『それでは、-アクション-ッ!』
『ー此処は、娘が通うカレッジのクラスルームです。今は、午前の授業が終わりランチの時間です』
そして、司会がコールするとまたナレーションが流れた。…ふむ。
クラスルームからは、ガヤガヤとしたサウンドが聞こえた。けれど、『』クラスルーム』にはドレスデンさん以外に人の姿はなかった。…多分、他のアクターを呼ぶ『予算』がなかったのだろう。
『ー…ふぅ』
そうこうしている内に、娘はランチを食べ終えたようでランチボックスを片付けていた。…すると、不意にクラスルームのドアが開く。
『ードレスデンさんは居ますか~?』
ドアを開けたのは、スーツを来た若い男性だった。…あぁ、『新人』だな。
彼の演技を見て、瞬時に察した。どうやら、新人を呼べる余裕はあったらしい。
『はい、先生。何ですか?』
娘は、速やかに彼…講師に所に向かい、用件を訪ねる。
『お昼休み中に失礼します。
ー…今日の-???-ですが、中止になります。それを、同学年のメンバーに伝えてもらえませんか?』
すると、講師は申し訳なさそうにしながら用件を伝えた。…そして案の定、肝心な部分は聞き取れないようになっていた。
『ーさあ、此処からがクエスチョンですっ!
このティーチャーは、娘に『何を』伝えたかったのでしょうかっ!?
①-部活(サークル)-。②-授業(レッスン)-。③-学生委員会(コミティ)-。
さあ、ご記入くださいっ!』
直後、クエスチョンフェーズとなり司会がクエスチョンを告げる。どうやら、先程と同じで選択肢があるようだ。…けれど、その選択肢は全て古代言語と訳で構成されていた。
そして、代表達は…一斉に記入を始める。
『おや?今回は、全員スムーズに記入をしています。どうやら、このクエスチョンはイージーだったようですね』
「ー…え、マジで?」
「…皆さん流石ですね」
それを聞いた弟とミリアムは、驚愕していた。…まあ、『民衆学』って実はマイナーな分野だからな~。興味を持っていないと、調べようとは思わないだろう。
「…やっぱり、『人気』がないんですよね」
「…いや、ホント悲しい事です」
そんな事を考えていると、ふと姉が悲しそうに呟きヒューバートも残念そうに同意する。
どうやら、全く同じ事を考えていたようだ。
「…て事は、お2人は分かってるんですね」
「ええ。…まあ、ほとんど『かのノベル』のおかげですが」
「自分もです」
ミリアムの問いに、2人は非常に『納得』の理由を口にした。…だろうな。まあ、俺もだが。
「…で、何なの?」
「答えは-アレ-ですよ」
すると、弟は解答を促して来たので今回は直ぐに答えた。…今は、弟の『ターン』ではないからこうしたのだ。
「…ふぅん。…根拠となるのは、『講師』の後半のセリフ?」
弟はとりあえず受け入れ、そして『根拠』の確認をしてくる。…どうやら、自分の予想がちゃんと当たっているか確かめたいようだ。
「そうです。後は、タイミングから考えて②はないですよね」
「…だよね。普通、レッスンの中止はもっと早く伝えるだろうし」
「ええ。そして、もう片方の選択肢はそもそも昨日の時点で全員に伝えているハズでしょうから、必然的に『アレ』になるワケです」
「…なるほど。そういう-ルート-もあるんだ」
『ーさあ、シンキングタイムが終了しましたので一斉にオープンしましょうっ!』
弟とのやり取りが終わるの同時に、シンキングタイムは終わりオープンタイムとなった。
『おぉっ!またしても、皆さんアンサーが一致しましたっ!…さあ、結果はっ!?
ーお見事ですっ!』
勿論、全員のアンサーに『○』が付いた。…さて、此処までは順調だ。しかし、恐らく次辺りから『レベル』が上がる。
『さあ、続きを見て行きましょうっ!』
『ーでは、お願いしますね』
『お任せ下さい。…さてー。
ー連絡。今日の-部活-は中止…っと。良し』
そして、再びドレスデンさんとルーキーによるアクトが始まり…『講師』はクラスルームから離れて行った。
それを見送った娘は、またデバイスを操作し始めた。…多分、メールを使って他クラスのメンバーにメッセージを送ったのだろう。
なんか、『今』とあんまり変わらないな。
『ーという事で正解は、①でしたっ!
やはりこれも、皆さんにはイージーだったようですね。
さあ、どんどん参りますっ!』
そして、司会がそう言うとドレスデンさんはブラインドゾーンに消えた。
ーその直後、またそのセットが引っ込んで別のセット…『オフィスルーム』のセットが出て来た。多分、次は『母親』のターンだろう。
『それでは、-アクション-ッ!』
『ー此処は、母親が経営者を勤めるカンパニーの最重要なルームである-CEOルーム-です』
司会がコールすると、また状況説明のアナウンスが流れた。…当然、『そのルーム』の中心にある立派なオフィスデスクでは女史…『母親』がデスクワークをしていた。
『ー…ふぅ』
数分後、母親は手を止めてため息は吐いた。…どうやら、デスクワークに一区切り付いたようだ。
『ー…っ』
すると、不意に母親のデスクにある通信器が鳴り響いた。…その瞬間、母親は顔を真剣なモノに変える。恐らく、重要な通信なのだろう。
『ーはい、クルーガーです。…ええ、こんにちは。…はい、今は大丈夫です』
母親は通信を始めると、少し緊張しながら会話をしていく。…果たして、どんな内容なのだろうか?
『…ええ、既に-???-の意見は賛成で一致しております。ええ、それでは予定通り本日午後3時頃に。…はい。
それでは、失礼致しますー』
まあ、案の定話の1部分は聞き取れなかった。…だが、母親と相手が面会をする事は分かった。
『ーさあ、此処でクエスチョンッ!
母親は、自分のカンパニーの事をなんと称したのでしょうか?
尚、このクエスチョンから選択肢無しでお答え下さいっ!』
『ー…っ』
司会がクエスチョンと『仕様変更』をアナウンスすると、ナチラ選手のみメンバーとミーティングを始めた。…ほう、リアナ選手はちゃんと知っていたか。
『おぉっ!?ハンターチーム以外の代表は、スラスラとアンサーを記入しているっ!…それにしましても、リアナ選手が-それ-をきちんとスタディしているとは思いませんでしたっ!』
当然、司会は代表達の行動をアナウンスし…そしてリアナ選手を誉める。
「ー…彼女、やりますね」
「…うん。正直、スゴイ」
「…ええ。きちんと学習していた事も驚きですが、何よりまだ学生の身でありながらこの大舞台できちんと実力を発揮出来るメンタルを持っている事が、一番の驚きです」
「……リーダー、あの選手のデータは?」
ウチのメンバーも、彼女の事を高く評価していた。すると、ヒューバートが俺に聞いてくる。
「そうですね…。
ー確か、彼女を含めた全員この間の『PR活動』で『学生サポーター』をやっていましたね」
『…へ?』
「そして、彼女は良く『研究成果を大勢の前で発表』しているそうですよ」
『……』
俺から出た衝撃情報に、メンバーは固まってしまう。…いや、ロランから聞いた時はマジで驚いたな~。
『ーおっ!間も無くシンキングタイム終了というタイミングでナチラ選手がテーブルにリターンしましたっ!』
そんな事を思い出していると、ようやく代表全員がアンサーを記入した。そして、少ししてシンキングタイムが終わる。
『ーさあ、それでは一斉にオープンッ!
…おや?…なんと、アンサーが2つに分かれてしまっているぞっ!?』
『ー…っ!』
司会の言うように、博士、ユユラ選手、アミル選手、リアナ選手は『ヘイシャ』と記入していた。…そして、ナチラ選手のみ『ワガシャ』と記入していた。
『さあ、果たしてどちらが正解なのかっ!?
…それでは、正解を発表致しますっ!』
司会のセリフの後、緊張を煽るサウンドが流れた。…まあー。
『ー正解は-ヘイシャ-ですっ!
よって、ナチラ選手以外正解ですっ!』
正直、『結果』は分かっていたので今さらサウンドごときで緊張はしなかった。
『ーあぁ~~~』
『何やってんだぁああ~っ!』
そして、その結果にハンターチームの応援団は落胆したりヤジを飛ばした。