「…『ステーション』、という事ですね?」
「ええ。理由は、司会が解説してくれるでしょう」
「分かりました」
ヒューバートは頷き、すぐさまテーブルに戻った。…いや、本当凄い信用と信頼を感じるな。
俺の言葉に一切の疑問や異論を口にしない彼を見て…改めて、『ボス』としてのプレッシャーを感じる。
いや、本当に『大変な役割』を背負う事になったなぁ…。
『ーおおっと、ヒューバート選手早いっ!僅か数分で、代表がテーブルに戻った。
一体、どれだけの知識を有しているのかっ!?』
『ー……』
やれやれと感じていると、司会はこちらの状況をアナウンスする。…当然、他チームは大なり小なり反応した。そしてー。
『ーおおっ!ヨウコ選手、レグー選手ほとんど同時にテーブルに着いた。
そして、2人にやや遅れてエルド選手がテーブルに立った。…そして、またもやリプロ選手が出遅れているが果たして?』
更に数分後。3人のライバル達がテーブルに戻りアンサーを記入していく。…やはり、『成人関係』の問題には弱いかな?
『ーおっと、ついにリプロ選手もテーブルに着きましたっ!さあ、果たして先程のように見事アンサーにたどり着くのでしょうかっ!?』
少し分析していると、ようやく彼もテーブルに戻る。…そして、先程みたく凄く悩みながらアンサーを記入した。
『ーさあ、シンキングタイムが終わりましたのでアンサーをオープンしてみましょうっ!
まずは、ヨウコ選手からっ!』
それから少ししてシンキングタイムは終わり、『オープンフェーズ』に以降する。
最初は、常に付かず離れずのポジションをキープする『クイーンチーム』のヨウコ選手だ。
『ほほぅっ!-ステーション-ですか…。…なるほどなるほど』
オープンされたアンサーを見た司会は、またも意味深な呟きをする。…まあ、『歴戦』の彼女達には当然効果はなかった。
『次は、レグー選手っ!』
そして、2番手は同じくウチと20ポイント差をキープする『ベテランチーム』のレグー選手のようだ。
『おおっ、レグー選手も-ステーション-を選択したようですっ!…これは、もしかして?
ーさあ、次はエルド選手っ!』
『ー……』
レグー選手も、俺達と同じアンサーだった。…その時、ふと学生チームを見ると既に『暗く』なっていた。
ーけれど、お構い無しにゲームは進み…現在『3番手』に甘んじている、『ハンターチーム』のエルド選手のアンサーがオープンされる。
『おおっと、3人連続で同じアンサーが出ましたっ!…やはり、-これ-なのでしょうかっ!?』
やはり、あのチームも大人なだけあって『大人のルール』に詳しいようだ。…そういえば、今は『どのステーション』でもノースモーキングだったな。普通なら『しんどい』と感じるだけで終わってしまうところを、彼らは『何故そうなった』かが気になって調べたんだろう。
いや、『素晴らしい』人達だと思うし見習わなくてはならないだろう。
『ーさあ、お次は初のビッグステージで上手く実力が発揮できないでいるリプロ選手っ!』
『ハンターチーム』に敬意を抱いていると、ついに『学生チーム』のリプロの番が来た。…おお、『プロ』のテクニックが出たぞ。
司会のフォローを織り交ぜた前説に、俺は感動した。…あれなら、彼らを『より追い込む』事はないだろう。
『おおっと、此処で別のアンサーが出てきましたっ!』
そして彼のアンサーがオープンされるのだが、なんと彼は『ホスピタル』を選択したのだ。
『さあ、最後は現在トップを走るヒューバート選手ですっ!』
けれど、司会は意味深なコメントをせずに最後のチャレンジャー…ヒューバートの番に移行する。
『おおっ、やはりヒューバート選手はヨウコ選手達と同じ選択をしていましたっ!
ーそれでは、正解を発表しますっ!』
司会がそう宣言した直後、ヒューバートとヨウコ選手とレグー選手とエルド選手のアンサーに『○』が付いた。
『ああっとっ!やはり、4チームだけが正解したようですっ!』
『ー……っ』
その瞬間、リプロ選手は項垂れてしまった。…可哀想だが、『勝負事』なので仕方ない。
『それでは、簡単に解説致します。
ーチャレンジャーの皆さん…特に-ビッグキャプチャーズ-の方々は良くご存じかと思いますが、現在のルールでは-地上と宇宙両方のステーションではノースモーキング-となっております。
実は、このルールは古代文明より受け継がれていたルールになるのです。
…そして、このルールの発端は-トラブル-によるものだったという記録が残っています』
「ー…そうだったのですね」
「あ、私も『見た』事があります。…確か、スモーカーのマナー違反が原因だった気が」
ミリアムは興味深く司会の解説を聞き、博士は以前やっていた『ヒストリームービー』の事を思い出していた。…いつの時代も、『トラブルメーカー』っているんだよな~。
『…尚、スチューデントチームのアンサーであるホスピタルについてもちょっと説明しましょう。
ーなんと古代のホスピタルでは、敷地内にスモーキングポイントがあったのです』
『ーっ!?』
「「………」」
「ああ。…いや、ビックリだよな~」
その解説に、オーディエンスは驚愕しランスターの2人も唖然としながらこちらを見た。なので、俺は頷く。…正直、俺も最初知った時はマジで2人みたくなった。
『さあ、いよいよ-ファーストセクション-も次がラストですっ!
ークエスチョン:10』
そうこうしている内に、ラストクエスチョンが始まった。
ーすると、ギミック…いや『ブック』は先程までと違いゆっくりとライトサイドに移動し始めた。
『ラストとなるこのクエスチョンは、ウィンドウからではなく-デモンストレーション-で行います。
ーそれでは、まずはアクターの皆様にご登場頂きましょうっ!』
そんな中、司会はそう言った。…いや、流石記念特番だけあって、豪華だな~。
そして、『ブック』があった場所から2人の人物が…っ!?な、何で…?
その2人には、凄く『見覚え』…しかなかった。何故ならー。
『ーえぇええええ~っ!?』
『キャアアアア~ッ!?』
その2人を見たオーディエンスは、半分は驚愕の声を出しもう半分は『歓喜の悲鳴』を出す。
『ー………』
勿論、俺達チャレンジャーもそのアクター…いや、『サプライズゲスト』に驚きを隠せなかった。
『この場にお集まりの皆様には、説明は不要かと思いますがご紹介致しましょうっ!
ーまず、皆様から見てライトサイドに立つのは-アクター界のプリンセス-ことミルディーヌ=ドレスデンさんっ!』
まずは、ライトサイドに立つおしとやかな印象のロングヘアーの女性…ドレスデンさんが紹介される。彼女は、司会の説明の通り『ムービーアクター界のプリンセス』と言われる実力派のアクターだ。
…だが、恐らくオーディエンスの半分は彼女よりも隣に立つ『スーパーゲスト』に驚いているのだろう。
『そして、レフトサイドに立つのは…かのチームの-顔役-のお一人。
-連盟内の女性船乗りの永遠のお姉様-。-船乗り界のBIG3-と複数の称号を持つ…まさに、-船乗り界のエンプレス-ッ!
フレイ=クルーガー女史っ!』
そして、その隣に立つ艶やかな『エメラルド』カラーのセミロングのヘアーのクルーガー女史が紹介された。…いや、マジで何で?
『チャレンジャーやオーディエンスの皆様の疑問は当然でしょう。しかし、それの説明は-いろいろな事情-により省かせて頂きます。
勿論、後日当テレビ局の公式サイトに理由を掲載いたしますのでご了承下さい。
ーそれでは、ドレスデンさんとクルーガー女史。宜しくお願いいたしますっ!』
疑問を抱いていると、司会はそう言って進行する。…まあ、後で『2人から』事情を聞いてみるか。
俺は一旦スルーし、クエスチョンに集中する。
ーすると、ドレスデンさんは纏う空気を一変させる。…それはまるで、『何かに悩まされていている女性』だった。
『ーあら、奇遇ですね。…って、どうしたんですか?』
一方、女史は少し離れた場所に移動した後…彼女と『偶然出会った』。…スゴ。なんて自然な演技だ。
女史は、実に見事な『彼女の友人』を演じていた。…そして、これまた見事な『心配の表情』になる。
『…っ!…あ、どうも。……いえ、なんでもありません』
するとドレスデンさんは、少し遅れて声を掛けられた事に気付いた。…けれど、彼女は『悩み事』を隠した。しかしー。
『ーっ!?』
直後、ステージに『電子音』が鳴り響き彼女はビクッとする。…このSE、ウチにある『家庭用固定端末』のコール音に似てる。…ああ、『古代の通信端』を再現してるのか。
『…どうしたの?』
そんなどうでも良い事を考えていると、女史はいつの間にか真剣な表情になり再度彼女に聞いた。…ふむ。
その間も、端末のコールはなり続けた。…けれども、彼女はビクビクしたままで通信には出なかった。
そして、数分後にコール音は止まる。…しかし彼女は、依然怯えたままだった。
『…もしかしてー』
『ーさあ、此処からが本題です。
女性は一体、-何に-悩まされているのでしょうか?』
女史が『核心』に触れる直前で2人の演技は終わり、司会が本題を告げた。…まさか、女史に『アクター』の経験があったとはな。
『ーおおっ!皆様スピーディーにアンサーを記入していくっ!』
改めて驚愕していると、5人の代表は素早くアンサーを記入していた。…しかし、最後に『コレ』を持ってくるとは。
『さあ、それでは全員記入が終わりましたので一斉にオープンッ!』
そして、全員のアンサーが一斉にオープンされるが…ラストは『ストーカー』で統一されていた。…まあ、これは今も社会問題だからな~。
『ヒストリーマニア』なら、そのルーツを探るのは当然の事だ。
『やはり、皆様は優秀な方々のようですね。
ーお見事ですっ!』
そして、当然全員にポイントが入るのだった。