「ー失礼しますっ!『プレシャス』の方々をお連れしましたっ!」
「っ!案内、ご苦労っ!至急、『中』に伝えよう。
ーオーダー、『ブーストコンタクト』」
『PYE!』
その後、緊迫した施設の中を通って行き俺達は重厚なドアの前にたどり着いた。そして、若い軍人はそこをガードする上官に報告する。
ーすると、上官は肩に乗る『トリ』のレプリカにオーダーを出した。…直後、レプリカは翼を広げる。
「ーこちら、ゲートキーパー。『スペシャリスト』の到着確認。
繰り返す。『スペシャリスト』の到着確認」
『了解っ!』
それを確認した『ゲートキーパー』は、通信を開始し…直ぐにドアのロックが外れ重厚なドアが開いた。
「…よし。『ブーストコンタクト』、オフ」
『PYE!』
そして、ゲートキーパーはレプリカにオーダーの終了を告げた。…うん、『扱い方』はちゃんと伝わってるようだ。
「さあ、どうぞ」
「ありがとうございます」
『ありがとうございます』
俺達は案内役とゲートキーパーに礼を言い、『コントロールルーム』に足を踏み入れた。
「ーお疲れ様ですっ!」
『お疲れ様ですっ!』
すると、中から開けてくれた軍人とこちらに気付いた軍人やスタッフが作業しながら挨拶してくれた。
「ー…あぁ、貴方達が……」
そして、ユニフォームを着た恰幅の良い男性…多分此処の責任者と思わしき人が心底感謝した様子で近付いて来た。
「初めまして。『プレシャス』代表、キャプテン・プラトー三世と申します。
そして、後ろに居るのが頼れる『スペシャリスト』達です」
『宜しくお願いします』
「…まさか、代表であるキャプテン・プラトーがこの星に来ていたとは……。
ーっ、申し遅れました。…私は、このラバキアコネクトタワーの責任者を任されていますストランドバーグと申します」
こちらから名乗ると、案の定所長…ストランドバード氏はポカンとした後慌てて名乗った。
「…まあ、いろいろとありましてね。
ーそれでは、早速『トラブルシュート』したいと思いますので『5人分』の制御端末をお借りしても宜しいですか?」
「っ!ええ、大丈夫です。
ー済まないが、スタッフ『5名』は作業を一時ストップしてくれっ!」
俺は『理由』をはぐらかし、『目的』を果たすべく向こうにお願いする。
勿論、向こうは快諾し直ぐにスタッフにオーダーを出してくれた。
「ーあ、こちらにどうぞっ!」
「こっちもですっ!」
「こっちもっ!」
「大丈夫ですよっ!」
「あ、はいっ!」
直後、迅速に5人のスタッフが挙手をしながら合図を出した。…いや、マジで助かる。
普通は、『自分達で何とかしよう』とか『外部の人間に頼りたくない』とか思って直ぐにこういう行動には移れないものだが…。…やっぱり、何か特別な『トレーニング』を日常的にー。
「ー……。…っ、それでは任務を開始しますっ!
全員、早歩きでポジションに向かえっ!」
その対応を見て、1つの予想を立てた。一方、中尉は感心しつつも直ぐにオーダーを出した。
『イエス、コマンダーッ!』
「了解です」
そして、全員は挙手をしたスタッフの元へ早歩きで向かった。
「……ー」
『ーSHYAA』
なので、俺は『ゴーグル』を装着する。…直後、視界はいかにもな『サイバーフィールド』に切り替わった。
『ーダイバー、ミッションスタート』
すると、電子アナウンスが流れ…ハイスピードで『進んで』行く。
ちなみに、今見ているのは『ダイバー』…すなわちカリファ少尉の『視界』だ。
ー…ふむ。…『こっち』は、『ハズレ』かな。
およそ数分チェックをするが、どうやらこっちのルートには『原因』はないみたいだ。
『ーSHYA!』
『ーフェイクアート、ルートγ(ガンマ)進行中』
なので、『視界』を切り替える。……お。
すると、ちょうどミスティ少尉のコントロールする『ヘビ』が『イレギュラーの原因』を捕捉した。
ーそれは、極彩色の『バット(コウモリ)』のフォルムをしていた『ウィルス』だった。
「ー…なんだ、あのウィルスは……」
「…バットの……いや、そもそもなんで実際する存在をモデルに……」
当然、所長やメンバーと入れ替わったスタッフは困惑する。…けれど、俺や(多分)メンバーは1つの『予想』を抱いていた。
『ールートε(イプシロン)、ターゲット捕捉』
すると、トマス少尉の担当しているルートでも『それ』は見つかった。…それにしても、『チルドレン-CYBER-』と『サイバーゴーグル』を使わないと発見出来ないとか、本当に『面倒なモノ』を生み出してくれたな。んでもってー。
『ールートμ(ミュー)、ターゲット捕捉』
『ー警告、警告。ターゲット内ニ-危険性ノ高イ-プログラムガ組ミ込マレテイマス』
この状況を引き起こした『首謀者』に苛立ちを感じていると、嫌な予感しかしない警告が聞こえた。…はあ、これは『確定』だな。
『ーな、なんだっ!?』
『アラートが…。……』
アラームはルームにも流れたので、中の緊張感はMAXになってしまう。…さてとー。
けれど、俺は慌てる事なく中尉達のゴーグルに特別な『コード』を転送した。
「ーっ!……」
すると、中尉達は直ぐに俺の方を向いて…力強く頷いた。
『ーCYBER、セーフティアンロック。
-DELETE-モード、発動』
直後、アナウンスが流れ…4つの『ヘビ』はウィルスを『丸呑み』した。…次の瞬間、視界が『ちょっと』揺れた。
恐らく、『クラッシュプログラム』が発動したのだろう。…だが、その『悪あがき』も『ヘビ』に通用しなかった。
『ウィルスノ完全デリート完了』
『………ー』
その様子を見ていたスタッフ達や軍人達は、唖然としていた。…まあ、かなり『特殊なやり方』だから無理もないな。
「ーウィルスのデリートは、完了しましたっ!
多分、これで本格的な『復旧』が可能になるハズですっ!」
『ーっ!』
すると、中尉は大きな声で宣言した。…それを聞いた復旧担当達はハッとして直ぐに作業を再開した。
「ー…いや、本当に驚きました。…まさか、『あんな方法』で……」
「まあ、『かの船』独自のやり方ですよ。…それに、まだ『安心』するには早いです」
所長は、驚きつつも大分緊張が揺るんでいた。…けれど、俺はゴーグルを外しつつ忠告をする。
「…確かに、まだ完全に復旧はしていませんがいくらかは気を緩めても大丈夫では……」
「…この『トラブル』が、自然発生したモノな
ら『我々』もそうしていますよ」
「………。…っ、まさか、キャプテン・プラトーは『人為的』なモノだと?」
「ええ。
ーそれも、『最悪な連中』によって……」
「……ー」
「ー『サーシェス』ですか……」
こちらの予想に、所長はみるみると青ざめた。…そして、いつの間にか来ていた軍サイドの現場責任者が非常に険しい顔で『連中』の名前を口にした。
「…つくづく、『連中』は非常識で悪辣なモノを生み出すのが好きですね……」
「…ええ、本当に……。ただ、『安心』…と言っては語弊がありますが今回は『ほう助』のパターンだと思います」
責任者の感想に同意しつつ、俺はもう1つの予想を口にする。
「…理由を伺っても?」
「勿論です。
ーまず、ターゲットが『局所的』な点です。…もし、連中が直接動いていたら星系全体に大きな騒動が起きていたでしょう」
「…なるほど。言われてみれば、今回は『商業エリア』に限定した通信電波障害だけでしたな。
交通システム等のトラブルは、あくまで『2次災害』」
「……」
「…そしてもう1つ。
ー『連中』に、『旨味』がないんですよ。
…この間ナイヤチで開催された『フェスティバル』や、ポーターランでの『争奪戦』等々。
連中はとにかく、人やメディアが注目する『イベント』を台無しにして『こちら』の信用とかを落とす事に躍起になっています。
だから、イベント前に『大きな』行動を起こす事はまずないんですよ」
「…ほう。…流石は、『エキスパート』といったところですな。
…分かりましな。とりあえずは、『そのつもり』で調査を進めましょう」
俺は自信を持って最大の理由を答えた。すると、責任者は感心しつつこちらの予想を受け入れてくれた。
「お願いします。…あ、勿論私達も必要とあらばご協力させて頂きます」
「助かります」
勿論、俺は手伝いを申し出る。すると、向こうは心からの感謝を述べたのだったー。