『ーそれでは、スタートクエスチョンです』
ラバキアがピリピリした空気に包まれる中、俺達『クイズチーム』はサイバーステージにてリハーサルの続き…中断していた『ウィッチウェイマイニング』に挑戦していた。
しかも、『最初からやり直し』で。…まあ、途中から再開出来ない事もないがシャロン曰く、『それだといろいろ手間が掛かり、-最初の試練-に間に合わない可能性があります』と言われたので(後、当人が物凄く申し訳なさそうに言って来たので)、最初からやり直す事にしたのだ。
尚、進行役であるアンゼリカは前回と全く変わらない様子で前回と同じ解説をした。…ちゃんとしてるな~。
『まずは、こちらをご覧下さい』
…お?……お~。
そうこうしている内に、ウィンドウにフォトデータが表示される。…しかし、ちゃんと前回とは違うモノだったので思わず感心した。
『これは、古代における-ワールドマップ-です。…この中で寒冷地は次の内どちらでしょう』
問題文が読み上げられた後、ウィンドウには2択が制限時間付きで表示される。
ー…これは、②が正解だ。
俺は迷いなく選択する。…そこは、かつて大陸の95パーセントを『エリア』としていたとある国家だった。
『ータイムアップ。
…さあ、それでは-マイニング-、スタートッ!』
そして、シンキングタイムはたったの10カウントで終わり…進行役はコールする。
ーすると、ウィンドウの映像は凝ったアニメーションに切り替わりマイニングしている様子が映し出された。…いや、微振動してるのも凄いよな。
凄い力の入れように、改めて感心していた。
『ーマイニング、終了っ!
さあ、果たして皆さんの進んだルートは正解なのかっ!?』
そして、『ある程度進んだ』ところでマイニングは一時的に終了した。それに合わせて、進行役がコメントする。…いや、本当にノリノリでやってるな~。
もしかすると、元々『そういう立場』だったから『こういうのも-好き-』なのかな?…まあ、でなければ『チルドレンの世話役』を喜んで引き受けたりはしないか。
『ー皆さん、お見事ですっ!
正解は、②でしたっ!』
俺がそんな事を考えているとは知らない彼女は、明るく宣言する。
ーすると、マイニングが再開され目の前壁が突破され次のフロアにたどり着いた。多分、これが『正解演出』なのだろう。
『まあ、流石にスタートは皆さん大丈夫だったようですね。
ですが、果たして次はどうでしょうか?』
進行役は、昨日と変わらないテンションで昨日と同じコメントをした。…いや、ホント『ウチのクルー』は切り替えが早い。
実際彼女は、とても前日にトラブルがあったとは思えないほど『無理のない』明るい進行をしていた。
『さあ、どんどん参りましょうっ!
ークエスチョン:2。…続いては、こちらをご覧下さい』
次に表示されたのは、とにかくデカいマウンテンだった。
『このマウンテンの生成理由を答えて下さい』
ーっ…。…うわ。えっと、確かこれは『山脈』でノースエリアっぽいから①かな?
俺は、フォトから得られる数少ない情報を見て答えを選択する。
『ータイムアップ。
さあ、それではセカンドマイニング、スタートッ!』
そして、再び『マイニングタイム』がやって来る。…にしても、よくもまあ昨日の今日で問題を作り直せたよな。
まあ、それだけ『ロストデータ』が沢山あるって事か。でなければ、クイズ番組とか出来ないしな。
『ーマイニング、終了。
さあ、早くもチャレンジャーの皆さんは2つのルートに別れてしまいましたが…果たして、どちらが正解かっ!?』
そうこうしている内に、アニメーションは終わり…進行役はノリノリで他のチャレンジャーの様子を告げた。
ー…ほう。…大丈夫だとは思うが、ちょっとドキドキするな。
『ー正解のルートを選んだのは、オリバー選手とヒューバート選手ですっ!
残りの方々は、残念ながらハズレですっ!』
…ふう。
そして、『正解演出』の直後正解者が発表されたので俺はホッとした。
『さあ、早くも差が出始めてしまいましたが果たしてミリアム選手達は追い付けるのでしょうか?
ーそれでは、クエスチョン:3。
かつて、古代文明における複数の大陸は元々1つの大陸だったとされています。…その大陸の名称は?』
…うわ、今回もこのタイミングで文章問題か。…えっとー。
俺はそんな事を考えながら、正しい答えを選択するのだったー。
○
『ーさあ、此処で途中経過を確認してみましょうっ!』
そんなこんなで何事もなく進行していくなか、ふと進行役がそんな事を言った。…すると、ウィンドウに『マップ』が出現した。
『ー現在、トップを独走するのはやはりこの人っ!
オリバー選手っ!』
そこには、『6つ』の色分けされたマシンアイコンが表示されておりお互いの『進行度』が表示されていた。…これは、良く見る『遅れている人』を焦らせたりヒートアップされたりする為の演出だろう。
ホント、『忠実』に再現しているな~…。
多分、シャロンは物凄く『研究』したのだろうと思いただただ感心していた。
『そして、トップの背中を追うのはヒューバート選手っ!
その差はたったの1問っ!つまり、まだまだトップ交代の可能性はありますっ!』
…ほう。意外と、ヒューバートってこういうのが得意なのかな?
『そしてそして、そんな2人の背中がやや遠いと思っているであろう3番手は…エリゼ選手っ!』
…まあ、古代の地理を題材にした作品ってあんまりないからな。…後で、『専門ショップサイト』を紹介しておこうかな?
『一方、ミリアム選手とアイーシャ選手とイアン選手はほぼ-ダンゴ-状態っ!…このままでは、3人は……と、思っている皆さんに素敵なニュースですっ!』
まるで、オーディエンスや視聴者の気持ちを代弁するかのような進行をするアンゼリカは…ふとそんな事を言った。
ー…っ、『来た』か。
『ーそうですっ!さあ、皆さんご一緒にコールをお願い致しますっ!
せーの……ー』
『ービッグチャンス』
直後、ウィンドウにデカデカとエフェクト付きの文字が表示された。
『このカウンターチャンスに成功すると、なんと一気に-3フロア-進む事が出来ます。
ただし、失敗するとこの後の-3つのクエスチョン-は強制的に不参加となりますのでご注意下さい』
…いや、なかなかに絶妙なリスクとリターンだよな。
『さあ、チャレンジなさいますか?』
そして、進行役は最後に俺達に問いかけて来る。それに合わせて、ウィンドウには『YES/NO』と表示された。
まあ、『やらない』という選択肢は最初からないのだ。…何せ、これは全員にとって『チャンス』なのだから。
『ーおおっ!やはり、全員チャレンジを選択っ!
…さあ、果たして誰が-チャンス-を掴むのか!?
ークエスチョンッ!』
進行役がコールした直後、ウィンドウに古代文明の『ワールドマップ』が表示された。
『ーこれは、古代文明が-宇宙に進出した頃-のワールドマップだとされています。
…このマップの中にある国家の中で、宇宙科学技術に優れている国家の数をお答え下さい』
ー……っ!『前回』もそうだったが、なんて『マニアック』な問題を……。
問題を聞いた瞬間、俺は頭を抱えた。…実は、古代文明系のドキュメンタリーの中で『宇宙技術の進歩』というのは、滅多に放映されないのだ。
その理由は、『未解明な部分』があまりにも多くそして『真偽の判別』が難しいから。
だから、番組を作るには不向きなのだ。…まあ、サイバー空間のマニアックなスペースには虚実混じりのデータがデブリみたくゴロゴロ転がっているが。
ーともあれ、俺は素早く記憶をサルベージし『正解』をタッチした。
『ータイムアップッ!
さあ、皆さんギリギリでタッチしましたが果たしてどうなる事やら!?
それでは、-マイニング-スタートッ!』
ー…っ!
すると、ウィンドウは先ほどの『進行度』に戻り…『俺とミリアムとヒューバート』のマシンアイコンが一気に進み出すのだったー。