『ーわぁあああ~っ!』
『スゲ~~~ッ!』
直後、俺達の応援団や近くのオーディエンスは歓声を上げた。…いやはや、見事だ。
『……っ!ミ、ミリアム選手、ガーディアンを無力化っ!…しかも、スンスー選手やジルバ選手よりも若干早いっ!
そ、そして、先にリターンを始めたジルバ選手よりも早くミドルゾーンを通過っ!』
感心していると、司会はミリアムの状況をアナウンスした。…そして、ミリアムはジルバ選手を『追い抜いた』。
『ーおぉっ!ミリアム選手、セントラルに到着しましたっ!…さあ、果たしてこれが-ラスト-となるのでしょうかっ!?
それでは、ボールゥ~オープンッ!』
やがて、一足先にセントラルに戻って来たミリアムはボールをセットし直ぐに司会が確認を始めた。
『おぉっ!ミリアム選手、一切-ハズレ-を引くことなくラストまで来たっ!
ーそれでは、クエスチョンッ!』
…よし。しかし、彼女は本当にラックが良い。
『ー…古代では、マシンから排出されるガスによる大気汚染が問題となっていました。
それを解決する為に生み出された、-2つ-のシステムを-お答えください』
ー…マジか。『ラスト』でこれが来るとは。…はあー。
『ーハイドロゲンシステム、エレクトロシステム』
司会が問題文を読み上げた直後、アイーシャは間髪入れずにアンサーを口にした。…いや、まさか姉の『得意クエスチョン』が来るとは思わなかった。やはり、彼女も…いや『俺達』は大分ラックが良いな。
『…お見事~っ!正っ解っですっ!
ーつまり、この時点でノヴァチームがセカンドクリアとなり40ポイントのボーナスが加点されますっ!』
『ーよっしゃあああっ!』
「……ふぅ。なんとか、いけましたね」
「ええ…」
『ーあっ!ジルバ選手、今ミドルゾーンを通過しましたっ!
そして……っ!?』
メンバーがホッとしているなか、司会はフィールドの状況をアナウンスする…が途中で驚愕した。
「ー…ほう」
「…ウソ」
「……」
俺達もフィールド最奥に居る2人の様子を確認する。…直後、俺達も驚いた。
ールーリー選手は、少しずつヒットを稼ぎ徐々にガーディアンを追い込んでいた。それも十分驚きだが、一番驚いたのはもう一方のリスタル選手は…明らかに『追い込まれて』いた。
レッグやアームの複数箇所からは、ダメージエフェクトとして『スモーク』が出ておりハンドパーツにいたってはボロボロになっていた。…あれでは、ウェポンを持つのはかなりハードだろう。
そしてなにより、ベッドパーツとボディーパーツの一点にデカい『インパクト』の痕が出来ていた。
『ーリ、リスタル選手っ、いつの間にか圧倒的不利な状況に追い込まれていたっ!?
い、一体、-何-があったんだっ!?』
「ー…いや、マジで何があったんですか?」
「…確か、『各デヴァイサーの実力』に合わせているんでしたよね?」
「…それは間違いないでしょう。
ーそうなると、恐らく『カウンター』を受けてしまったのでしょう」
「…『カウンター』?」
「例えば、あえて隙を作り誘い込み痛烈な一撃を叩き込んだ…とかでしょうか。
…でも、あそこまで追い込まれているとなると多分想定以上にコンボが決まってしまったのでしょうね」
「…うわぁ」
「…それはまた……」
『ーあっとっ!そうこうしている間に、ジルバ選手が戻って来ました。
それでは、ボールゥ~オープンッ!』
俺の予想に、2人は引いていた。…一方、フィールドではジルバ選手が恐らく『ラスト』のオープンを迎えていた。
『おぉっ!これは-アタリ-ですっ!
ーそれでは、クエスチョンッ!』
まあ、勿論ジルバ選手は『アタリ』を持って来ており…『ラスト』のクエスチョンが始まる。そしてー。
『ー……-タン3デンチ-』
『お見事~っ!そして、この瞬間ベテランチームのサードクリアが決定っ!
30ポイントのボーナスが入りますっ!』
グラファル選手は、見事クリアした。…これで残るは学生チームとハンターチームだ。
『ーさあ、またフィールドの様子を見てみたいと思いますっ!…あっ!』
すると、司会はまたフィールドの様子を確認する。…そして直後、また驚いた。
「ー…おぉ~」
「…やりますね」
俺達もまたフィールドの様子を確認し…今度は感心する。
『ースチューデントチーム、遂にガーディアンのウェポンを全て弾いたっ!…そして、確実に本体にダメージを与えているっ!
一方、ハンターチームは…まさか、これまでなのかっ!?』
司会の言うように、学生チームとハンターチームの状況は真逆だった。…けれど、『彼ら』はまだ諦めてはいなかった。
『…っ!おぉっ!リスタル選手、ファイティングポーズをしたっ!…って、まさかー』
そして、司会や会場の予想通り『ボロボロ』のリスタル選手はガーディアンに向かって行く。
「…早い」
「ええ、明らかにウェポンを持っていた時よりも良い動きです。…どうやら、リスタル選手の本来のバトルスタイルは『アレ』のようだ」
『ー…な、なんと、決死のアタックを仕掛けたリスタル選手はガーディアンと互角のバトルを繰り広げているっ!』
「…っ、そうか。『あの方』は、リスタル選手の実力…いや、『これくらいで心折れたりはしない』メンタルを見抜いたからあれだけの攻撃を…」
「…そういう事です。いや、本当に『恐ろしい人』ですよ」
「……」
『あぁっ!一方のルーリー選手は、遂にヘッドバーツにヒットさせたっ!当然、ガーディアンのパフォーマンスは低下っ!』
俺とメンバーが引いているなか、ルーリー選手のバトルはクライマックスを迎えようとしていた。…うーん、これはー。
その時点で、俺はこのセクションの結果を予想した。…そして直後ー。
『ーっ!ルーリー選手、此処でクイックドロウを発動っ!…当然、ガーディアンは回避行動を取るがパフォーマンスが低下しているのか動きが悪いっ!』
ルーリー選手は、最大のチャンスを逃す事なく先程見せたクイックドロウを発動する。…その複数のレーザーは、まるで吸い込まれるようにガーディアンに向かっていき…その全身に命中した。…つまりー。
『ーおぉっ!ガーディアン、ダメージ限界を迎え強制停止っ!
そして、ルーリー選手ボックスからボールを回収しリターンを開始っ!
一方…っ!?』
ガーディアンはその場に崩れ落ち、それを確認したルーリー選手は即座に行動を開始した。
一方、リスタル選手の方は…なんとガーディアンのハンドからはウェポンは失われており、更にアームパーツは『ボロボロ』になっていた。
『ーっ!ま、まさか、少し目を離している間に状況がイーブンになっているとは思いませんでしたっ!…あっ、リスタル選手、-トドメ-にはいるのかっ!?』
そして距離を取っていたリスタル選手は、再度ガーディアンの元に向かい…そのヘッドパーツのフロントに渾身のインパクトを叩き込んだ。
『ーおぉっ!リスタル選手、見事なインパクトを叩き込んだっ!…あっ!今ガーディアンが完全停止しましたっ!
そして、リスタル選手も遂にラストのボールを回収しましたっ!』
直後、ガーディアンは動かなくなりリスタル選手は『ゆっくり』とボールを回収する。…恐らく、ダメージのせいでスムーズに動けないのだろう。
ーつまり、俺の『予想』は間も無く現実のモノになるという事だ。
『ーあぁ~っ!しかし、リスタル選手がリターンを始めるの同時にルーリー選手はミドルゾーンを通過っ!これは、まさかっ!?』
すると司会も、此処でようやく『結果』の予想を口にする。…そしてー。
『ーあぉっ!やはり、ルーリー選手が先に到着したっ!
それでは、ボールゥ~オープンッ!』
予想通り、ルーリー選手が先に戻って来て恐らく最後のボールオープンのフェーズになる。
『おぉっ!これも見事-アタリ-ですっ!
ーそれでは、クエスチョンッ!』
やはり、アレも『アタリ』だったようだ。…更に、肝心のクエスチョンを聞いたリンプス選手の表情は、少し『リラックス』しているように見えた。…まさかー。
『ー……-カートリッジ-』
『…お見事~っ!正解ですっ!
そして、この時点でスチューデントチームの4位クリアが確定しましたっ!
つまり、50ポイントプラス20ポイントのボーナスが加点されますっ!
ーあっ、此処でリスタル選手が到着っ!』
そして、学生チームのクリアが確定した直後にリスタル選手が戻って来た。
『それでは、-ラストオープン-ッ!
ーおぉっ!リスタル選手、見事-アタリ-を引きましたっ!
では、-クエスチョン-ッ!』
リスタル選手も、何とか『アタリ』を持って来たようだ。勿論、ダイアナ選手は肝心のクエスチョンを聞いても冷静だった。…つまりー。
『ー…-ピュアアクア-』
『正解ですっ!
ーそして此処で、セクション終了ですっ!』
ダイナア選手は難なくアンサーを口にした。…その直後、司会はセクション終了をコールするのだった。