『それでは、ボールオープンッ!
…おっ!これも-アタリ-ですっ!』
そして、ボールがオープンされ…見事に4連続の『アタリ』となる。
『それでは、クエスチョンッ!
ー…-古代文明-の末期、すなわち間も無く宇宙新暦が始まろうとしていた頃人々は幾度となく外宇宙への探索を成功させ、様々な星系の-友人-を得て来ました。
では、最初に-ファーストコンタクト-を成功させた宇宙船に使われていたジェネレーターの-愛称-をお答え下さい』
「ー…っ(…うわ、これは……)」
肝心のクエスチョンを聞いた瞬間、俺は思わず顔をしかめる。…なにせこの問題は、『検定2級レベル』の範囲なのだから。つまりー。
『ー……っ、パスッ!』
予想通り、アイーシャは『パス』を選択した。
『あぁ~っ!?なんと、アイーシャ選手初めての-パス-をコールッ!
ー…ちなみに正解は、-ライオンハート-でした』
「……っ」
「ードンマイですっ!気持ちを切り替えて行きましょうっ!」
司会の解説が入ると、姉はガックリと肩を落として落ち込んだ。…なので、俺はすかさず大声でエールを送る。
「ーっ!……はいっ!」
すると、姉はハッとしてこちらを振り返る。…そして、俺の目を見て力強く頷いた。
『ーっ!?……は、…え?』
その時、フィールドから派手な音が聞こえて来て…またもや司会は、唖然とした。
ーなんと、ベテランチームも容易くガーディアンを無力化していたのだから。…実に恐ろしい話だ。
「ー…何が起きたか、見てましたか?」
「…いやはや、ホントリーダーが言っていた通り『侮れない』方々ですよ。まさかー」
『ーっ!な、な、なんとジルバ選手、攻撃を防ぎながら素早く-死角-に回り込んでボックスにタッチしていたっ!』
「ー…まさか、『ガーディアン』のウィークポイントを初見で見抜くとは思ってめみませんでした」
「…なるほど。…恐らく、ジルバ選手かグラファル選手はガードロボットの開発に携わっていたのでしょう。
だから、あのガーディアンが『追尾』出来ない事も『警護対象』にタッチされると行動不能になる事も、瞬時に予想したのでしょう」
「…いや、いくら予想出来たと言ってもぶっつけ本番でやりますかね?」
俺の出した予想に、ヒューバートは疑問を抱く。
「ー…?何を言っているんですか?
-こういうのにチャレンジ-している人が、今さらちょっとした-チャレンジ-に臆するワケがないでしょう?
それに、きっと彼らは今まで幾度となく-チャレンジ-して来たのでしょう。…だから、ウチの顔役達並みのメンタルを持っていても何ら不思議ではない」
「「……」」
『ー…全く、今日はなんてレベルの高いバトルを見せられているのでしょうかっ!?
…そして私は、今日この場に立ち会えたばかりか司会という名誉を賜った事に心の底から感謝していますっ!
…おっ!そうこうしている内に、スチューデントチームのルーリー選手がセントラルに戻って来ましたっ!』
俺の予想に、2人は驚愕した。一方司会は、熱いアドリブを入れる。…そして、そんなタイミングでルーリー選手が戻って来た。
『さあ、ボールオープンですっ!…おっ!またもや-アタリ-ですっ!
ーそれでは、クエスチョンッ!』
やはり、これも『アタリ』だったようだ。…そしてー。
『ー……-プロフェッサー・クロノス-』
『お見事っ!正解ですっ!』
どうやら、彼らも『リーチ』となったようだ。
『おっとっ!そうこうしている内に、ハンターチームのリスタル選手が戻って来ましたっ!
それでは、ボールオープンッ!』
そして、ルーリー選手が『ラストラン』に入った直後…リスタル選手が戻って来る。
『おっ!リスタル選手の持って来たボールはなんとか-アタリ-ですっ!
ーでは、クエスチョンッ!』
どうやら、今回は『アタリ』だったようだ。…ただ、もしかするとー。
『ー……-グロリアス・Ⅳ-』
『お見事っ!正解ですっ!』
『とある結末』を予想するなか、ダイアナ選手は緊張しながら答える。…やはり、終盤となると難しいな。
『さあ、これでハンターチームもリーチとなりましたっ!…残るは、ノヴァチームとベテランチームですが果たして…っ!
ーそして、現在奥のエリアに突入したクイーンチームのスンスー選手は今-ラストワン-に手を伸ばし……たが、やはり-そう簡単には-行かないようですっ!』
司会はまた状況をアナウンスし…スンスー選手の事をピックアップした。なので、そちらの状況を確認…っ!?
スンスー選手の前には、ヒューマノイドタイプのガーディアンが立ち塞がっているのだが…その二つのハンドには『トンファー』が握られていた。
「ー…リーダー。もしかして、あのガーディアンは……」
「…間違いでしょう」
すると、エリゼ博士が冷汗を流しながら聞いて来たので頷く。…そして直後、スンスー選手とガーディアンは動いた。しかしー。
『ーあぁっ!?スンスー選手、容易く吹き飛ばされたっ!』
激突から数秒後、スンスー選手は後方に吹き飛ばされてしまった。…まあ、当然『ガチ設定』だよなぁ。
『…さあ、スンスー選手はあの強敵をどのように攻略するのでしょうかっ!?
ーさて、現在ジルバ選手はミドルゾーンを抜け間も無くセントラルに戻って来ます。
一方、ミリアム選手は早くもラストゾーンに突入します。…しかし、先程アイーシャ選手が-パス-した為ガーディアンとバトルをする事となります。
そして、リスタル選手とルーリー選手は今ミドルゾーンに入りましたっ!
ーあっ!スンスー選手、再度アタックッ!』
司会は、流れるように各チームの状況をアナウンスする。…これは、少し時間が空くな。
『ーあっ!ジルバ選手がセントラルに戻って来ましたっ!
それでは、ボールオープンッ!』
それから数分後。ようやく状況は動き始める。
『おぉっ!これも-アタリ-ですっ!
ーでは、クエスチョンッ!』
やはり、終盤ともなると『ハズレ』は少なくなるようだ。勿論、ラックが良いというのもあるだろう。…そしてー。
『ー……-イオンポンプ-』
『ーお見事っ!』
グラファル選手は、少し悩みながらアンサーを出した。…いや、本当ハードになって来てるな~。
『さあ、これでベテランチームもリーチとなりましたっ!…残るはノヴァチームだけがー』
『ーおぉ~っ!』
『えぇ~っ!?』
司会がアナウンスする最中、俺達の応援団は歓声を上げその他のオーディエンスは驚愕する。
『ー………っ』
勿論、『それ』を見た司会も完全に言葉を失ってしまった。
ー何せ、既に彼女はボックスからボールを入手しリターンを始めていたのだから。…つまり彼女は、ガーディアンが出現した直後にボックスにタッチしていたのだ(多分、ガーディアンを『対処』しないとボックスはオープンしないのだろう)
…ちなみに、ガーディアンが出現してから『防衛行動』に入るまでおよそ『10カウント』でくいでボックスまでの距離はおよそ5Mはある。
『ー…っ!み、ミリアム選手っ!常人離れしたスピードで-攻略-し…そして凄まじスピードでセントラルにリターンを始めたっ!』
少しして司会は復活し、アナウンスを始める。
ー尚、ミリアムは既にフィールドを把握したのかちょいちょい『ショートカット』しながら行き来していた。…これは、近場のマウンテンでトレーニングして来た経験が生きているな。
『ーあっ!スンスー選手、今度はなんとか持ちこたえているっ!…しかし、このままでは追い抜かれてしまうぞっ!』
一方、スンスー選手は『最後』のガーディアンとギリギリで渡り合っていた。…まあ、よくよく考えてみればある程度『設定を低く』しておかないと『無理ゲー』になってしまうからな。
『ー…っ!?そ、そうこうしている内に、ミリアム選手が戻って来ましたっ!
それでは、ボールオープンッ!』
そして、手に汗握る展開の中ミリアムがセントラルに戻って来た。…そのハイスピードに、司会はかなり驚いていた。
『……っ!お、これも-アタリ-ですっ!
ーそれでは、クエスチョンッ!』
けれど、『アタリ』だと分かる頃には司会は見事に切り替える。…そして、姉のチャレンジが始まる。
『ー…古代文明の中期、宇宙への第1歩を歩み始めた人類は次の目標として-EARTH-の主要衛星を目指しました。
その衛星の名前は?』
「ー…-ルナ-」
『お見事っ!』
「「…ふぅ~~~」」
…ふう~。なんとか行けたな~。
姉は割りと早くアンサーし、そして見事に正解する。…なので、俺達はホッとするのだった。