『ークエスチョン:8
続いても、私が問題文を読み上げますっ!』
『……っ』
『古代では、1つの星に様々な気候や地質が収束されていたと言われていますが中でもー』
司会がある程度読み上げ瞬間、ただ1人だけがプッシュした。…ほう。
『はい、スンスー選手っ!』
それは、『ヒストリーメイデンズ』のスンスー選手だった。…多分、『勝負』に出たのだろうな。
『-北極圏-』
『……。…正確っ!』
そして、司会は少し溜めた後コールする。…お見事。
見事『勝負』に勝った彼女に、俺は内心で拍手を送る。
『それでは、最後まで問題文を読み上げます。
ー古代では、1つの星に様々な気候が収束していたと言われていますが中でも極度に低温なエリアを、なんと言うでしょう。
というワケで、正解は-北極圏-でした。…いやはや、-クイッククイーン-の2つ名に恥じない見事なクイックプッシュでした』
…まさに、その通りだ。本当、『プロ』は違うなぁ。
『さあ、これで残るは2クエスチョンとなりましたっ!果たして、どんなドラマが巻き起こるのかっ!?
ークエスチョン:9』
司会も会場のボルテージも上がるなか、再びエアウィンドウにドアップでゴールドカラーの物体が写し出された。…あー、なんか見た事あるなぁ~?
『それでは、スタートッ!』
俺が記憶のサルベージを始めるのと同時に、司会はコールした。そして、徐々にアップは解除されていく。…けれど、誰もプッシュしようとはしなー。
『ーっ!おおっ!遂にイデーヴェスヒストリー研究会のルーリー選手がプッシュしたっ!』
『おぉおおお~っ!?』
まさかのチャレンジに、司会は興奮し会場はどよめいた。
『さあ、お答え下さいっ!』
『ー…弁護士』
『……。…残念……っ!』
『あぁ~…』
しかし、彼のチャレンジは失敗に終わってしまう。…当然、会場は少しだけ盛り下がる。
『それでは、続きを見て行きましょう』
そして、司会は直ぐに切り替えて再びムービーを再開した。けれど、やはり直ぐには誰もプッシュせずどんどんとアップが解除されて行くのだがー。
ーあ、『アレ』かな?
『キーとなるマーク』が出た時、俺は答えにたどり着いた。…と、次の瞬間リスタルが素早くプッシュする。
『はいっ!リスタル選手っ!』
『ポリスライセンスッ!』
『正解っ!
それでは、最後まで見て行きましょう』
そして、最後までアップは解除され『ポリスライセンス付きノートブック』が表示された。
今はどんなジョブもデータやカードのライセンスが当たり前だが、古代の司法機関はああいうのやバッジがメインだったんだよな~。
『ーというワケで正解は、ポリスライセンスでした。…ちなみに-コレ-は古代文明でもっとも多くの人種が暮らしていた国家のポリスライセンスになります。
そう。古代では、様々なデザインの-ポリスライセンス-があったのです』
ー…あー、そんな話だったな~。そういえば、確か『あそこ』はポリスがあったな。
司会の解説に、俺は昔見たヒストリー番組の内容と…『とある大国』の体制を思い出した。
『さあ、これでヒストリーメイデンズとクエストとビッグキャプチャーズが横並びになりましたっ!…そして、次でいよいよオープニングチャレンジは終了となりますっ!
ーそれでは、クエスチョン:10』
すると、エアウィンドウに1人の男性が映し出された。…見た所、至って普通の格好をしている何処にでも居るような人物だ。
『今から、この男性はある事を行います。
ーそれでは、スタートッ!』
司会はそれだけ言って、コールをした。…となると、『古代の習慣』か。うーん…って、あれ?
問題が始まって直ぐに、俺は何故か『彼』が何をするか読めてしまった。…だってー。
『ーはいっ!ジルバ選手っ!』
俺が『とある事』を思い出している一方、最初にジルバ選手が解答権を得る。…多分、『チャレンジ』するつもりだ。
『ペットの散歩』
『…残念っ!
ーはい、スンスー選手っ!』
けれど、彼らはミスをしてしまう。そして、すかさずスンスー選手が解答権を得た。
『ショッピング』
『…残念っ!…さあ、他には?』
しかし、彼女もミスしてしまう。その後、誰もプッシュをしなかった。
『では、再開しましょうっ!』
それから再び、ムービーは始まる。…そう、彼は至って『普通』の格好だ。だから、当然至って『普通』の事をするのだろう。
ーでは、肝心の『それ』の内容とは?…それは勿論、ムービーの中にヒントがある。
まず、時間帯は恐らく夕方。そして、周囲は古代の住宅エリアを忠実に再現したフィールド。
それを見て、『ペットの散歩』とか『ショッピング』と判断したんだろうが…もう1つ判断材料がある。それはー。
『ーはいっ!リスタル選手っ!』
『ー…トラベル』
『…残念っ!』
すると、ちょうどリスタル選手が解答するがあえなくミスしてしまう。…多分、彼はムービーの中の男性が『何かを背負って』いるのに気付いたのだろう。
『さあ、まだいませんかっ!?
それでは、再開しましょう』
そして、またムービーは再開する。…すると、男性はとある大きな建造物に入った。
ー確かあれは、『トレインステーション』と呼ばれる建物だったな。…さて、『トラベル』が違うと言われた後にこの建物を見せるという事は、どういう意味なのだろな?
俺は、我がチームの代表であるミリアムに期待の視線を向ける。…多分、彼女も俺と同じ『経験』があると思うんだけどな。
そんな事を考えていると、彼はステーションの中を進みプラットホームへとたどり着いた。どうやら、『構造』自体は今も『昔』も変わらないようだ。
『ーおおっ!ここでミリアム選手が動いたっ!
それでは、解答をっ!』
『ーナイトワーク』
『…お見事っ!』
そして、遂にミリアムがプッシュする。…勿論彼女は、正解を口にした。
『それでは、最後の場面を確認しましょう』
すると、ムービーは一気に最後の方に飛んだ。そこでは、男性がガードマンのような格好に着替えており業務を始める様子が映っていた。
『ー…というワケで、正解はナイトワークでしたっ!いやはや、お見事ですっ!』
司会は、称賛のコメントをする。…まあ、これは実際の経験が生きたのだろう。
ーすなわち、『夜間の害獣駆除』という『ナイトワー』だ。何せ彼女の生まれ育った地は自然豊かなエリアが多いので、それに伴って『発生率』も多いのだ。
そして、彼女…『あそこの人達』は身に付けたアーツを世のため人の為に使う事を信条としている。だから、街の『専門業者』からサポートをかって出ているのだと、師匠から聞いた事がある。
まあ、彼女くらいの実力者なら駆り出されても不思議はないしマウンテンエリアの土地勘も業者以上だから、凄く優秀なサポーターだった事だろう。…とりあえず、後で聞いてみよう。
『さあ、まさかの結果となりましたがまだ-オープニング-ですっ!
つまり、まだまだ逆転のチャンスはありますので頑張って下さいっ!
ーそれでは、ファーストセクションに移りたいと思いますっ!』
そんな事を決めていると、司会はコメントの後コールする。
ー直後、ステージ中央の床が『オープン』しそこから分厚いブックの形をした巨大なオブジェが出てきた。…あー、『アレ』かな?
『ファーストセクションの内容は、コレだっ!
ー古代の政治と法律…すなわち、-ロウ&ルール-だっ!』
そして、エアウィンドにびっしりと小さな文字とそれを背景にして『タイトル』が表示された。…後ろの文字の羅列は、さながら『条文』のようだ。いや、やっぱりプロってセンスが良いな。
『さあ、それでは代表の方は前に出て下さい。
ー尚、このゲームの間は-相談-OKとします』
すると、司会はそんな事をアナウンスした。…マジか。まあ、それだけ『マニアック』だと言う事だろう。
「ーじゃあ、行って来ます」
「頼みます」
そして、ヒューバートは立ち上がったので例のヤツをやり見送る。すると、入れ替わりでミリアムが戻って来た。