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メインステージ-ファースト④-

『3人共、お見事ですっ!

 では、少し解説致します』

 司会がそう言うと、ウィンドウの画像は切り替わり幾つかのデータが表示された。

『こちらのデータは、ヒストリーサーチャーよりお借りした-アルコールのルール-です。

 基本的には、20歳以上と決められていますが中には18歳以上でアルコール摂取が出来た国家もありました。

 ーそして、驚愕なのはそもそも-アルコール摂取を禁止している-国家があるということです』

『…っ!?』

『……』

 司会がそう言うと、オーディエンスは驚愕してしまう。同時に、『ハンターチーム』は唖然としていた。…まあ、彼らの大半はアルコールを『命の水』って読むほどの『大好き人間』だからな。『そんな国家』がかつて存在していた事実が、信じられないのだろう。

『なので、今日このステージにお越しの皆さんは…まず最後に説明した事を記憶して下さい。

 ーもしも、皆さんや皆さんのご家族やご友人が-ヒストリーテスト-を受ける時この知識は必ず役に立つはずですから。

 …尚、現在銀河連盟ではアルコール摂取は-20歳以上-と定められています』

 そして、司会は説明の最後にお決まりの注意喚起を入れた。…まあ、俺の『弟と妹』みたいな『未成年』も見てる事だし当然だな。


『さあ、残すはあと3クエスチョンですっ!

 ークエスチョン:8』

 司会はそう言い、次をコールした。…するとギミックが作動しエアウィンドウに映像が表示される。…ほう。

 どうやら次は、再現ムービーのようだ。


 ー『そこ』は、わりと規模の大きい『ショッピングストリート』だった。…そして、シーンはその中の1つ…とあるフードショップに変わる。

『ー……』

『……』

 チャレンジャー達が真剣にウィンドウを注視していると、映像は1人の客にフォーカスを当てる。…うん?

 やがて、映像はその男性客の正面を映したのだが…その瞬間、俺は彼の様子がおかしい事に気付いた。

 ー恐らく食事を終えたであろう彼は、何故か緊張していたのだ。普通、食事の後は満腹感や満足感…すなわち、『幸せ』や表情をしているものだ。

『ー……っ!』

 すると、彼は『何かよからぬ決意』を決めゆっくりと席を立つ。その際、自分の小さなリュックも持ち…トイレへと向かった。まさかー。


『ーさて、ここからが本題です。

 彼は、何故-慌てて-いたのでしょうか?そしてこれから、-何をしでかそうと-しているのでしょうか?

 お答えください』

 その時点で、俺は『気付いて』しまう。それと同時に映像は終わり、司会がアナウンスした。


『ー……』

 すると、学生チーム以外はスムーズに記入を始める。…まあ、これは『大人』なら誰でも経験ある事だろう。故に、迷いなく記入出来るのだろう。

『さあ、スチューデントチーム以外は悩む事なくアンサーを記入しましたっ!

 …そして、スチューデントチームは完全に思考が止まっているのか沈黙状態だっ!』

 司会の言うように、学生チームに活気はなかった。…けれど、俺は彼らが『諦めている』ようには見えなかった。

 多分、各々必死に記憶のサルベージを行っているのだろう。…そしてー。

『ーシンキングタイム、終了ですっ!

 さあ果たして、スチューデントチームはこのクエスチョンをクリアする事が可能なのかっ!?』

 シンキングタイムは終わり、リプロ選手はテーブルに戻る。…彼は、もの凄く不安そうにしながらもアンサーを記入していった。

『ーさあ、全員のアンサーが出揃いましたっ!

 それでは、アンサーを一斉にオープンッ!』

 そして、全員のアンサーが表示された。…その瞬間、リプロ選手は少しホッとしていた。

『おぉ、なんと奇跡的に全員のアンサーが一致しましたっ!…では、正解を発表しますっ!』

 司会がそう言うと、全員に『○』が付いた。…直後、リプロ選手は心底ホッとした。

『皆さん、お見事ですっ!

 ー正解は、-キャッシュが足りず-に-支払いをせずにフードショップを出ようとする-でした。

 いやはや、リプロ選手はまだスチューデントですのに良くアンサーが出ましたね。きっと、ロウのスタディ中に記憶したのでしょう』

『ー良いぞぉおおお~っ!』

『流石ぁあああ~っ!』

 司会が彼のプロフィールを織り交ぜたコメントをすると、彼らの応援チームがここぞとばかりに叫んだ。…なるほどね。

『では、続きをご覧下さいー』

 そして、再現ムービーはリスタートした。


 ー男は、トイレの中で準備をした後ダッシュの姿勢になる。…直後、男はドアを開け一気に外まで駆け出した。当然、スタッフは騒ぎショップ内もザワザワとするが…次の瞬間、男にとってもショップにとっても予想外の事が起きた。

『ーはい、現行犯っと』

『うわぁっ!』

 ショップの外には、ガードマンのような衣装…恐らく、『ポリスマン』の制服を着たガタイの良い男性が腰を落として待ち構えており、男の逃走を容易く阻止た上で再び逃走しないようにガッチリとホールドしたのだったー。


『ーとまあ、このように男はたまたま近くをパトロールしていたポリスマンに捕まりましたとさ。

 いやはや、先程のクエスチョンもそうですが…やはり悪い企みは必ず失敗するのですね』

 再現ムービーが終わると、司会はそんなコメントをした。…なんか、若干の『私情』を感じるな。まあ、『被害者』なのだからしょうがないんだけど…。

『ちなみに、現在銀河連盟のルールでは-フードショップ・フードコートはチケット購入による前払い制-となっております。

 また、バンクからダイレクト決算出来るアプリも多数ありますので-このような犯罪-は、完全に発生しなくなりました』

 司会は捕捉を…現在のルールと便利なシステムの事を話す。…いや、本当地方星系にも『このシステム』を普及させたのがマジで凄い。

『さあ、残すはあと2クエスチョンッ!

 ークエスチョン:9』

 すると、ギミックが作動し…フォトデータが表示された。…おいおい。まさか『アレ』はー。

「ー…ウソ……」

「…マジで?」

「…そ、そんな……」

『それ』を見た瞬間、俺とランスター達と博士は驚愕する。…『それ』は、最新式の透明な『保存ケース』に入れられていた。

 ーそして、『それ』はスクウェアなフォルムでメタリックカラーの物体だった。


「…?『アレ』が、どうかされー」

『ーえぇえええ~っ!』

『ハァアアアア~ッ!?』

『それ』を知らないミリアムは、首を傾げる。けれど、直後他チームとオーディエンスの大半は『それ』が何か理解し…驚愕した。

『ーハハハッ!皆さん、良いリアクションですねっ!

 …そう、こちらの-モノ-はかつてこのラバキアで発見された-手掛かり-の現物です』

「……へ?」

 それを聞いたミリアムは、珍しくポカンとした表情になる。…まあ、『手掛かり』ってのはだいたい『ロストチップ』に記録されているのだが、中には『こういうモノ』もあるのだ。

『では、本題です。

 これは、-イグニッションデバイス-と呼ばれるモノで…古代文明ではこういったモノでライトを付けたり、クッキングマシンやヒートマシンを起動したりしていました。

 ですが、一方でこれらのデバイスは-ヒートトラブル-の原因にもなっていました。

 それを踏まえて、こちらをご覧下さい』

 すると、デバイスを取り囲むように4つの『ポイント』が出てきた。

『このデバイスは、主にスモーキングの時に使用する物ですが…この4つのポイントの中で-スモーキングスポットが無い-場所は何処でしょうか?』

『ー…っ』

 司会がクエスチョンを読み終えた瞬間、またまた代表達がメンバーの元に向かう。

「ー…どれだと思います?」

「…そうですね」

 とりあえず俺は、もう一度ポイントを確認してみる。

 ー『ステーション』、『ホスピタル』、『ホテル』、『ショッピングモール』…か。確かこの中だと、『アレ』だな。

 俺は、自信を持って指を少しレフトサイドに傾けた。

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