『ーNGYAAA!』
そんなカオスな状況の中、『キャット』の一体が『トリ』に気付き飛び掛かろとする。だが、当然カノンがそれを許すハズもなくー。
『ーさせませんよ』
『NGAAA!』
彼女はバズーカのようなモノを構え、『キャット』に向けてトリガーを引く。直後、銃口からエネルギー弾…ではなく『ネット』が飛び出し『キャット』を捕らえた。
『NGAAA!NGAAA!』
当然、『キャット』はネットを破ろうと暴れ回る。…けれど、どれだけ鋭い爪や牙でネットを引き裂こうとしても一切ダメージを与えられなかった。
『ムダですよ。それは、-スペシャル-なマテリアルから生み出されたネットですから』
『ーNGAAA!』
彼女は、ネットの中で暴れる『キャット』の前に膝を付き淡々と語る。…すると、不意に別の個体が『仲間』を助けるかのようにネットに飛び掛かった。しかしー。
『ーはい、スキだらけ』
『NGAAA!』
アンゼリカはその『チャンス』を逃す事なく、その『キャット』を捕獲した。
『NGAAAA!』
『NGYAAA!』
直後、それを見た他の『キャット』達が一斉に2人に向かって襲い掛かった。…つまりー。
『ーっ!今だっ!』
『は、はいっ!』
それはサーシェスにとって、最大のチャンスになった。だから、直ぐに男と部下達は非常階段に向かって駆け出した。
『ー…っと。ふう、これで-セカンドフェーズ-も問題なく終了ですかね』
『ええ。…では、素早く-スリープ-を実行するとしましょう』
そして、そのフロアには2人と『キャット』だけが残された。…けれど、2人は実に落ち着いた様子で『状況』を語る。
『NGAAA!……!?』
『NGYAA!』
勿論、暴走した『キャット』達の猛攻を簡単に回避しながら。…そして、数秒後に2人は素早くその場から退避する。
『ーNGYAAA!』
『NGAAA!……!?』
当然、『キャット』達は執拗に彼女達に襲い掛る。…けれど、その進軍は直ぐに止まる事になる。
ー『キャット』達は、イエローの『ケージ』の中に閉じ込めらたのだ。
『ーNGA……NGAAAAA!?』
先頭を走っていた個体は、すかさず『ケージ』を突破しようと『壁』に向かって体当たりを繰り出した。
ー直後、その『キャット』は電撃に襲われ悲鳴を上げた。
『ああ、気を付けた方が良いよ。…って、もう遅いか』
『では、始めましょう。
ー…オーダー、フュージョンキャンセル』
そして、カノンは『オーダー』を口にする。
『ーGAUUU!』
直後、空中に待機している『トリ』達から『トラ』の鳴き声が聞こえた。それと同時に、『ウサギ』のフットパーツとフュージョンしていた『トラ』のパーツが分離する。
そして、降下して来た『小型飛行物体』とパーツがフュージョンし…『トラ』になった。
『GAUU!』
『オーダー。ショックスリープ』
『GAUUU!』
それを確認したカノンは、2つ目のオーダーを出した。直後、『トラ』達は『ケージ』の前に向かい…『テイル』を壁に突き刺した。
『ーGNYAAAAA!?』
次の瞬間、『ケージ』の中はエレキフィールドと化す。当然、中に捕らえられていた『キャット』達は悲鳴を上げた。
『ー……NYA……AAA……』
そして、数分後。『キャット』達は身体のあちこちからプスプスと小さなスモークを上げながら、次々と『スリープ』していった。
『セカンドフェーズ、終了』
『お疲れ様でしー……あ』
そこで、ようやく2人は少し気を緩める。…その時、2人に『キャプテン』から通信が入るのだったー。
○
ーSide『ガーディアン』
『ーこちらブラボーチームッ!エネミー反応確認っ!間も無く、エンゲージしますっ!』
『良しっ!防衛軍の威信に掛けて、1人も逃さず確保せよっ!』
『イエス、コマンダーッ!』
報告を聞いた現場指揮官は、部下にオーダーを出す。無論、部下達もそのつもりで待ち構えていた。
ー現在、ノースエリアは夜の時間帯な上小雨が降り注いでいた。しかし、廃棄プラントは結集した地上部隊が設置した沢山のライトに照らされており、ハッキリとその姿が見えていた。
そして、既に『制圧チーム』が中に突入しており…朽ちた最奥の廊下にて『連中』が来るのを今か今かと待ち構えていたのだ。
『ーっ!……っ!』
すると、不意に何かを破壊する音が聞こえ直後大量の足音が聞こえて来た。予想通り、連中は非常階段を上って来たのだろう。そして、裏口は完全に使い物にならないだろうから正面の出入り口からエスケープするしかない。
『ーっ!?』
『確保ぉおおおーーーっ!』
『おおおおーーーっ!』
それから数10秒後。『連中』とブラボーチームはエンゲージする。…当然、向こうは驚愕しブラボーチームは即座に拘束を開始した。
『ーいぎゃあっ!』
『がはっ!』
『ぐあっ!』
そして、ガチガチに武装したエネミー達は瞬く間に無力化されていった。
『ー拘束完了っ!…で、-主犯-は?』
『ダメだ、-やっぱり-居ない…』
数分後。最後の1人も無力化され武装を解除された上で拘束された。…だが、今回の主犯たるサーシェスの幹部の姿が見当たらなかった。
『…やはり、エージェント・プラトーの予想通りという事か』
『ああ。
ーマジで、部下を-囮-にしやがった…』
予め『予想』を伝えられていたので、現場の人間はある程度冷静だった。…いや、敵の地も涙もないやり方に僅かに恐怖していたからというのも、冷静でいられる理由だろう。
『ーこちら、アルファ。ブラボー、状況を報告せよ』
『…っ!こちらブラボー。構成員の拘束は完了しました。ただし、-幹部-の姿や反応はありせん』
すると、外に居る現場指揮官から通信が来たのでブラボーチームのリーダーが応答し、速やかに状況を報告した。
『任務ご苦労。…そして、案の定か』
『はい。…恐らくは、-幹部専用のルート-でエスケープをしているのでしょう』
『…だろうな。
ーとりあえず、諸君らは構成員を護送した後チャーリーチームのサポートに回れ』
『イエス、コマンダー。…ふう』
『…んじゃ、速やかにー』
通信を終え、ブラボーチームは直ぐにオーダーを実行…しようとしたその時だった。
『ーっ!?』
『なんだっ!?』
外から、微かに『爆発音』が聞こえたのだ。
ー廃棄されて数年が経過し、あちこちが老朽化しているとはいえエネルギープラントの壁はまだまだ『健在』だ。そして、プラントの壁というものは一番外がかなり頑丈で中も多重構造になっている。
勿論、『ウサギ』のシステムをインストールしたヘルメットを装着しているからというのあるが…そんな分厚い壁を通り抜ける『音』とは、どれだけの『規模』なのだろうか?
『ーアルファチーム、どうしましたっ!』
『…大丈夫だ。直前に、エージェント・プラトーから-急いでヘルメットのセーフティを使用するように-という緊急の連絡が来たのでな』
『…つまり、アルファや待機している同志達が強襲された訳ではないのですね?』
『ああ、心配を掛けて済まない。
ー…何?分かった。…どうやら、先程の爆発はノースエリアの空と宙域の境で起きた物のようだ』
ブラボーチームのリーダーは、安堵しながら最終確認をした。すると、向こうは『大丈夫』だと返し…伝達された情報を語る。
『…一体、何が?…まさか、-最後の悪あがき-とかいうやつでしょうか?』
『…分からない。だが、今のところ通信はクリアだし他のエリアからの被害報告もー』
『ーこちら、カノープス。ノースエリアL-22に展開している連合部隊に通達します』
現場が混乱する中、今度は宙域に居るカノープスから通信が来た。
『先程発生した爆発ですが、あれは敵の-衛星兵器-が破壊された証拠です』
『ーっ!?』
『……』
そして、『クルー』と思われる女性は端的にとんでもない事を報告するのだったー。