『はい、以上で-ジャンル5-が終了しました。
それでは、早速結果発表としましょう
ーまずは、此処までトップを独走しているこの方。
オリバー選手』
『ーうおお~っ!』
『イイぞ~っ!』
そして、例によって結果が発表される。…残るは、『古代の政治(※確認)』だけだ。果たして、トップを維持したまま『全クリ』出来るかな?
『次は、惜しくも-シルバースコア-になってしまったこの方。
エリゼ選手』
『ひゅう~っ!』
『やる~っ!』
次に来たのは、第3ジャンルでも『シルバー』となったエリゼ博士だ。…やはり、『この手』のジャンルには強い。
実際、『ショートドラマ』ではほとんど正解を出していたのだから。
『その次は、エリゼ博士と僅差で-ブロンズスコア-となったこの方。
アイーシャ選手』
『頑張った~っ!』
『すげ~っ!』
次は、第2ゲーム以降成績が良くなかったアイーシャが発表される。…いや、これは驚きだ。
まあ、ちゃんと『予習』をしていたのだろう。…ただ、最後のアレはなかなかにマニアックだったから見てなかったのだろう。
『そして、第4位は-ブロンズ-より少し離されたこの方。
イアン選手』
『あぁ~…』
『ガックリ…』
次に発表されたのは、此処まで順位が変動しているイアンだ。…いや、マジで『ムラ』があるな。
うん、やはり『弟』の方はー。
『ーそして、第5位はこの方。
ミリアム選手』
再び『メインステージ』の割り振りを考えていると、此処までマジで成績が振るわないミリアムが発表される。…まあ、今までの人生を『アーツ』に捧げて来たからしょうがない。それに、彼女は俺達と同じく『これから』だ。
『そして、残念ながら最下位はこの方。
ヒューバート選手』
『……』
最後に2回目の『ビリ』となったヒューバートが発表される。…すると、とうとうオーディエンスは無反応になった。…これは、キツイ。
いや、ホントヒューバートの担当何処にしよう。
残りは、俺でも不安な『古代の政治・法律』だ。…果たして、ヒューバートは『メイン』において活躍の場があるのか?
『それでは、-最後のジャンル-にうつりたいと思いますー』
『ーお待たせ致しました』
そして、進行役は消え…今回の『ミッション』のサポーター代表であるシャロンが姿を現した。
『さあ、いよいよ-第6ジャンル・古代の政治・法律-のお時間がやって参りました。
ー皆さん、最後まで気を抜かず…そして-悔いの無いように-』
『……っ』
うお、やっぱ『こういう時の引き締め』が上手だな。…きっと、『塾生』達にも言ってきたのだろう。
ー多分、内心『また言えた事』に歓喜しているかも知れない。
俺は、真剣な表情で気を引き締めて来る進行役の心の内を予想する。…何故なら、なんとなく『嬉しい』感情が伝わって来ていたのだから。
『ーそれでは、始めましょう。…まずは、モニターにご注目下さい』
そして、いよいよ『第6ジャンル』が始まり進行役の言葉に従いモニターを見る。
ーすると、モニターに『ナンバーボード』が出現し…その上部には、『俺達のネーム』が横一列に表示される。
そして、俺達のタッチパネルには規則性のない『ナンバー』の羅列が表示された。
『それでは、-ラストチャンス-を始めるとしましょう。
まずは、ルールを説明しましょう』
進行役がそう言うと、ボードにある俺達のネームの下に『60』と表示される。…なんだ?
『今、皆さんの下に表記したのは-合格ライン-であり…-チャレンジ-の為の-掛け金-です』
『ーっ!』
…うわー、『ラストチャンス』ってそういう意味か~。
要するに、今から文字通り『ビンゴギャンブル』のようなゲームをするって事だ。
『どうやら、理解されたようですね。
ー当然、最初に-ビンゴ-を成立させた方はその時点でクリアとなります。…ですが、勿論-掛ける事-が出来なくなればその時点で-ゲームセット-になりすので、-細心の注意-をしながらチャレンジして下さい』
『………』
…全く、最後に一番『面白い』ゲームを持って来るとはな。
『ーまずは、センターの問題をオープンします』
そして、進行役権限でこちらサイドのセンターにある『5』のナンバーが開けられる。多分、全員そこは同じになっているのだろうか。
『クエスチョン:1。
ー古代では、-検疫-は非常に手間が掛かかる作業でした。
全てが手作業で、また特殊なトレーニングによって育成された-サーチドッグ-共に行っていたようです。
では、多くの国家で-持ち込みが禁止されている食品を-全て記入して下さい』
『……っ』
…うわー、スタートから『アクセル』全開だ~。
問題を聞いた瞬間、ライバル達は頭を抱えた。…正直、俺もちょっと悩む。
『さあ、挑戦者はいますか?』
そして、進行役は真剣な表情で俺達チャレンジャーに聞いて来る。…まあー。
『ーチャレンジ』
俺達は一斉に、タッチパネルに表示された『チャレンジ』アイコンをタップする。
ー当然、俺達は逃げない。何故なら、リハーサルの時点で『ビビって』いたら『メインステージ』には到底上がる事は出来ないのだから。
『…っ。分かりました。
それでは、シンキングタイムと参りましょう』
進行役は少し驚くが、直ぐに表情を元に戻しシンキングタイムを始めた。
…この問題は、『法律』の分野だったハズだ。確かー。
俺は、必死に記憶をサルベージし…何とか『正解』を頭の表層に引っ張りあげ素早く記入する。
『ーシンキングタイム、終了。…さあ、皆さんの解答を見ていきましょう。
まずは、エリゼ選手から』
「ーっ!」
そして、軽快なBGMが止まると…進行役は急にそんな事を言い出した。…当然、言われた当人はビクッとする。
『ほう…。
ーちなみに、理由を聞いても?』
『…ふぇっ!?……え、えと、私、-昔の常識-を見るのが好きなんですが-こういうルール系統-のも好きなんですが、たまたま見た番組でこんなのをやっていたような気がしたんです……』
進行役の『流星のごとき』ムチャ振りに、博士は余計にビックリしつつも割りとしっかりとした様子で返した。
…まあ、自信がないのか最後はゴニョゴニョした感じになったが。
『なるほど。
ーそれでは次に、アイーシャ選手の解答を見てみましょうっ!』
『ーっ!?』
理由を聞いた進行役は頷き…そして次にアイーシャを『ターゲット』にした。…『姉』は、ビックリして飛び上がった。
ーそして、進行役はイアン、ミリアムと聞いていき…ふと『悩む』んだ様子を見せた。
『ー…では、ヒューバート選手とオリバー選手は同時にオープンしましょう』
「ーっ…」
…ほう、そう来たか。
進行役の言葉に、ヒューバートは更に緊張した。一方、俺はニヤリと笑う。果たしてー。
『ーおぉっ。両者共、-7項目-を記入しているっ!
まずは、ヒューバート選手から理由を聞いてみましょう』
『…っ。…そうですね。
ーまあ、昔-知り合いに聞いた-ので覚えていただけですよ』
『…ほう』
『………』
彼の返しを聞いて、進行役は神妙な顔になり他のメンバーはポカンとする。…なんか、『引っ掛かる』な。
『…では、オリバー選手は?』
なんとなく、今の言葉を心に留めて置くことを決めていると進行役はこちらに振ってきた。
『まあ、ヒューバート選手と似たような感じですね。
ー私の場合は、祖母が良く祖父の-奇妙な昔話-を教えてくれたのですが…その中に-そんな話-もありましたから』
『……』
『…分かりました。
ーそれでは、結果発表です』
懐かしむように話すと、メンバーの半分はしんみりと。もう半分は、羨望の眼差しを向けてきた。
中でも、シャロンはなんだか瞳に『涙』を浮かべていそうな表情をしていた。けれど、直ぐに切り替えて進行を続けた。
『ー正解者は、オリバー選手とヒューバート選手の2名のみです』
『…っ……』
『……』
そして、結果が発表され…見事俺とヒューバートだけが一歩リードしたのだったー。