目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

『夕方』-面会-

 ーそれから数10分後。『ファイターエリア』の2番目に広いブロックの中にある地上部隊基地に到着し、一旦少尉と分かれた俺は情報班が借りているルームにて『変装』した。

 そして、ランスター達と『見習い』が待つミーティングルームに向かった。

「ープラトーだ」

『あ、-ボス-。どうぞ』

 ルームのインターフォンを押すと、アイーシャが応答した。…その両隣には、イアンとスミルノフが映った。

「(…あれ?なんかー。)

 ーやあ、お疲れ様だ」

 そいつの表情は、やけに緊張しているように見えた。…その事に、若干の疑問を抱きつつ中にはいる。

「お疲れ様です」

「…お疲れ様です」

「ーっ、お、お疲れ様です」

 すると、ランスター達は既に立っていてお辞儀をしてくる。…だが、スミルノフは少し遅れて立ち上がりお辞儀をしてくる。

「(…今、顔をガン見して来たな。……え、えぇ~?)

 ーまあ、3人共座ってくれ」

 なんとなく、彼の『心情』を察した俺はちょっと困惑しつつ対面の椅子に座り3人に言う。

「はい、失礼します」

「…失礼します」

「……は、はい」


「ーでは、早速本題に入るとしよう」

 それを確認し、俺はモニターを起動した。すると、事前に情報班にセットして貰った『このエリアのマップ』が表示された。

「キミ(スミルノフ)のおかげで、潜伏していた『かのカンパニー』の私兵は今朝無事に捕獲出来た。…いや、『見事なウデ』だよ」

「…きょ、恐縮です」

 まず、前置きの意味で軽く『第1テスト』の事に触れる。…彼は、言葉通り恐縮していた。


 ー彼へ出した『テスト』。それは、サーシェスが『違法』に調べた『痕跡』を見つけ出す事だった。…まあ、『アタリ』はつけていたが流石に『確証を得る』必要なかったからな。

 そして、彼は見事非常に短い時間で『それ』…『残っているハズのない痕跡』を見つけ出したのだ。…いや、通りで『トゥルーチェイス』出来る訳だ。恐らくはー。


 内心でいろいろと考えつつ、俺はリモコンの赤いボタンを押す。…直後、マップの複数ポイントに赤いマーカーが付いた。

「ー…だが、非常に残念な事にまだ今回の事件は『終わって』はいない。

 それは、キミも良く知っているだろう」

「…っ。…やはり、ですか。」

 そこでようやく、彼は冷静になる。

「…今マーカーが付いた場所は、『脅迫されていた方々』の所有する建物だ。

 まあ、『連中』が拠点にしていた可能性があるので念のため調べている段階だが……『嫌な予感』がする」


 ー事実、カノープスとモーントの『チェックシステム』が『レッド判定』…すなわち『危険』だと告げている。

 故に、『連中』はまだ『何かとんでもない事』をしようとしていると断言出来るのだ。


「ー…『プレシャス』にも『此処』のエピソードがありましたが、『また似たような事』が起きるのですか?」

「「…っ!」」

 ふと、彼は『プレシャス』に触れた。…それを聞いたランスターは彼がファンである事に驚いていた。

「…(ああ、やっぱりか。…まあ、いろいろと納得ではある。)

 …随分と、愛読してくれているようだ」

「…ええ。特に『サーシェス』への数々のカウンターは、読んでいてとても『爽快』ですから」

 彼への理解が深まるなか、俺は少し嬉しくなってそう言った。…すると、彼は『素敵』な笑顔を浮かべて『好きなポイント』を上げる。

「(…うわ、『イイ笑顔』~。)

 ーっと、コースアウトしたな。…まあ、少なくとも『あれ以上』の事は覚悟しておいた方が良いだろう」

「「…っ」」

 彼の『笑顔』と発言に若干引いていたランスター達は気を引き締め直した。

「…だが、『その時』まで『何もしない』という事はあり得ない。

 ーそこで、君の出番だ」

「…っ!」

「…見て分かるように、『ポイント』は相当な数だ。

 このエリアを担当する現地当局や、私と行動を共にする遊撃部隊や『サポーター』達を足しても到底足りない。

 なので、キミには『危険なポイント』を割り出してもらいたい」

「『効率的に潰す』為ですね?」

 すると、彼はこちらの言わんとしている事を先んじて口にする。


「その通りだ。

 …もし、『全てのポイント』を割り出す事が出来たのなら次はいよいよ顔役達との『面接』だ。

 ーそれを突破出来た時、キミは正式に我々の『仲間』となる」

 俺は頷き、『合格条件』と『最後の関門』を口にした。…すると、彼はみるみる『やる気』になる。

「…分かりました。…必ずやご期待に添えてみせます」

「…では、宜しく頼む」

「…それでは、失礼します」

「「……」」

「…ああ、そうだ。

 ーランスター達は『個別』に話があるので残ってくれ」

 話は終わったので、彼は帰ろうとした。…その時、2人は『何か聞きたそうな』様子だったので引き留めた。

「「…っ。はい…ー」」

 そして、彼が一礼してルームを出て行った後第1通信ルーム…重要な通信を行うルームに向かう。

「ーキャプテン・プラトー。準備完了です」

「ありがとうございます。それでは、開始して下さい」

 ルームに入った直後、イリーナ班長が報告して来た。なので、俺達は椅子に座り班長にお願いする。

「了解ー」


『ーこんばんは、プラトー。…あら、今日は貴女達も一緒だったのね』

『こんばんは、プラトー』

『…まずは、お疲れと言っておこう』

 班長が頷いた直後、モニターにお三方の顔が表示された。…まず、マオ老師は全員に労いの言葉を掛けられた。

「…いやぁ、今日のお三方の『ご活躍』に比べれば我々など……」

「…ですね」

「…だね」

『そんな事はありませんわ。貴方達が裏でいろいろと動いてくれたからこそ、今日無事に-ボヤ-を収める事が出来たのです』

『ええ、間違いないですね』

『その通りだ』

 俺達が謙遜すると、女史は微笑みを浮かべながら称賛の言葉を口にした。すると、ジュール大将も老師も同意する。

「…あはは」

「「…どうも」」

『…だが、何度も言うように-まだ終わって-いない。

 ーそれで、-見習い-はどうだった?』

 3人で恐縮していると、老師は本題を切り出した。…そして、『彼』について聞いて来る。

「…まあ、見た目はホント『普通』の中性的な青年ですよ。

 ーそして、『熱狂的なファン』…という事も分かりました」

『…っ!?』

『…ほう』

『…なるほど……。…それで、やたらサーシェスに敵意を露にしているのか』

 すると、女史は驚き大将や老師は納得した。…いや、ホントに驚きだよな。


『…参りましたね。…-そんな人-を拒める訳がないではありませんか……』

 女史は、少し困ったように呟いた。…まあ、多分女史は『賛成派』になっただろう。

『……。…他に、気付いた事は?』

「…そうですね。

 ー…まだ、確証は得られていませんが多分彼の『情報収集の端末』は、『副産物』由来のモノでしょう」

「「ーふぇっ!?」」

『……薄々そんな気はしていましたが、やはりですか』

『…全く、恐るべき-強運-の持ち主だな。…どうしたものか』

『…はあ、困ったモノですねぇ』

 ランスター達とお三方は、真逆のリアクションをした。…そして、老師と大将もだんだん『賛成』に移っていく。

『…まあ、-是非-を問うのは後回しにしましょう。

 今は、無事-フェスティバル-の大成功に集中すべきですわ。……あ、そういえば1つ気になる事があるのですがー』

『ー…-見合い-の件だな?』

 そんな中、女史はふと『あの件』に触れた。…すると、老師はまた困った顔をした。


『ええ。…-貴方-は、何か聞いていたのかしら?』

「はい。

 実は、事前に『見合い』に参加するように頼まれまして。

 ー…どうやら、リーベルト若獅子頭は『私の事』を知りたいようです」

 女史の質問に、俺はしっかりと頷き彼女の口にした『理由』を述べた。

『……。…老師、マズくないですか?』

『…まあ、彼女は若手ながら相当の腕と-眼-を持っているからな。

 間違いなく-看破-されるだろう』

 すると、大将は若干焦りながら老師に問う。…まあ、当然老師は確信を持って言った。

『…一体、クロフォード女史とカーファイ老師は何故ー』

『ー…その答えは、直接本人達から聞くのがよかろう』

 やや困惑している女史に、老師はそんな事を言う。…直後、モニター内に『2つ枠』が追加された。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?