目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

リハーサル-エンディング-

『ーさあ、此処で途中経過を発表しましょう』

 それから、ある程度進行した所で進行役がそう告げた。

『現在、オリバー選手とヒューバート選手が並んでダブルリーチ状態。

 アイーシャ選手、イアン選手はリーチ状態。

 エリゼ選手は、リーチまで後一歩。…そして、ミリアム選手は後-2問-を連続して落とした時点で-ビリ-が確定してしまいます』

 進行役は、淡々とゲームの状況を告げる。…まさか、ピッタリ『並走』されるとはな。ランスター達は『真後ろ』に居るし。

 ーそして、残りの2人も油断は出来ない。…大抵の場合、『ドラマチック』にする為のシナリオがあるハズだ。

『ーさあ、果たして次で勝負が決まるのでしょうか?

 それでは、次のナンバーを開きます……。

 ナンバー、15』

 進行役は、淡々と告げながら『クジ』の入ったボックスに手を入れ…そっと引き抜いた。

 そして、『15』のナンバーが開く。……ん?

 そのマスは、ゴールドカラーになっていたのでちょっと首を傾げる。

『ーおおっ。これは、-フリーポイント-のマスです。

 次の問題に正解すると、以降の-4つの問題-は-掛け金無しになりますっ!』

『ーっ!』

 …ほら、来た。…これなら、まだまだ『戦え』るだろう。


『ークエスチョン:15。

 古代の時代、一般的な車両は皆地面の上を直接走り-原始的-な専用レーンを走っていました。

 当然、歩行者との距離は限りなく近くドライバーは今以上に運転に集中しなければなりません。…

 ーでは、次の-トラブル-ではどちらに非があるでしょうか?』

 ー……おわ。

『………』

 次の瞬間、モニターに『トラブル』のムービーが流れるが…俺達は固まってしまう。

 ー今の時代、『グリンピア』のような『地方星系』でさえも歩行者レーンとカー専用レーンはきっちりと『シールド』で分けられている。

 だから、滅多な事では『トラブル』は起きない。

 …だが、古代の時代はカーと歩行者のレーンは映像のように非常に近く場所によっては『シールド』さえもないというのだ。

 ホントに、古代の先達は『メタルハート』の持ち主しかいないよな…。

 ーそれはそうと、この場合『ギルティ』なのは明らかに『あっち』だろう。

『さあ、チャレンジ致しますか?』

『………』

『ーはい、全員チャレンジです。

 …では、ご記入ください』

 そうこうしている内に映像は終わり、進行役は『いつもの確認』をする。…勿論、俺達はチャレンジを選択した。

 そして、直ぐに答えを記入する。


『ーはい、シンキングタイム終了です。…それでは、一斉に解答をオープンしましょう』

 それから、シンキングタイムも終わり…進行役は俺達の解答を一気にオープンした。

 まあ、答えは『2択』だから時間を掛ける必要はないな。

『…おお。なんと、皆さん同じ解答です。

 ーギルティなのは、ドライバーだというのですね?

 果たして、正解は?』

 すると、ドキドキさせるBGMが流れ…ー。

『ーお見事っ!

 なんと、全員が正解ですっ!』

『ー~~っ…』

 そして、正解を知らせるSEが流れ全員クリアした。…当然、メンバーはホッとした。

 中でも、ミリアムは緊張がほどけたのか脱力していた。

『という訳で、-前方不注意-状態のドライバーに過失がありました。

 …実は、既にこの時代ではドライブアシストシステムは導入されていましたが、それを過信する一部のドライバーは運転中に居眠りをしたり、デバイス通信をしていたのです』

『……っ』

 すると、進行役は解説を始める。…その『信じられない説明』に、メンバーは唖然とした。


 ー…今でこそ、通信中はオートパイロットに切り替わるし睡眠不足の場合は『ドライブエージェント』と呼ばれる運転代行業者が居るが古代はそんな便利なモノはないから、マジで『トラブル』が多かったんだろう。

 …ホント、マジで『古代』って常に危険と隣り合わせだったんだな。

 ーだからこそ、俺は『歩行者』のアクションが信じられなかった。…何故なら、歩行者は酩酊状態でカーレーンに足を踏み入れていたのだから。

 …一体、何でこんな危険なアクションを出来るのだろうか?

『さあ、皆さんクリアですので以降4問は-掛け金-無しになります。

 つまり、まだまだ-逆転-のチャンスはあるのです』

 …っ。全く、とことん『面白い』じゃないか。

 ちょっと嫌な気分になっていた俺は、進行役のセリフで気持ちを切り替え次に備えたー。



 ○



『ー正解は……オリバー選手、ヒューバート選手。

 …そしてそして、ミリアム選手っ!』

 そして、『ポイントフリー』の状況でゲームは進み…ついに『4問目』が終了する。その時ー。

 ー…ふう。

「ーっ!」

「ー…やった……」

『おおっ、3選手一斉に-ビンゴ-達成っ!』

 それが、文字通り『最後の問題』となり…それをクリアした俺達3人がウィナーとなった。

「…はあ……」

「…マジか……」

「…参りました……」

 ヒューバートとミリアムが喜びを噛み締めている一方、残りのメンバーは肩を落としていた。…まあ、本当に惜しかったから仕方ないだろう。

『さあ、以上で全ジャンルが終了しました。

 まずは、-第6ジャンル-の結果発表からです』

『…っ』

『第1位は、最後まで独走状態を貫き見事ダブルビンゴを達成された、恐るべきラックと実力を持つこの方。

 オリバー選手』

『ーおおおお~っ!』

『スゲ~~~っ!』

 そして、第6ジャンルの結果発表が始まり…シャロン(※確認)は流石にやや興奮しながらセリフを読んだ。

 ー直後、オーディエンスは割れんばかりの歓声と拍手を送って来た。

『第2位は、トップと接戦を繰り広げ-ほとんどのクエスチョン-に正解したこの方。

 ヒューバート選手』

『ヒュ~~~っ!』

『ピュ~~っ!』

 次に発表されたのは、ついに『シルバー』の栄誉を勝ち取ったヒューバートだ。オーディエンスも、彼にフィンガーホイッスルとかのゴキゲンな称賛を送った。


 ー…正直、かなりヒヤリとさせれた。もし、彼と俺の『カード』が違っていたらトップは彼に決まっていただろう。

 まあ、ここまで圧倒的な成績を出したのだから彼の『担当ジャンル』は決まりだな。


『ー第3位は、追い込まれてから凄まじい追い上げを見せたこの方。

 ミリアム選手』

『ワァ~ッ!』

 その次は、第1ジャンル以降成績が良くなかったミリアムだ。…実際、彼女は『ポイントフリー』のタイミングから直前まで凄まじい追い上げを見せた。

 ーラックがないと思っていた、どうやら勘違いだったようだ。…いや、どうすっかな~?

『第4位と第5位は、惜しくもビンゴを逃がしたこちらの方々。

 イアン選手と、アイーシャ選手』

『…あぁ~っ!』

 ミリアムの『出番』を再検討していると、次の順位が発表された。…イアンの方が上なのは、クリアした問題が1つ多いからだろう。

『第6位は、惜しい結果となってしまったこの方。

 エリゼ選手』

『………』

 最後に発表されたのは、ホントに惜しいままゲーム終了を向えたエリゼ博士だった。…実際、リーチまで行った彼女だったがその後はラックに見放されたかのように成績が良くなかった。

『では、このまま-総合成績-を発表させていただきます』

『……っ』

 そして、いよいよ最後のスコアが発表される。…当然、俺達は否応なしに緊張した。


『まずは、第6位。

 ミリアム選手っ!』

『ー…ああ~っ……』

 今回の『ビリ』はミリアムになった。…となると、やっぱり『ノーマル』な問題の多い『クイックプッシュ』メインになるかな?

『そして、飛んで第4位。

 ヒューバート選手とエリゼ選手』

『…はあ~っ……』

 次に発表されたのは、やはり『ブレーンワーク』メインの2人だ。…まさか、同点だったとはな。

『そして、第3位。

 アイーシャ選手』

『おお~っ!』

 その次は、好成績を残したアイーシャだ。…まあ、『マシン』を任せても良いんじゃないだろうかな。

『そして、第2位。

 -ブロンズ-と大差を開いたイアン選手』

『ピュ~ッ!』

 いや、これは驚きだ。…まあ、彼女は『ロボット』担当で良いかも知れないな。

『そして、栄えある第1位。

 6つのジャンルの内、3つで-満点-を叩き出した…オリバー選手』

『うおおおお~っ!』

『おめでとう~っ!』

 そして、最後に俺が発表された。…後は、『俺自身』の担当を考えないとな~。

 けれど、俺の頭の中は喜びよりも『メインステージ』での自分の『ポジション』で一杯だったー。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?