「…っ!…もしかして、『アクアアニマル』って事?」
すると弟は、自力でアンサーに向かって歩き出した。…まあ、当人もきちんと『それ』を理解しているから直接アンサーを求めなかったのだと思う。
「…なるほど。あのフォルムはアクアレジストの為という事ですか。……あ」
「…もしかして、『フィッシュ』ですか?」
「…ああ、言われてみればそんな風に見えて来ましたね」
そして、話している内に全員がアンサーにたどり着いた。…良いね。
「…てか、やっぱり知ってたんじゃん」
その様子を見て微笑んでいると、弟がツッコミを入れて来た。
「まあ、伯母様のミュージアムには『ああいう形の展示物』もありましたから。そして、そのルーツの資料も見せてもらった事があります」
「…はあ、ホントにウチの『リーダー』はトコトン『ストイック』な人だな。
…それじゃ」
勿論、俺は肯定する。すると、弟は苦笑いを浮かべながらテーブルに戻った。…そして、他のチームを見ると全員戻っていた。
『ーさあ、各チームの代表がテーブルに戻りましたっ!それでは、ご記入をっ!』
それを確認した司会は、アンサーの記入を促した。…どのチームも、スムーズに記入しているように見える。
『おお、皆さんこのクエスチョンも大丈夫そうですねっ!
…はいっ!では、皆さんご記入が終わったようですので一斉にアンサーをオープンッ!』
そして、司会はオープンタイムに移行する。
『おおっ!今回も、全員のアンサーが一致しましたっ!…果たして、結果はっ!?』
やはり今回も、全員が同じアンサーだった。当然ー。
『ー皆さん正解ですっ!』
見事全員に、『○』が付いた。…すると、フォトに変化が起きる。
なんと、メカニカルか『マシンボディ』が鮮やかなカラーの『フィッシュ』へと変貌を遂げたのだ。…確かあれは、『コイ』という鑑賞用のフィッシュだったな。
『いははや、またしても全員正解ですっ!
ーこちらの-フィッシュロボット-の生まれた経緯ですが、オリジナルの数の減少がきっかけのようです』
すると司会は、ちょっとした解説を挟んだ。…要するにアレも『ペットロボット』みたいな存在だ。
『さあここで、2回目の-セレクトタイム-と参りましょうっ!
レッツ、セレクトッ!』
『ー……』
そして、再びセレクトタイムがやって来た。…果たして、代表達は『何』を選ぶのか?そんな空気が、会場に満ちていた。まあ、今回もー。
『ーおお、皆さん-また-ですねっ!…それでは、見てみましょうっ!』
司会は『面白い』といったリダクションをした後、全員のセレクトをフィールド中央のウィンドウに反映させる。
ーすると、フレームのに『ベッドパーツ』が装着された。やはり、2つ目に『ブレーン』をセレクトしたか。
『やはり皆さん、-分かって-ますねっ!…そう、どんな良いパーツを着けても-ブレーン-がなければ意味がないのですっ!
…さあ、どんどん参りますよっ!』
司会は称賛し、そして進行を続けた。…そろそろ、『レベル』が上がるかな?
『ークエスチョン:3』
そんな事を考えていると、エアウィンドウに最新モデルのアンドロイドが表示された。…っ!まさか、『アレ』が来るのか?
『現在、我々を多岐に渡ってサポートしてくれているアンドロイドですが、そのルーツは古代文明の頃からあったとされています。
ーでは、当時一番多く-イメージイラスト-が描かれていたのは男性タイプと女性タイプのどちらでしょうか?』
『ーっ!?』
司会が読み上げた瞬間、会場は騒然となる。
ーなんと、他チームが相談を始めるなかイアン『だけ』がアンサーを記入していたのだ。
『ーっ!?な、なんとイアン選手だけがアンサーを記入していますっ!』
『…っ!』
当然、司会は予想していなかったのか素で驚いていた。勿論、他チームは驚愕する。
「…一体、どういう事でしょうか」
「…見当がつきませんね」
「…ワケが分かりません」
一方、チームメンバーはこの状況に困惑していた。…ん?
「……っ!」
けれど、博士だけは思考を続けていた。そしてどうやら、『正解』を導き出したようだ。
「…もしかして、『現実化』される前の知識が乏しいのでは?」
「…あ……」
博士の核心を突いた発言に、メンバー直ぐに納得する。…流石は、『天才』だ。
「まあ、一番の理由はそれでしょうね。
それにしても、流石『文化の銀河』のテレビ局が作り出したクエスチョンだ。
ーもしかすると、今回のゲームで一番難しいクエスチョンかもしれません」
「…え?そんなにですか?」
「まあ、彼らのように『やりたい事だけをひたむきにやって来た』人達限定ですがね。
勿論、とても尊敬出来る生き方です。…ですが『こういう場面』に出くわした時、対処出来ないという問題があるんですよ」
『……』
俺の言葉を、メンバーは真剣に聞いていた。まあ、ウチは全員ちゃんと『趣味』を持っているから、大丈夫だと思うが。
『ーさあ、間も無くシンキングタイムが終了しますっ!』
『……っ!』
そうこうしている内に、シンキングタイムは終了間近になった。…当然、他チームは焦る。
やはり、『2択』ゆえに悩んでいるのだろう。…だって、選択を誤れば『更に離される』のだから。
『……っ』
すると、クイーンチームのロザリンド選手が動いた。…しかし、その表情はテレビで見てた時と違いかなり不安そうだった。
『おっとっ!ロザリンド選手がテーブルに戻り記入を始めたっ!
ーそして、ここでシンキングタイム終了っ!代表の皆さんは、テーブルに戻って下さいっ!』
その直後、無情にもシンキングタイムは終了してしまう。だから、残り3チームの代表は強制的にテーブルに戻る事になった。
『さあ、イアン選手を除いた代表達は不安に苛まれながら記入していますっ!…これは、まさかの一人勝ちかっ!?』
「…どう思います?」
司会が盛り上げコメントをすると、ふとミリアムは疑問を口にした。…多分、『そうはならない』という予想だろう。
「…そうですね。
ー意外と、『学生チーム』がダークホースになるかもしれませんよ?」
「…その根拠はー」
『ーさあ、他チームの代表もアンサーを記入した模様っ!
それでは、-イアン選手-以外の方々のアンサーオープンッ!』
彼女は追及しようとするが、ちょうどその時アンサーオープンのタイミングとなる。…おわ、ホント盛り上げ上手だな。
『おぉっ!?なんとアンサーは、3:1で分かれましたっ!
まず、-男性-を選んだのが…ロザリンド選手、メジリア選手、ジョスト選手。
そして、マイア選手は…-女性-を選択したようですっ!…では、残るイアン選手はどちらを選択したのでしょうかっ!?』
そして、最後にイアンのアンサーがオープンとなる。…その瞬間、会場は緊張に故か静寂に包まれた。
『ーっ!?』
『な、なんとイアン選手は-女性-と記入していますっ!』
オープン直後、会場と司会は驚愕した。…まさか、『マイノリティ』だとは思っていなかったようだ。
『……っ』
一方、他チームの反応はアンサーと連動するように『3:1』となる。…つまり、学生チームは安堵し他3チームは困惑した。
『さあ、見事に割れてしまいましたが果たしてどちらが正しいのかっ!?
それでは、発表させて頂きますっ!』
そして、聞き慣れた『不安を焦るサウンド』が流れた後…『結果』が出た。
『ーイアン選手、マイア選手っ!正解っ!
他3人は、残念ながら不正解ですっ!』
『ーおぉおおおお~っ!』
『スゲーェエエエ~ッ!』
『…あぁあああ~っ!』
『ウソォオオオー~ッ!?』
直後、オーディエンスの反応は2つに割れる。…俺達と学生チームの応援団は歓喜し、3チームの応援団は非常に残念そうにしていた。
『なんとなんとっ!イアン選手のみならず、マイア選手も正解っ!これは、ますますこの後の展開が予想出来なくなりましたっ!
それでは、見事正解したイアン選手とマイア選手のみ-セレクトタイム-ですっ!』
会場の盛り上がりと落胆をよそに、司会は進行する。…そして、弟はボディパーツをセレクトした。
『お、2人共セレクトが終わったようです。
それでは、見てみましょうっ!』
それが終わると、2つのエアウィンドウ内のロボットにボディパーツが追加された。
『さあ、まさかの展開が発生しましたが-まだ-諦めるには早いですよっ!
それでは、次に参りましょうっ!』
司会は、心底楽しそうにアナウンスするのだった。