隊の最前列に出る。

『ーファイアッ！』

　そして、部隊員が大型のレーザーガンを構えたのを確認した部隊長は、オーダーを出す。

　ー直後、左右に大量のレーザーショットが放たれ…『爆発音』が聞こえた。

『ー…良し。-防御担当-は完全に機能停止したようです』

『…ですが、その後ろに居るロボット達は未だ健在のようですね』

『ー近接格闘班A・B、制圧せよっ！

　残るチームは、建物の制圧を継続せよっ！』

『了解！』

　クルーガー達がそう言った直後、指揮官はオーダーを出し指定された2つのチームが『トドメ』を差しに向かった。そして、マオ達のチームと遠距離班はそのまま奥に向かう。

『ー…ふむ。やはり、エレベーターは使えませんか』

　すると、ファーストフロアの最奥にはエレベーターがあった。…だが、案の定エレベーターのシステムは落とされていた。

『ーマダム。こっちに階段があります』

　直後、ジュール達は階段を見つけたようだ。…彼女がそちらを見るとドアが『消えていた』。

　恐らく、彼のチームの誰かがドアごとロックを壊したのだろう。

『ー…大将さん達が居て良かっですね』

『全くだ…』

　クルーガーとマオは、少し唖然としながら感想を口にする。

　そして、彼らは階段を駆け上がりセカンドフロアに突入。ものの数分で制圧した後、次のフロアに移動する。

　ーその後も、次々とフロアを制圧していき最後のフロアに到着したのだが彼らは直ぐには突入しなかった。

『ー…やれやれ、随分と-厳重-な事だ』

　さっきと同じように、ジュールのメンバーがドアを破壊しようとしたが彼はそれを止めた。

　ー…何故なら、『ウサギ』が『危険なトラップ』を発見したのだ。

　恐らく、強引に突破しようとすると『ドカン』となるのかも知れない。

『ーならば、-彼ら-の出番ですね』

　クルーガーはそう言って、自分のメンバーを見る。すると、直ぐに『バックパック』を装備したメンバーが彼女の元に駆け寄る。

　ーそして、2人のメンバーはバックパックから『イーグル』型のドローン…『WARP』を。残りはファングチルドレンを取り出した。

『ーワープゲート』

『PYE!』

　クルーガーがオーダーを出すと、『イーグル』達はドアの前に大きな『ワープホール』を形成する。

『ーッ！嘘だろっ!?』

『クソッ！やっぱり-プレシャス-が混じってやがったかっ！』

　直後、中に居た『サーシェスのメンバー』が慌てる様子が見えた。

『ファング、GO!』

『GYU!』

　勿論、クルーガーは間髪入れずに『トラ』達にオーダーを出し『トラ』達は一斉に中に突入した。

『ーいぎゃああああっ！』

『この…っ!?

　ぐわわあぁああーーーっ！』

　次の瞬間、中から絶叫が聞こえて来るのだったー。