「ー…うわ、これはまた……」
もう間も無く『文化の銀河』に到着しようとしていた頃、『オメガデータベース』を見ていた俺は、『とあるニュース』を見つけて思わず呟いてしまう。
ーそのニュースは、つい先程企業コーナーで…しかも例のテレビ局が発表したモノだった。
そして、その内容に俺は唖然としてしまった。
まあ、正直『クイズ番組』だとは予想していた。…だが、優勝賞品が『あそこのリゾート』だとは流石に思わなかった。
「ー……」
俺は気を取り直し、ニュースを読んだ。…案の定、『2つのステージ』をクリアしないと本番には挑めないようだ。…多分、数を減らす為に物凄いシビアなチャレンジになるだろう。
そして、『1チーム最大6人』までエントリーが出来る。勿論、ソロでも挑戦可能だがチームだと『リーダー』さえクリアすればステージを突破出来る。…これはあくまで予想だが、主催者サイドとしては『なるべくチームで参加して欲しい』のだ。その方がより『面白く』なるだろうからな。
…後はー。
ーその後、俺はしっかりと『ルール』を確認しそれからそこのページを船のデータバンクにコピーした。
ー良し。…さてと、まずは『ミーティング』だな。
そして、俺はマネージャーと『参加メンバー』と『ティーチャー』にメッセージを送ったー。
ーそれから数分後。ミーティングルームには、呼んだメンバーが集合していた。
「それじゃあ、『クイズ番組対策ミーティング』を始める」
『はい』
「まずは、『これ』を見てくれ」
開始宣言の直後、正面のモニターね先程コピーしたニュースが表示された。
「…なるほど。このクイズ番組が、『ファインドポイント』へのルートという訳ですか」
「……?」
「…え、そうなんですか?…でもー」
すると、アイーシャは真っ先に気が付いた。だけど、エリゼ博士やミリアムは理解が追い付いていなかった。
「確かに、このニュース記事だけでは判断は出来ないだろう。…なのでー」
そのタイミングで、俺は『コンパス』をモニターに近付けた。…すると、『それ』は淡い光を発した。
「……、…もしかして『それ』って、『そういう事』も可能なんですか?」
「ああ。…俺がいうのもなんだが、ホント不思議なアイテムなんだ。
ー話を戻そう」
俺がそう言うと、記事はスクロールされた。そして、解説を続ける。
「この説明文にあるように、本番に挑む為には『2つのステージ』を突破する必要がある。…まあ、当然マニアックな問題だらけのテストになるだろうな。
よって、今日から『メインステージ直前』までの空き時間はなるべく『スタディタイム』に充てる」
「「…っ」」
「…いやはや、流石はボス。
ー最初から、『完全クリア』を視野に入れているのですね」
すると、ミリアムと博士は『通過宣言』を聞いてビックリしていた。けれど、ヒューバートは感嘆の言葉を口にした。
「当然だ。
ーてなワケで、此処からは『専属講師』にバトンタッチだ」
「畏まりました。
俺はそう言ってアイーシャ達と同じ『参加者サイド』に座る。すると、ルームのやや後ろで待機していたセリーヌが前に出て来る。
「まずは、自己紹介を。
私は、『カノープス専属講師』のセリーヌと申します。
期間中、皆様のスタディスケジュール管理や予想問題の作成を担当させて頂きますので宜しお願いいたします」
彼女は名乗りと役割を告げ、丁寧な所作でお辞儀をした。
「「「…っ」」」
すると、『新入り』達はハッとしてお辞儀を返した。まあ、俺達は随分と慣れてきているがやっぱ最初は『雰囲気』…言うなれば『あたたかさ』も相まってこうなるよな。
「それでは、最初に全体のスケジュール…『どのようにスタディしていくか』をご説明します」
そんな事を考えていると、後ろのモニターの映像は切り替わった。
「こちらは、ヒューバート様の調査から割り出した『ジャンル』になります」
「…っ」
3人も気持ちを切り替え、モニターに注目する。…そこには、複数のジャンルが表示されていた。
ー実は、彼女の言うように予めヒューバートには局長のブログ…特に『古代文明』についての記載があるやつを纏めておいて貰ったのだ。
後は、それを元に彼女やクローゼがこのような予想を出してくれたのだ。…いや、本当にスゲーメンバーが揃ったよな。
「皆様には、こちらのジャンルを可能な限りブレーンにインプットして貰います。勿論、定期的に『アウトプットのトレーニング』も致しますので」
「「「……」」」
それを聞いて、ランスターとミリアムはちょっと引いた。…まあ、『小テスト』は必要だからしょうがないんだが。
「…続きまして、『ティーチャー』の紹介を致しましょうー」
『…っ』
そんな3人の気持ちを察しながら、彼女は話を進める。…そして、残りの『ティーチャー』達が前へとやって来た。
「まず、レフトサイドから」
「お初にお目に掛かります。私は、カノープスガーデンフロア管理人の、ロゼと申します。
担当は、『古の食文化・農業文化』となりますので宜しくお願い致します」
「「「…っ」」」
セリーヌ同様、ロゼも丁寧な所作で挨拶したものだから新入り達はまたもや緊張しながら返した。
「…じゃあ、次は私ですね。
ー初めまして。私は、『エネルギー調達役』のアンゼリカです。
担当は、『古代の地質学・エネルギー学』の基礎ですので宜しお願いします」
「「「よ、宜しくお願いします」」」
アンゼリカのテキパキした挨拶に、新入り達はさほど緊張せずに頭を下げた。
「…っ、あ、次は私ですね
ーは、初めまして。私は、コピーロボット制作担当のメアリーです…。
担当は、『オールドロボット学・オールドインターフェース学』基礎です。よ、宜しくお願いします」
「「「…よ、宜しくお願いします」」」
次に挨拶したのは、メアリーだ。…そういえば、普段の彼女は気弱だったな。すっかり忘れていた。まあ、そのおかげかどうかは分からないが新入り達の緊張は大分解けていた。
「……。
ー初めまして、カノープス整備士長のティータだ。…ちなみに、そこに居るランスター達の指導役もやっている。
担当は、『オールドマシン学』の基礎だ。宜しく」
「「「…っ、宜しくお願いします」」」
ティータの外見と口調のギャップにポカンとしていた新入り達は、ハッとして返事をした。
「最後は、私ですね。
ー改めまして、こんにちは。私は、マネージャー補佐のクローゼと申します。
担当は、『古代生活学』となりますので宜しくお願い申し上げます」
「「「よ、宜しくお願いします」」」
最後に、モニターを操作していたクローゼがその持ち場から挨拶した。…この辺りで、新入り達はようやく慣れはじめて来た。
「そして、私は『古代政治学・法律学』基礎を担当させていただきます。…ちなみに、今こちらには居ませんがー」
ーすると、モニターにがシャロンが表示された。
「こちらの彼女は、『本番』を想定したステージを作成しています。…それでは、次に進めますね」
「「「…っ!」」」
彼女がそう言うと、俺達の前に置かれたタブレットが起動する。…ああ、やっぱり『これ』をやるのか。
「まずは、皆様の『現在の知識量』を把握する為に『テスト』を行わせて頂きます」
『…っ』
俺はなんとなく予想していたが、他のメンバーはビックリしていた。…だが、そんな事などお構い無しにテーブルにカンニング防止の仕切りが出現した。
「「「「…っ……」」」」
なので、俺達は否応なしにペンを取り構える。…そしてー。
「ーカウント、50ミニッツ。
『テスト1』、スタート」
それを見た専属講師は、タイマーをセットした後コールをしたー。