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リハーサル-ジャンル4・カスタム-

『ーいや~、大変面白い結果になりましたねっ!』

 それから、残りの問題もこなし『ジャンル3』は終わった。…いや、まさか最後に『あんな事』になるとはな。

 決して油断していたワケではないが、今回も何とかギリギリで『一等賞』を掴み取れた。これは、単に運が良かっただけだ。

『それでは、皆さんお待ちかねの-結果発表-のお時間ですっ!』

『おお~っ!』

『ワァ~っ!』

『……っ』

 進行役のコールに、オーディエンスは爆発的に盛り上がった。…さっきまで、全く『外』の様子が聞こえなかったので俺達はちょっとビックリしてしまう。

『まずは、トップ成績ですが……やはり-彼-だったっ!

 ーオリバー選手っ!』

『やった~っ!』

『すげ~っ!』

 まずは、俺の名前が呼ばれた。…さっきも言ったがマジで今回は危なかった。

『そして、第2位の成績なのは……まさかまさかの彼女だっ!

 ーエリゼ選手っ!』

『うおお~っ!』

『良いぞ~っ!』

 第2位は、『最後』に脅威の追い上げを見せたエリゼ博士だった。…いや、『アレ』は本当にヤバかったな。

『さっき』の事を思い出し、内心冷や汗を流す。


『そして、惜しくも第3位になってしまったのは彼だっ!

 ーヒューバート選手っ!』

『惜しい~っ!』

『あぁ~っ!』

 第3位のヒューバートには、同情やら落胆の声が届いた。…実は、あいつは『クエスチョン:9』までピッタリ俺の後ろをついて来ていたのだが、『最後』に順位が下がってしまった。

『そして、残念な事にゴール目前でゲームセットとなってしまったのは彼女達です…。

 ーミリアム選手、アイーシャ選手、イアン選手。…あ、勿論ゴールに近い順に得点が加算されますのでご安心を』

『はあ~……』

「「「ー……っ」」」

 そして、ゴール出来なかったミリアムとランスター達には呆れたような声が掛けられた。…それを受けた3人は、少し苦い表情となる。

 ーいや、マジで『リアル』に近いな……。

『ーさあ、-前半戦-の時点で順位は目まぐるしく変わっていますが果たして-後半戦-のスタートとなる次のジャンルでは、どんなドラマが巻き起こるのかっ!?』

『ー…さ、さあ、どうなるのでしょうね?』

 進行役がオーディエンスを盛り上げるセリフを言った直後、進行役は光に包まれる。

 ーそして、光が収まると新しい進行役…メアリーが緊張しながら出現した。


『……。

 ーそれでは、改めてまして第4ジャンルを始めさせて頂きますっ!

 まずは、こちらにチャレンジして貰いましょうっ!』

 進行役は、呼吸を整えてから元気良く進行を始める。

 ーすると、ステージ中央に大きなボックスが出現した。そして、ボックスはゆっくりと開いていき…中から『6体』のアンドロイドの素体が姿を現した。

『その名も、-ライトストロング-ッ!

 今から、皆さんには-彼ら-を強化して貰います。…その方法はただ1つ。

 ーそう、今から出題される10のクエスチョンに正解すればするほど、-彼ら-はどんどん強くなっていくのです』

 …うわ、『面白い』事考えるな。…でも、これならアビリティーがなくても出来るからかなり良いアイデアだと思う。

『では、早速参りましょうっ!

 ークエスチョン:1。

 古代文明では、既に沢山の種類のロボットが存在していましたが-世界最初のロボット-は何だったでしょうか?』

 …おおー、大分シンプルな問題だな。

 俺は、素早く答えをパネルに記入する。


『…おお、皆さん記入が早いですね。それでは、皆さんの解答をオープンッ!

 ーおや、なんと皆さんの解答は-時計-で統一されています。…果たして、結果は?』

 進行役がそう言った直後、正解を告げるSEが鳴った。…よし。

『お見事っ!皆さん正解ですっ!

 それでは、アンドロイドの強化タイム…ですがー』

 進行役は、意味ありげに俺達を見る。…すると、俺達は目の前にウィンドウが展開した。

 ーそこには、様々な『アイコン』が表示されていた。…おいおい、『これ』は……。

 それを見た瞬間、俺はウィンドウの向こう側に居る進行役…メアリーに対して『満面の笑み』を浮かべた。

『ー……っ。……』

 すると、彼女も『微笑み』を浮かべ小さくお辞儀をした。…さてとー。

 彼女に称賛を送った後、俺は改めて『強化オプション』を見る。…その数は、とても『10個』では収まらなかった。

 つまり、チャレンジャーの『個性』に委ねる方針という事だ。正直、かなり『面白い』趣向だと思う。

 ーまあ、とりあえず真っ先に選ぶのは『コレ』だよな…。

 俺は、一番最初に『とある機能が付いた』レッグパーツを選択する。…すると、直ぐに決定とはならず『そのままお待ち下さい』と表示された。


『ーさあ、皆さん-最初の強化-はそれで宜しいですかっ!?

 宜しければ、今から表示される-エンターボタン-を押して下さいっ!』

 直後、進行役の言うように『エンターボタン』が表示されたので俺は迷いなく押した。

『はいっ!それでは、最初の強化を始めましょうっ!』

 すると、短く軽快なメロディが流れる。そして、進行役がコールした次の瞬間…アンドロイドの素体は、突如出現した個別の『ボックス』に包みこまれた。

 そして、いかにも『カスタム』してますよ的なメカニカルなSEが断続的に流れた。…凄いこだわりを感じるな~。

『ーさあ、果たして皆さんは最初のドコを強化したのかっ!?

 それでは、ボックス・オープンッ!』

 最後に、『完成』のSEが流れると進行役はノリノリでコメントし元気良くコールする。

 ーそして、再びアンドロイドの素体が姿を現した。…お、どうやらちゃんと全員『インプット』出来ているようだ。

 アンドロイド達を見た俺は、感心する。…何故なら、『全員』の脚にフットパーツが装着されていたのだ。

『おおっ!なんと、皆さん-オートバランサー付き-のフットパーツを選択しましたっ!

 …ああ、1つ言い忘れていましたが-彼ら-は本当に-まっさら-な状態ですので良く考えて-強化-をして下さいね?』


『……っ』

 …だよな~。最新のアンドロイドは素体の時点でオートバランサーのパーツとプログラムが組み込んであるが、『旧式』の素体は様々な都合でそれが出来ないのだ。…本当、凄い進歩だよな。

 まあ、つまり最初は『オートバランサー付き』のフットパーツを選択するしかないのだ。…でないと、アンドロイド達はまともに歩く事も出来ない。

 いや、マジで『トラップ』…。

『ーさあ、果たして皆さんは-彼ら-にどんな素敵な-ドレスアップ-をしていくのでしょうか?

 ーそれでは、クエスチョン:2。

 まずは、こちらをご覧下さい』

 そんな事を考えている内に、次の問題が出題される。…そして、モニターに『モザイク処理されたロボット』が表示された。

『こちらは、古代文明において初の-小型ロボット-となります。…今から、だんだんと鮮明になっていきますので-正体-が分かった方はその時点で、答えを記入して下さい。

 尚、-早ければ早いほど-次の-強化-で複数のパーツやプログラムが入手出来ます。

 ーただし、間違えた場合は……分かりますよね?』

 彼女は、笑顔でリスクとリターンを語った。…うわー、シビア~。


『それでは、モザイクキャンセルを開始しますっ!

 ースタートッ!』

 内心ちょっと引いてるなか、進行役はコールする。…直後、モザイクがゆっくりと消え始めた。

「……っ」

 まあ、最初は俺は勿論誰も書こうとはせず『答え』の見極めに集中する。…しかし、古代文明の時点で小型ロボットが存在しているって話は、いつ聞いても驚きだよな~。

 特に驚きなのが………え?いや、え?

 モニターを見ながら『個人的に驚いた事』を思い出していると…ちょうど『それ』が目の前に現れ始めた。

 ー……。…うん、『これ』だわ。

 とりあえず、落ち着いて良く確認し…確信を持って記入する。

『ーっ!?』

『ーおおっとっ!?まさかまさかの、オリバー選手がトップで手を挙げたっ!凄いチャレンジスピリットだっ!

 …果たして、答えは……正解っ!』

 まあ、当然ライバル達も進行役も驚愕した。…そして勿論、俺は正解した。そして、次にー。


『ーおやっ!ミリアム選手、アイーシャ選手、イアン選手がほとんど同時に手を挙げたっ!

 まだ、ほとんど分からない状況でなんとう勇気だっ!』

 それからさほど間を置かず、ミリアムとランスター達がチャレンジする。…流石、『傭兵』に『アーツファイター』だ。

『果たして、結果は……正解っ!』

「「「…ふ~~~」」」

 そして、3人も見事に正解した。…すると、3人は揃ってホッとした。

『さあ、一気に残り2となりましたっ!…さあ、続きをどうぞっ!』

 進行役は、短く状況を纏め続ける。…けれど、エリゼもヒューバートも『慎重過ぎる』せいかなかなか記入をしなかった。…けれどー。

『ーおおっ、ついに2人も記入したっ!果たして……正解っ!』

 ロボットの正体がある程度分かったタイミングで、ようやく2人も解答した。

『さあ、此処からは一気にモザイクを消して行きますっ!』

 そして、進行役の言う通りモザイクはスピーディーに消えていき…小型の『ドッグ型ロボット』が表示されるのだったー。

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