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最終段階

 ーSide『ガーディアン』



 ーオリバー達が『セカンドステージ』にチャレンジしている頃。ファロークス運送の所持するイベントホールでは、『メインステージ』の準備が進められていた。

『ー今運んでるマシンは、こっちに下ろして下さいっ!』

『すみません、このガジェットは何処に置いたら良いですか?』

 会場となる広大なホールの中は、テレビ局のスタッフやファロークスのスタッフがメガホンでオーダーを出したりアッチコッチに駆け回っていた。

『ーいや~、大変そうですね~』

『ああ…。でも、今のところトラブルは起きていないようだ』

『流石、プロですな』

 その様子を、情報班のレナートとワジとモンドは感心した様子で見ていた。…ただし、3人共離れた場所で時折デバイスチェックしつつだが。

『ーあ、今こっちの-ネズミ達-の確認が終わりました。……良し。

 こちらは、異常無しです』

 すると、ワジが真っ先に報告をする。…そう、彼らは『リトルトルーパー』で観客席の安全確認を行っていたのである。

『了解。ボルドー、そちらは?』

『こちらは、後30シートといったところです』

『分かった。…っと、こっちも今終わりだ。

 ーうん、こっちも大丈夫だ』

 すると、レナートの『担当箇所』も終わったようだ。勿論、彼の所も異常はなかった。


『この分だと、私の所も大丈夫そうですね。

 ー…っと、こちらも終了しました』

 モンドがそう予想していると、ちょうど『ネズミ』達から報告が来た。

『どうだ?』

『勿論、大丈夫でした』

『分かった。

 ーこちら、-第2グループ-。-通信担当-、応答願います』

『ーはい、こちら通信担当』

 2人からの報告を受けたレナートは、『通信担当』…ディーターに通信をする。…尚、いつもみたく『コードネーム』を使用しないのはディーターがファロークスの通信スタッフと一緒に居るからである。

『それでは、貴方達はホール内の安全確認に加わって下さい』

『了解しました。…今の所、異常はありませんか?』

『はい。現在、地下パーキング、1階~3階までの確認は終わっていますが異常はありませんでした』

『そうですか。では、私達は屋上の確認に行きます』

 レナートは念のため確認すると、向こうは簡潔に答えた。それを聞いた彼は、もう1つグループの動きを予想し行き先を告げる。

『宜しくお願いします』

『了解です。

 ー良し、それじゃ-ネズミ-達を回収後次に行くぞ』

『了解』

『分かりました』

 そして、通信を終えた彼は2人に声を掛け『ネズミ』達が戻って来るのを待ったー。


 ーそして、数分後。

「ーあ、お疲れ様」

「お疲れ様でーす」

「どうも」

『ネズミ』達を回収した彼らは素早く合流し、屋上へと向かう。その道中、イリーナとアーニャとレイラで構成された『第1グループ』と出くわした。

「「「お疲れ様です」」」

 3人は、『敬礼』せずにお辞儀をした。…ちなみに、今居るのは階段ゾーンなので人気はないのだが『行動中』なので自然と『そうしている』のだ。

「皆さんも、屋上ですか?」

「ええ」

 イリーナの確認に、レナートは頷く。その様子は、第3者からみれば『グループ』のやり取りに見えるだろう。

 そして、そのまま1列に並んで素早く移動を開始した。…やはり、この辺りは『軍人』の習性とだろう。

「ーふう」

 それから更に数分後。彼らは全く息を乱さず屋上に到着した。

「ーこちら、『第1グループ』。通信担当、応答願います」

『こちら通信担当。どうされました?』

「現在、屋上に到着しました。これより、『他のグループ』の人達と共に屋上の到着を始めます」

 すると、イリーナは直ぐにディーターに連絡を入れる。勿論、彼女はレナートのチームと合流した事もきちんと告げた。これは、完全に『いつものクセ』というヤツだろう。


『了解しました。お願いします』

「…良し。

 それでは、始めましょう」

『了解です』

 通信が終わると、彼女は開始をコールする。そして、全員直ぐに『メイドインカノープス』のバックパックから『ハウス』を取り出し『ネズミ』を展開した。

『ーCHUU!』

「ーっ!……」

『CHUU!』

「…はあ」

 だが、安全確認を始めて少し経った時にはそこら中で『ネズミ』が警告してきた。…会場や各フロアに異常がなかっただけに、彼らは深いため息を吐きつつ該当の『ネズミ』の元に向かう。

「『やれやれ』だわ…。本当、ビックリするほど『諦め』が悪い連中ね」

「…ですね」

 イリーナとレナートも頭を抱えながら、警告してくれている『ネズミ』元に向かった。…そして、イリーナは『ネズミ』の後ろに立ち『任務用』の通信デバイスを取り出す。

「こちら、『レギュラーレディ』。

 ー『エージェント・マウス』応答願う」

『ーハイ、コチラ-エージェント・マウス-』

 そして、彼女はコードネームを名乗り『カノープス』に通信を入れる。

 ーすると、『マウス』のような容姿のメイド…『エージェント・マウス』がエアウィンドウに表示された。

『彼女』も、『エージェント・ホース』と同様サイバー空間からサポートするエージェントなのだ。


「ーオーダー。『異常の特定』を実行して下さい」

『了解シマシタ。現在、屋上デ活動中ノトルーパーヲ作業ニ当タラセマス』

『ーCHUU!』

 すると、数10秒で彼女の指揮する『ネズミ』達が集合し該当ポイント…ヘリポートの土台を調べ始めた。

『ーこちら通信担当。どうかされましたか?』

 その時、ちょうど良いタイミングでディータから通信が入る。

「…たった今、『ネズミ』達が『イレギュラー』を発見したのですよ。現在、『特定』をしている最中です」

『…っ!そうでしたか。

 実は、私の元に居る-トリ-が落ち着かない様子でしたのでね』

「…なるほどー」

『ーCHUUU!』

 そんなやり取りをしていると、『ネズミ』の一体が鳴いた。…どうやら、『モノ』を発見したようだ。

「…一旦、切ります」

『了解です』

 彼女は一旦通信を切り、『ネズミ』とリンクしたゴーグルを装置する。

「ーっ!」

 直後、彼女は驚愕した。…何故なら、そこは小さな『起動装置』が仕掛けられていたのだ。

 ーつまり、屋上の他の反応は『トラップ』であり…全てが連動している可能があるのだ。

「ー『お姉さん』っ!『デカイ』のがありましたっ!」

「こっちもですっ!」

 すると、あちらこちらから報告が出て来た。


「了解ですっ!

 ーこちら、第2グループ」

『はいっ!』

 なので、彼女は再度ディーターに通信する。すると、向こうは素早く出た。

「どうやら、屋上の至るところに大型の『トラップ』が仕掛けられています。そして、それらはヘリポートの土台に仕掛けられた『起動装置』とリンクしていると思われます」

『…っ!了解しました。至急、地上部隊の危険物処理チームに出動要請を依頼します。

 それとー』

「ー『カノープス』へは、私から依頼して置きます」

『お願いします』

 そして、通信は切れ…彼女達は再度集合する。

「ー…はあ、なんでこうなるんですかね~?」

「本当、参りますよ…」

 すると、最初にレナートがガックリと肩を落とした。それに続いて、アーニャも項垂れる。

「…でも、この間調査した時には有りませんでしたよね?…まあ、『連中』の事ですから『ふざけたやり方』で設置したんでしょうが……」

 そんな中、ワジは最大の疑問を口にする。 


 ー実は、彼らは『メインステージ』がこの会場に決まってから毎日…それも、昼と夜の2回をファロークスのガードマンと共に安全確行しているのだ。…けれど、『本番』を3日後に控えた今日『イレギュラー』が発生したのだ。


「ーもしかしたら、例の『新型』を使ったのかもしれませんね」

「…充分あり得ますね。となると、ガードマンや出入りしている業者を調べた方が良いのではないですか?」

 すると、モンドはつい最近の現状から予想を口にしてレイラは進言をした。

「…確かに、確率は高いですね。

 ですが、『連中』は我々のカウンターを予想さているやもしれません。…とりあえず、『彼』と現地部隊に相談してからですね」

「…となると、『本日の午前の業務』も終わりですかね」

「ええ。…っと、噂をすればー」

 そんな話をしていると、遠くから警備部隊のサイレンの音が聞こえて来るのだったー。

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