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意外な関係

 ーそう。この『サポーター』もまた『カノープスエージェンシー』の1人だ。…実は、5つの『ビッグサポーター』を生み出し『ネズミ・イヌ』の探知システムをアップグレードしても、パインクトで入手した『手掛かり』にはまだ『余裕』があったのだ。だから、その『残り』で他の『サポーター』を管理する『疑似人格』を生み出したのだ。

 すると、オーダーの簡略や自己判断力の強化のみらなず、クルー達との円滑なコミュニケーションが可能になった。

 そして何より、いちいちカノン達を挟まないで済むようになったので彼女らの負担を減らせる事が出来たのだ。

 これは、前々から改善しようとしていた事で特に『7人』が入ってからはより真剣にプランを考えるようになった。

 …ただ、忙しい日々の合間を縫っていた上にどうしても『上手く機能せず』パインクトで『手掛かり』を得るまで滞っていたのだ。

 ーそれが、『手掛かり』を得た翌日から今までの停滞が嘘のようにスムーズに進んだのだ。…どうやら、『手掛かり』から生まれたモノは『手掛かり』でしかアップグレード出来ないようだ。…いや、凄く貴重な情報を得たものだ。


「ー…はあ、本当に貴方には『顔を見る度』驚されるわね」

 貴重な経験を思い出していると、伯母様は『やれやれ』といった感じでそんな事を言う。…多分、俺の今までの活躍もテレビを通して見ているのだろう。

「…『貴女達』も大変ね?きっと、日々驚かせれている事でしょう」

『…あはは』

 そして、同じくキャビンシートに座るライトクルー達に同情した。…すると、当人達は苦笑いを浮かべる。

 ー…あれ、ちょっと待って……。…確か、伯母様は教師をやっていたからか『全体の呼び方』に凄く気を遣っていたハズ。

 例えば、『男子だけ』だと『男子諸君』と呼び…『今』みたく『男女が入り交じった』ていると『キミ達』と呼んでいた。…けれど、今伯母様は『貴女達』と呼んだのだ。

「ーあれ?どうしました?」

「…なんか、気になる事でも?」

 ふと、とんでもない予想が浮かぶ。…すると、何故か『当人達』が俺の変化に気付いた。

「……とりあえず、自己紹介をしましょう。

 ーあ、『ランスター達』は『ちゃんと』名乗ってくれ」

「……はい?……っ!」

「……ウソ」

「「………っ」」

 だから、俺は自己紹介を始める。…勿論、『姉妹』にはちょっとしたオーダーを付け加えた。

 ーまあ、当然2人は勿論ミリアム達も驚愕する。


「「……」」

「…大丈夫。この人は『全部知ってる』から。そして、恐らく2人の『事情』も女史あたりから聞いたのだろう。

 …合ってますか?」

「見事な推理力ね。

 ー実は、私マダム・クルーガーをはじめとする『歴戦の女傑様』達とちょっとした交友関係があるのよ」

『っ!』

 伯母様は頷き、凄い事を言った。…この人も、随分な『ビックリ要素』を持っているのだ。

「…本当、伯母様って顔が広いですね。……っ、もしかして2人の『祖母殿』とも?」

「「…っ……」」

「ええ。

 ーオリバー君は知っていると思うけど、私は長寿人種なの。だから、『彼女達』とも交友があるのよ。

 …勿論、最初は『事情』を話してはくれなかったわ。まあ、『当然』だと思うわ。

 けれどね、共に困難を乗り越えて行く内に2人は私を信用していってくれて…ある時、『秘密』を打ち明けてくれたの。

 あ、その時は同じく『信用出来るメンバー』が同席していたわ」

「…なるほど」

「「……」」

 伯母様の衝撃的なエピソードトークに、俺はそう返すしかなかった。…当然、『彼女ら』の関係者でる姉妹はポカンとしていた。


「「…えっと」」

 そして、『アーツ』の使い手達はちょっと困惑する。…まあ、どこからどう見ても『上品なご婦人』なこの人が『トラブル慣れ』している事が信じられないのだろう。

 そういえば、俺も『教師の前』は何をしていたのか知らないが…。…まあ、今はー。

「ー……。…なら、まずは私から。

 はじめまして。私は、傭兵のアイーシャ=ランスターと申します」

「…ボクは、妹のアイン=ランスターです。

 宜しくお願いします」

 そちらの話を広げたかったが、『姉妹』が意を決したのでスルーした。…そして、2人は静かに名乗った。

「ええ。宜しくね、アイーシャさんアインさん」

「は、はい」

「…あの、外では『イアン』と名乗っていますので出来ればそちらで呼んで下さい」

「…っと、失礼。…極力注意するわ」

「…すみません」

「ー初めまして、シュザンヌ殿。私は、ミリアム=リーベルトと申します。

 主な役割は、こちらの姉妹の『アーツインストラクター』となります」

 そんなやり取りが終わると、ミリアムは直ぐに自己紹介を始める。…こういう場面でも、パッと行動出来るのが彼女の美点だと思う。

「…へぇ、そうなんだ。…どうやら、『ステージの裏』でいろいろとあったようね?」

 すると、伯母様は興味深そうな反応をする。…そして、直ぐに『鋭い予想』を口にした。


「…本当、伯母様には敵いませんね」

「…やっぱりね。…あ、ごめんなさいね。

 ー宜しくね、ミリアムさん。…ちなみに、貴女は『どちら』の担当なのかしら?」

『…っ!?』

『経験の差』を感じていると、ふと伯母様はこちらが物凄くビックリする事を聞いて来た。…あ、もしかして伯母様って『アーツ』の心得があるのかな?

「……。…っ、えっと、私は『姉』の担当です」

「…あ、いけない。ごめんなさいね、驚かせてしまって。

 ……ちなみに、先に謝っておくけどそちらの博士さんが『下の子』の担当なのかしら?」

 ミリアムは、何とか冷静さを取り戻し答える。それを見た伯母様は、ちょっと反省しつつ…先に謝罪した上でまたもや鋭い予想を口にした。

『………』

 当然、またしてもクルー達は唖然とする。…すげー。ちゃんとエリゼ博士の『実力』を見抜いている。まるでー。

「ー…っ。…えと、私は第1独立遊撃部隊科学調査担当のエリゼ=アルジェントです。

 …あの、どうして私がアインさんの『アーツインストラクター』だと分かったんですか?」

 すると、博士はそのタイミングで名乗り…オドオドしながらも疑問を口にした。

「…まあ、簡単に説明すると私も『その道』を歩いていた事があったからかな?

 だから、なんとなく『分かる』のよ」

『……』

 …ビンゴォ……。…マジで、『マスタークラス』の領域じゃんか。…これは、相当な『事情』があるとみた。


「…あ、申し遅れたわ。

 私は、シュザンヌ=レーグニッツ。そこに居るオリバーの義理の伯母になるわ。

 今は、『青の銀河』ブルタウオのセサアシスにあるシーミュージアムで館長をしているの」

『…っ』

 すると、最後に伯母様が自己紹介をした。…そして、現在の肩書きにまたまたクルー達は驚く。

「どうか、宜しくお願いね」

『…は、はい』

 最後に、伯母様が頭を下げるとクルー達は少し遅れて頭を下げた。

『ー御歓談中、失礼イタシマス』

 そんな時、ふと『エージェント』が姿を現した。…どうやらー。

「大丈夫だ。…そろそろ、ステーションに到着か?」

『ソノ通リデゴザイマス。後、5分程デ到着イタシマス』

「ありがとう。

 ーでは、話は一旦終わりにしましょう。…ああ、続きは『別のリムジン』で出来ますのでご安心を」

「…っ。…こんな立派なリムジンがまだあるのね」

 俺は主に伯母様に向けてそんな事を言う。…まあ、当然伯母様は唖然とするのだったー。


 ーそして、リムジンはステーション傍の地上パーキングに停まりそこからは『サポーター』と共にリニアに乗った。


『ーイーストゲート-デス。オ降リノ際ハ、足元ニゴ注意下サイ』

 それから、リニアで数10分掛けてイーストエリアの『玄関口』に到着した。…あー。

 プラットホームの窓から外を見ると、まだ夕暮れ時なのに随分と外は暗かった。…その原因は、大粒の雨だった。

「…うわ、予報通りですね」

「…レインセットを持って来て正解だったな。

 ーあ、伯母様。これを」

「ありがとう」

 とりあえず、俺達は準備をして下のフロアに降りる。……あれ?

 そして、ゲートを出てステーション出入口に向かっていると…その脇に身なりの良い壮年が立っていた。

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