「ーっと。…うわ、凄いですね……」
「「…おわ……」」
「「……」」
直後、周囲にメンバーがワープのようなエフェクトと共に出現した。…そして、周りに広がる『ステージ』を見て唖然とする。
ーまあ、要するにカノープスのサイバー空間に『メインステージ』っぽいモノを作ったのだ。その理由は、1つ。
『ーフェイクシルエット、展開します』
『ーっ!』
すると、シャロンのアナウンスが聞こえ…次の瞬間観客席が『満員』になった。
『ーうおぉぉぉ~っ!』
『良いぞぉぉ~っ!』
そして、『観客達』は雄叫びやら声援を上げ出した。
ー…そう、こうして『本番さながらの空気』に慣れておくことで極度の緊張状態にならないようする事が目的だ。そうすれば、本番でも実力を発揮出来るだろう。
『ーマスター、音声ボリュームは大丈夫ですか?』
「ああ、『ちょうど良い』。
…それじゃあ、『アレ』を出してくれ」
『イエス、マスター』
すると、ステージの中央にデカイテーブル…『解答者用シート』が複数出現した。…おお、再現度高い。
「…あ、これ『人気クイズ番組』のテーブルに似てますね」
「…凄いですね」
すると、ヒューバートとエリゼ博士が食いついた。…どうやら、2人はそういうのにも興味があるようだ。
「とりあえず、適当なテーブルに座ってくれ」
『っ、はい』
そんな事を考えながら、俺は右端のテーブルに移動しメンバーにオーダーを出す。すると、メンバーはハッとして直ぐに準備をした。
『ーそれでは、-リハーサル-並びに-サードテスト-を開始致します。
尚、今回は本番を想定した特殊な形式となりますので-合格ライン-は通常より低い60ポイントとなります』
『っ!……』
…まあ、妥当だな。
シャロンの唐突な言葉に、俺達は若干ホッとした。
『ーじゃあ、まずは私からですね』
そんな中、進行役のテーブルにロゼのアバターが出現した。
『それでは、-第1ジャンル-をスタートします。
…えっと、最初は-クイックプッシュ-ですね』
彼女は、ちょっと不慣れな感じで形式の説明をする。
ー直後、テーブルの右側に『アンサーボタン』が出現した。
『ークエスチョン:1。
ー古代文明における、ライスの種類は?』
そして、SEが流れた直後彼女は流暢にコールし問題を口にした。
ーこれは簡単。
俺は素早くボタンをプッシュする。すると、いかにもなSEが鳴った。
『はい、オリバーさん』
「ー約10万種」
『正解っ!』
そして、良く見たやり取りをした後正解のSE が流れた。
「…っ、はや……」
隣に居る姉は、俺のプッシュスピードに圧倒されていた。…フフフ、『ゲーム』で鍛えた甲斐があったな。
『ークエスチョン:2。
古代のライス料理の内、もっともシンプルな工程のモノは?』
「ーっ!」
『はい、ミリアムさん』
俺は直ぐにボタンをプッシュしたが、どうやらミリアムの方が早かった。
「ライスボール」
『正解っ!』
勿論、彼女はしっかりと正解した。…ああ、そういえばナイヤチにもライスボールの専門店があったな。しかも、『相当長く続いている』タイプの…。
『…ヤバい……』
そんな事を思い出していると、残りのメンバーは焦りを見せた。…ふむ、意外と緊張はしていないな。
俺は、メンバーの様子を確認しながら次の問題に備えたー。
『ーはい、クイックプッシュはここまでです。
…さあ、結果は?』
それから、10問のクイズを答えてクイックプッシュは終了した。…そして、進行役はちょっとたどたどしい感じでそんな事を言う。
ー直後、俺達の目の前にウィンドウが展開し結果が発表された。
『ー…おおっとっ!?
やはり、オリバーさんとミリアムさんがツートップだっ!
アイーシャさんやイアンさんは何とか食らいついているが、果たして追い付けるのかっ!?
ヒューバートさんとエリゼさんは、次でなんとか出来るのかっ!?』
…うわ、いかにもな『コメント』だな~。…はてさて、どうなるかな?
『それでは、次はこちら。
ーライティングボードッ!』
彼女が次の形式を告げると、ボタンは消え代わりにテーブルの中心にタッチパネルが展開しペンタブが出現した。
『さて、ルールを説明しましょう。
今から出題される問題の正解を、お手元のパネルに記入して下さい。…勿論、パーフェクトでないとポイントにはならないので注意して下さいね?』
『……』
まあ、このルールに関してはいつものチェックテストと同じだ。…だが、『こういうステージ』で言われるとちょっと緊張するな。
『ークエスチョン:1。
まずは、目の前のウィンドウにご注目下さい』
彼女がそう言うと、目の前にウィンドウが展開し複数の『特徴的』なイラストが写し出された。
『これは、古代で行われていたとされる代表的な調理方法のイメージイラストです。
ーこれらを発明された順番に並べて下さい。…それでは、-シンキングタイム-スタート』
『ーっ!』
すると、楽しい感じのメロディが流れた。…うわー、凝ってるな。
『製作者』のこだわりを感じながら、俺はスムーズに並べ変えていく。
『ーはい、そこまで。
…では、一斉に解答オープンッ』
メロディは大体30秒流れた後止まり、それから進行役は全員の解答を一斉にオープンする。
『さあ、果たして正解したのは…ー』
次の瞬間、俺とミリアムとランスター達のテーブルから『正解SE』が流れた。
『おおっと、オリバーさんとミリアムさん、それからランスターの2人がクリアしました。
…ヒューバートさんとエリゼさんは、残念でした』
『ーああ~…』
「「…っ」」
進行役がそんなコメントをすると、『オーディエンス』から『残念そうな声』が聞こえた。…すると、2人に若干の緊張が現れた。
『さあ、まだまだ行きますよ。
ークエスチョン:2。
続いては、ヒアリングの問題です。…今から、3パターンのサウンドが流れます。
この中から、-炒める-の調理を当てて下さい』
『…っ』
おわ、いかにも『クイズ』っぽい問題だな。
メンバーがピリッとしながら集中するなか、俺はワクワクしながら集中する。
『まずは、パターン1からー』
進行役がそう言った直後、1つ目のサウンドが流れる。…あー、これは『ムズい』な。
『……』
そのサウンドは大体10秒くらい流れたあと、直ぐに消えた。
『続いては、パターン2ー』
そして、間髪入れずに2つ目のサウンドが流れる。…ああ、これは『アレ』だな。
『ーはい、以上です。…それでは、シンキングタイムです』
そして、3つ目も流れシンキングタイムになった。…まあ、どう考えても『2つ目』だよな。
勿論、俺はこの問題もスムーズに解いていく。
『ーはい、シンキングタイム終了です。…では、レフトのエリゼ博士からオープンして行きましょう』
『ーっ!?』
すると、博士はギョッとした。…どうやら、見慣れている事を実際に経験するとは思わなかったようだ。
『…ほう、パターン2ですか。
ちなみに、理由を聞いても?』
「…えっ。…えと、ホットプレートで焼いてる感じがしたからです……」
博士は、緊張しながらもなんとか理由を答えた。
『なるほど。…では、隣のヒューバートさんの解答をオープンして見ましょう』
「…っ」
そして、進行役はヒューバートの解答をオープンした。
『おや、同じくパターン2ですか。
果たして、正解か否か?』
けれども、進行役は彼に理由は聞かなかった。…おお、無駄がない。
ーその後、ミリアム、アイン、アイーシャ、俺の順にオープンされていった。…というか、全員が同じ解答だった。
『ー全員お見事ですっ!』
『おお~っ!』
勿論、全員正解だった。…すると、オーディエンスは歓声を上げた。
『……』
それを聞いたメンバーは、少しホッとした。
『…さあ、次に参りましょう!』
そして、俺達は次の問題に挑むのだったー。