『さて、これでファーストセクションは終わりましたっ!…いやはや、まだ始まったばかりというのに見所満載の激しいバトルでしたねっ!
ーそれでは、ドレスデンさんとクルーガー女史はここで一旦ご退出ですっ!』
すると、ウチの『アースサポーター』数名がステージの脇から出て来て2人のエスコートを始める。
「…え?『一旦』?」
「…もしかしなくても、この後も出番があるって事ですよね……」
「…でしょうね」
一方、俺とランスターは司会のアナウンスを聞いていろいろ察した。
「…えっと、なんで『顔役』殿とメンバーの方が?」
「…多分ですけど、『応援』でしょうね。…そして、恐らく女史はこのテレビ局と深い関係があるのでしょう」
ミリアムも、女史達を目で追いかけつつ当然の疑問を口にする。なので、俺なりの予想を返した。
「…直接応援に来るって、どれだけフットワークが軽いんですか……。それに、深い関係って一体……」
すると、いつの間にか戻って来たヒューバートがツッコミと疑問を口にする。
「まあ、これが『ウチ』のスタイルなんで慣れて下さい。…そして、残された謎はー」
『ーそれでは、セカンドセクションに参るとしましょうっ!』
話している内に、女史達の退出は終わり…いよいよ『セカンドセクション』が始まろとしていた。
「ー『勝った後』で、ご本人達に直接聞くより他ないですね」
『…っ。…了解』
俺の言葉に、全員ハッとして直ぐに気持ちを切り替えた。そして、全員でステージ中央を注視する。
ーそこには、既に『ブック』は無く…代わりに5つの台座が『だけ』があった。…んん?
『それでは、各チームの代表の方はスタンバイをお願いしますっ!』
一応、『次の内容』は聞いているが『どうなるか』は全く予想出来なかった。だから今は、3人目を送り出す事に専念する。
「ーそれじゃあイアンさん。お願いします」
「…了解」
俺は、弟の方を向いて拳を突き出す。すると弟は、そっと自分の拳を合わせてからテーブルに向かった。
『ーさあ、各チームの代表達はスタンバイ完了ですっ!
それでは、セカンドセクションを開始しましましょうっ!』
代表達のスタンバイを確認した司会がそう言うと、台座に『エアウィンドウ』が展開した。
『セカンドセクションの内容は、コレだっ!
ー正しい答えを選び、最強のロボットを作り出せっ!ロボットビルドッ!』
司会がタイトルコールすると、エアウィンドウにロボット『フレーム』が表示される。…おいおい、『リハーサル』通りになったぞ。
思わぬ偶然に、俺は思わずニヤリとした。
『今から皆様には、こちらのロボットをビルドして貰いますっ!…ですが当然、パーツを得るためにはクエスチョンに正解するしかありませんっ!
ー更に、このセクションの成績…すなわちロボットの-完成度-は次のセクションの成績とも密接に関わって来ますので、是非とも-パーフェクト-を目指して下さいっ!』
『……っ』
「いや、本当『リハーサル』みたいな流れになりましたね」
「まあ、恐らくパーツの種類は『10コ』でしょう。…だから、最低でも5クエスチョンはクリアしないといけない」
「……」
ミリアムが感想を口にすると、博士は分析を始める。…一方、姉は真剣な表情で弟を見守っていた。
何故なら、次は彼女の出番だからだ。…そして俺と役割を終えたヒューバートはー。
「ーリーダー殿は、どう予想していますか?」
「…うーん、今の所はなんとも。
ーただ、彼はきっと『面白いモノ』を作り上げるでしょうね」
俺達は、とても『ワクワク』していた。
『それでは、行きますっ!
ークエスチョン:1』
そうこうしている内に、セクションはスタートする。…直後、チャレンジャー達のエアウィンドウに『イラスト』が表示される。
ーそれは、可愛いさを感じるラウンドフォルムのロボットだった。
『こちらは、古代の時代に活躍していた家庭用ロボットです。…さて、その役割とは?』
司会が問題文を読み終えると、代表達は一斉にアンサーを記入し始めた。…まあ、最初はイージーな問題だよな。
『おぉ、皆さんスピーディーに記入していますね。…っと、どうやら終わったようです。
ーそれでは、選手の紹介を兼ねて1人ずつアンサーをオープンして行きましょうっ!』
やがて全員がアンサーの記入を終えた。…すると、ファーストセクションの時と同じ流れになる。
『まずは、現在ライバル達より1歩リードしているプレシャスノヴァより…イアン選手っ!』
最初に紹介されたのは、ウチのイアンだった。そして、直後ウチの応援団が声援を送る。
『そして、肝心のアンサーは…ほほう、-クリーナーロボット-ですか』
司会は弟のアンサーを見て軽くリアクションした。しかし、弟は意に返さず冷静だった。
『そしてお次は、なんとしても追い抜きをしたいヒストリーメイデンズより…-ロボットクイーン-の称号を持つ、ロザリンド選手っ!』
2番手に紹介されたのは、クイーンチームに所属するベリーショートの女性…『ロボットクイズクイーン』のロザリンド選手だ。
『彼女のアンサーも、ノヴァチームと同じようですっ!
続いては、なんとしてもトップに躍り出たいであろうクエストより…メジリア選手っ!』
3番手に紹介されたのは、ベテランチームのご婦人…メジリア選手だ。…確か、元々高名なスクールでロボットヒストリーのティーチャーをされていたよな。
『そして、メジリア選手も前の2人と同じアンサーです。…という事は?
ーさあ、お次はまだまだエンジンが掛かっていないビッグキャプチャーズより…-メカニック-のジョスト選手っ!』
そんな情報を思い出していると、ハンターチームの気難しそうな雰囲気を漂わせる男性…ジョストが紹介される。どうやら、ウチの『2人』と同じポジションのようだ。
『やはり彼も、他の方と同じアンサーです。
ーそして最後は、全チームを全力で追い掛けるイデーヴェスヒストリー研究会より…マイア選手っ!』
ラストに紹介されたのは、学生チーム唯一の女性メンバーのマイア選手だ。…確か彼女は、ロボットスクールの生徒だったハズだ。
『おおっ、なんと全員のアンサーが一致しましたっ!…果たして、正解は?』
ステージに緊張を煽るサウンドが流れる中、俺はボブカットの彼女のデータを思い出す。…つまり、それだけ『余裕』なのだ。
『ー皆さん正解ですっ!』
直後、正解のSEが流れ全員に『○』が着いた。
『いやはや、皆さんお見事です。
というわけで正解は、クリーナーロボットでした』
オーディエンスが歓喜する中、司会はアンサーを読み上げる。…それにしても、『古代』の技術力には本当驚かされる。
『さて、最初のクエスチョンは皆さん正解でしたので…-パーツセレクト-を行いましょうっ!』
すると、司会はアナウンスする。…直後、弟のウィンドウに複数のパーツが出現した。
『それでは皆さん、-良く考えて-パーツセレクトをして下さいっ!』
『…っ』
そして、全員一斉にパーツを選択する。…まあやっぱり、最初は『それ』だよな。
『おおっ、なんと全員が-フットパーツ-をセレクトしました。…やはり、-足-がないと身動きが取れないですからねっ!』
すると、ステージ中央の5つのウィンドウにセレクトが反映される。それを見た司会は、代表達の選択を称賛した。
『それでは、どんどん参りましょうっ!
ークエスチョン:2』
そして、次のクエスチョンが始まる。…っ!おいおい、『また』かっ!
エアウィンドウには、粗い画質のフォトが表示された。…間違いなく、『ロストチップ』に記録されたデータだ。
「ーどんだけ、持ってるんですか…」
「…さてな」
『さあ、カンの良い方なら既にお気付きかと思いますが…これも-ロストチップ-内に記録されていたデータになります。
ーこれは一体何のロボットでしょうか?』
司会は『認め』、クエスチョンの内容を読み上げる。…すると、弟や他の代表は一旦メンバーの元に戻る。
「ー…何、あれ?」
開口一番、イアンは『フォト』…横に長くややラウンドなフォルムのロボットを指差し聞いて来る。
「…てか、な『ロボット』なのにフットパーツがないんですね。て、事はー」
「ーいや、判断材料が足りませんよ」
まず、姉の言うようにそのロボットにはフットパーツが見当たらなかった。だから姉は、作業用ロボットと考えたようだ。
けれど、すかさずミリアムが否定する。
「…で?」
「…そうですね。
ーそもそも、『足』が必要ないのかもしれませんよ?」
弟は、再び問いかけて来る。…多分、俺ならアンサーを知っていると判断したんだろう。
けれど、あえて直ぐにはアンサーを出さずヒントを出す。…これは、『当人』の為でもあるのだ。