『…っ!』
けれど、次の問題に入った瞬間3人は気持ちを切り替えエアウィンドウに注目する。…この辺りは、流石『プロ』といったところだろう。
『次も、モザイク問題です。
ーレッツ、レリーズッ!』
そして、またもやエアウィンドウにモザイクが掛けられた。…さて、次はなんだろうか?
自分でも予想しつつ、テーブルに居る代表の様子を見ていく。
そして、ある程度モザイクがなくなっていき…おや?
けれど、ミリアムは未だに動かなった。そして他の『若手』達も、動く様子はなかった。…しかしー。
『ーはい、クエストのジルバ選手っ!』
『ロウディクショナリー(法律辞書)』
『正解っ!』
唯一、ベテランチームの人が答える。…しまった、ディクショナリーは見せた事はあるが『あれ』はなかったな。くそ、予想以上にマニアックな問題を出して来やがる。
『ー良いぞ~っ!』
『流石だわ~っ!』
大会のレベルの高さを改めて感じるなか、『クエスト』のファン達は歓声と拍手を送った。
『ーはい、というワケで正解はロウディクショナリーでした。…とまあ、このような-マニアック-な問題はこの後も沢山出てくるのでお楽しみにっ!』
そして、モザイクは完全に消え『答え』が表示される。…すると、司会はニコニコしながら軽いネタバレをして来た。
『……』
『さあ、まだまだありますよっ!
ークエスチョン:3』
全員が気を引き締めるなか、司会のコールと共にエアウィンドウに問題が表示される。
ーそれは、複数のイラストで構成されていた。
まず、ライトサイド端には『アクア』と『クタイヤ』。隣には、『ソル』と『ボード』。
そして最後は、『人』と『バイシクル』だ。
『ーさて、このイラストから連想されるのは何でしょうか?』
『ーっ』
すると、再びシビアな解答権争いが始まる。…けれど、こういう時はー。
『ーおおっ!ミリアム選手っ、他を寄せ付けないスピードで解答権を得たっ!
それでは、お答え下さいっ!』
『ダイナモ(発電装置)』
『正解っ!』
『よっしゃああああ~っ!』
彼女の出した答えは、見事正解だった。当然、俺達のファンは盛り上がりを見せる。
『お見事です。
ーでは、簡単に解説しましょう。まず、ライトサイド端は-ハイドロダイナモ-を表します。下のタイヤは-タービン-を意味します。
次のイラストは、-ソーラーダイナモ-に必要なソーラーパネル-ですね。
そして、最後のは-マンパワーダイナモ-…要するに、手動のダイナモということです。そしてこれは、古代文明において一番最初に生まれたダイナモと言われています』
司会は、オーディエンスや視聴者に向けて簡単な解説をした。…いや、本当に良い番組だな。
『さあ、プレシャスノヴァが1歩リードしましたがまだ諦めるのは早いですよっ!
ークエスチョン:4』
すると、またもやエアウィンドウにイラストが表示された。…だが、次のやつはちょっと不思議な形をしていた。
まず、イラストは2つしかなくライトサイドには『ライス』。レフトサイドには、『ホワイトの固形物』だった。そして、その下には下向きの矢印があり…途中で2本の矢印は合流し、最後は『?』となっていた。
『さて、-クエスチョンマーク-に当てはまるモノとは?』
『……っ』
司会が問題文を読み終え、『プッシュタイム』が始まる。けれど、誰も動かなー。
『ーおおっ!ここで、ビッグキャプチャーズのリスタル選手がプッシュしたっ!
それでは、お答え下さいっ!』
『…アマザケ?』
そう思っていたが、『ビッグキャプチャーズ』が解答権を得た。そして、メンバーは自信なさげに答えた。
『正解っ!』
『ーうぉおおおおっ!』
『やるぅううう~っ!』
直後、正解だという事が分かり彼らのファンは歓声を上げた。…くぅ、またしても『マニアック』なモノを……。
『お見事です。
ーそれでは、クエスチョンマークを外しましょう』
司会がそういうと、『?』マークは消え…ホワイトカラーのドリンクが出てきた。
『それでは、こちらも簡単に解説しましょう。
ーこの-アマザケ-は、作り方が2種類存在します。まず、ライス…正確には-メルテッドライス-とホットウォーターを混ぜ、数時間一定の温度を保ち発酵させるパターン。
そして、アルコールドリンクを作る時に出来るペースト状の-搾りかす-とホットウォーターとシュガーを混ぜて、数分シチューするパターンがあります』
ー…くぅう。メルテッドライスの方は実際に飲んだ事もあるが、もう1つのは聞いた事しかなかったからな。…やはり、『古代の食文化』は奥が深いな。
『さて、クイーンの率いチームとスチューデントチームは未だゼロですがまだまだチャンスはありますので、どんどんチャレンジして下さいっ!
ークエスチョン:5』
そんな事を考えていると、エアウィンドウ一面に『何か』が表示された。
『ウィンドウに表示されているのは、とある古代のマシンの一部分です。そして、今からだんだんとカメラ離れて行きますので分かった時点でお答え下さい』
『……』
すると、チャレンジャー達はエアウィンドウを注視する。…さて、どうなるかな?
『それでは…スタート!』
司会がコールすると、ゆっくりとカメラが引いて行く。…カラーリングは、落ち着いた感じの-ウッドテイスト-だな。いや、もしかするとー。
俺も予想を立てつつ、ふと『隣』を見る。…おや?
『ー……』
『ヒストリーメイデンズ』は、代表を安心した様子で見ていたのだ。…つまり、代表の彼女は『アレ』を知っている事になる。そしてー。
『ーおおっ!遂に、ヒストリーメイデンズが動いたっ!
それでは、スンスー選手。お答え下さいっ!』
『ミシンッ!』
『正確っ!』
『ワアアアア~ッ!』
『キャアアアアア~ッ!』
直後、彼女達に黄色い声援が送られた。…いやあ、まさか古代の『ミシン』まで出てくるとはねぇ~。
『いやはや、お見事ですっ!恐らく、チームメイトのマリー選手が教えたのでしょう。彼女はかの有名なブランドの-マイスターの関係者-ですからねっ!』
すると、司会はライバルチームのデータをほんの少し開示した。…なるほど。多分、その『身内』は相当な『マニア』だったんだろうな。その影響で、彼女も自然と…って、ワケか。
しかし、『有名ブランド』ねぇ~?…ひょっとしたら『ウチのマイスター』のご実家のライバルカンパニーとかかな?
『さあ、これで4チームが得点ゲットとなりました。残るは、イスチューデントチームだけですが果たしてっ!?』
『……』
司会のアナウンスに、彼らは更に緊張する。…けれど、『諦め』は微塵も感じられなかった。
『クエスチョン:6。
ー次は、サウンド問題です』
『…っ』
すると、エアウィンドウには『?』だけが表示される。そして、チャレンジャー達は耳に神経を研ぎ澄ませた。…いや、本当に幅広い。
『今から、とあるマシンの起動音が流れます。
それでは、サウンド・スタートッ!』
司会がコールすると、エアウィンドウにて3カウントが行われる。そしてー。
『ーっ!ジルバ選手っ!』
『個人所有端末の起動音っ!』
『お見事ですっ!』
サウンドが流れた直後、真っ先に動いたのはベテランのジルバ選手だった。勿論、きちんとポイントをゲットしていく。
『はい、というワケで-モノ-…は流石にないのでイメージ画像をお見せしましょう』
すると、エアウィンドウに『古代の個人端末』が出現した。…おー、サイズ感もバッチリだ。
『さて、いよいよ残り4クエスチョンとなりました。果たして、このまま僅差の戦いが続くのか!?
それとも、1チームが大幅リードするのか!?
ーそれでは、クエスチョン:7』
リアリティのあるイメージ画像に感心していると、司会はそう言った後コールする。
『次は、私が問題文を読まさせて頂きます。
ー古代のとある国家では、食前…っ!はいっ!ミリアム選手っ!』
『いただきます。ごちそうさまでした』
読み上げの途中、『食前』の部分ですかさず4チームが一斉にプッシュする。…けれど、こういう時に強いのはミリアムなんだよな~。
『正解っ!
ー古代のとある国家では、食前・食後に挨拶をしますが何と言うでしょうか?…という問題でしたが、ミリアム選手が勝ち取りましたっ!』
そして、問題文が最後まで読まれる。…まあ、これは彼女にしてみれば『サービス問題』みたいなモノだろう。
『さあさあ、残りは3クエスチョンっ!このままプレシャスノヴァがリードかっ!?』
『……』
それを聞いた4チームは、ただ平静としているのだった。