『な、なんとっ、またしてもナチラ選手だけが-ハズレ-となってしまったっ!…これでは、リアナ選手とのポイント差が開いてしまうぞっ!?』
司会は少しガチ気味にアナウンスをする。どうやら、司会…いや番組サイドはこの展開を予想していなかったようだ。
『…そ、それでは、次のクエスチョンですっ!』
けれど、司会は何とか気を取り直して進行を続ける。…すると、『母親サイド』のセットが下に引っ込んだ。
ーそして、入れ替わるようにオープニングクイズで見たようや『ステーション』のセットが出て来た。
『ー…それでは、-アクション-ッ!』
『ー時間は流れて、夕方。娘は、カレッジから親戚のハウスへと向かうべくステーションにいました』
『ー…』
そして、再び『娘』が出て来て…マイ端末の画面をじっと見つめていた。そんな時ー。
『ーっ!ミルディーヌ従姉ちゃんっ!』
娘の元に、小柄な男子スクール生が駆け寄って来た。…って、確か彼は……。
『ーっ!?』
『ウソッ!?』
『…え、彼、-天才子役-のっ!?』
すると、ステージはざわざわとした。…いやまさか、『あのビッグスター』まで呼んでいたとはな。
ーそう。『彼』は、何処からどう見ても『キッズ』だが…れっきとした成人男性だ。
まあ、『第1分隊』の小柄な隊員と同じく『そういう人種』なのだ。
そして彼は、天性の小柄さを生かし『子役専門アクター』となり…しかも連盟中に沢山のファンが居る、『ビッグスター』なのだ。
『ーあら、ジョシュアじゃない。スクールはもう終わったの?』
そんなステージの反応をよそに、娘は『従弟』を演じる彼…ジョシュア=オルドーさんに気付き優しげな雰囲気で話し掛ける。
『うん、今日は-部活-が無しの日だからね。…というか、従姉さんこそ早くない?』
すると、従弟もニコニコしながら返しつつ娘に質問する。…おぉ、何処からどう見ても仲の良い『姉弟』だな。
『私も、今日は部活が中止になったの』
『そうなんだ。…ん?』
娘の答えに納得した従弟は、ふと彼女の持っていりマイ端末に視線を向ける。
『あれ?従姉さん-???-替えた?』
『あら、良く分かったわね。じゃーんっ!』
従弟の質問に、娘は端末を見せびらかした。…なるほど、『そう来た』か。
『ーさあ、ここでクエスチョンですっ!
娘の持っているマイ端末の、-略称-をお答え下さいっ!』
そして、そこでシーンは終わりクエスチョンとなった。…直後、代表達はー。
『ー…っ!』
『おやっ!スチューデントチームだけが、ミーティングを始めましたっ!
それ以外の代表選手達は、スムーズにアンサーを記入していますっ!』
なんと、今回は学生チームを除いた4チームがスラスラとアンサーを記入しているのだ。…どうやら、ハンターチームにとって数少ない得意問題が出たようだ。
『ーさあ、各選手ペンを置きました。…そして今、リアナ選手がテーブルに戻りアンサーの記入を始めましたっ!』
それから少しして、ようやく学生チームがアンサーを出したようだ。…あれ?
しかし、リアナ選手は少し自信なさげに記入していた。…これは、ひょっとするとー。
『はいっ!これにてシンキングタイムは終了ですっ!
それでは、アンサーをオープンッ!』
そして、全員のアンサーがオープンされた。…あぁ~。
『おやっ!?今度は、リアナ選手以外のアンサーが一致しましたっ!』
直後、俺は『残念』の感情が出てしまう。…何故なら、リアナ選手だけが『ケータイ』と記入していて博士を含めた4人が『スマホ』と記入していたからだ。
『さあ、果たして正しいのは一体どちらでしょうかっ!?』
司会がそう言った後、例のサウンドが鳴る。…そして、次の瞬間ー。
『ー正解は-スマホ-ですっ!』
ウチとクイーンチームとベテランチームとハンターチームに、『○』が着いた。
『ーあぁ~~~っ!?』
『…っ』
すると、学生チームの応援団はあからさまに落ち込みハンターチームの応援団は僅かに希望を抱いた。
『なんと、此処でスチューデントチーム初めての-ハズレ-ですっ!
…ちなみに、-ケータイ-とは-スマホ-の前に普及していたデバイスです』
『…っ!』
司会がちょっとした解説をすると、学生チームは『しまった』という顔をした。…まあ、けっこう間違って認識している人が多いからな。
『さあ、サクサク参りましょうっ!
ーそれでは、アクションッ!』
『ー…はあ、俺も早く-スマホ-が欲しいな~』
そんな事を考えている内に、2人のアクターはセットに戻って来てシーンを続けた。…どうやら、まだ娘の場面が続くようだ。
『確か、カレッジに通える年齢になったら叔父さんに買って貰えるのよね?』
従弟の羨ましそうな反応に、娘は確認する。…すると、従弟は頷いた。
『うん…。…まあ、他にも幾つか条件がー』
2人がそんな会話をしている時、プラットホームにメロディが鳴る。
『ー間も無く、1番ホームにトレインが参ります。イエローラインよりお下がりください』
そして、ステーションスタッフのアナウンスが流れた。…そういえば、古代ではだいたいが人のボイスのアナウンスだったな。
『ーあっ、来た』
それから少しして、2人の前に『トレイン』…のセットが出現した。…おぉ、これまたしっかりと『再現』されてるなぁ~。
そして、2人は『ある程度の乗客』が居るキャビンに入り空いているシートに座った。
『ードアが閉まります、ご注意下さい』
その直後、そんなアナウンスが流れてドアが閉まる。…それから、キャビンはゆっくりと振動を始めた。
『ー…っと』
『…?そういえば、さっきまでスマホに集中してたけど何かのゲームでもやってたの?』
すると、娘は再度スマホを操作し始めた。それを見た従弟は、質問をする。
『違うわよ。…ほら』
けれどその予想は間違っていたようで、娘は否定しまたスマホを見せた。
『…?…っ!あ、もしかして部活のトレーニングメニュー?』
『そうよ。もうすぐコンクールの予選だし、-私の所-のメニューを考えていたの』
『…そっか、従姉ちゃんの部活も大会が近いのか』
『…っ、アンタの所も?』
『うん。…まあ、その前に-レギュラー争い-があるからまずはそこで勝たないと大会に行けないんだけどね』
『…アンタの所、-??-スクールだものねぇー』
2人の会話の最中、ふと聞き取れない部分…すなわち『クエスチョンポイント』が発生する。
『ーさあ、ここでクエスチョン。
古代では、スポーツや芸術系のビッグステージに常に参加しそして優秀な成績を何回か収めたスクールは、-とある名称-が付きました。
その名前を、-次の2つ-から選んでお答えください』
直後、司会は肝心の問題文を読みその後選択肢が表示される。…お?
すると、博士がこちらにやって来た。他のチームは、ナチラ選手とリアナ選手がメンバーの元に戻りユユラ選手とアミル選手はアンサーを記入していく。
『ーおおっ!?ハンターチームとスチューデントチームのみならず、ノヴァチームもミーティングを始めたっ!』
「ー…お手数をお掛けします」
当然、司会は凄い食い付きを見せた。…そのせいか、ちょっと博士は申し訳なさそうにする。「お気になさらず。…私達は、-チーム-ですから遠慮なく頼ってください」
「…っ、はい」
「…で、博士的には『どこが分からない』んですか?」
俺の言葉に、博士は表情を明るくする。なので『本題』に入る。
「…え?あの『2つ』って、そんなに違うの?」
「ええ。まあ、どちらも名誉ある称号ですが-1点-だけ違いがあります」
「…ホント、リーダーは博識ですね。
私も、『そこ』が分からないんです」
「…-キョウゴウ-と-メイモン-……」
予想通り、博士はその『1点』が思い出せないようだ。…すると、弟は2つのワードを呟き何か考える。
「(…何でだろう。とてつもなく、『面白い』予感がするのは。)…どうかしましたか?」
「…え、あ、…その、何だか『メイモン』の方がワードに『重厚』な感じがあるなぁ~と……」
なので、弟に話しを振る。…当然、当人は少し戸惑いながら『予想通り』の感想を口にした。
「…っ」
「…確かに」
「…と、言う事は?」
「…っ!そうだ…」
すると、姉達も同意し…そして博士は記憶のサルベージを成功させたようだ。
「…え?マジで?」
「いや、良い『カン』してますね。
ーそう、唯一の違いとは『ヒストリー』があるかないかなんですよ」
それを見た当人は、余計に困惑した。勿論俺は称賛し、答えを口にする。
「…ありがとうございます、イアンさん」
「…どう致しまして」
当然、博士も弟に感謝を示した。すると、弟は少しテレた。…うん、こっちも良い関係が築けて来ているな。これはー。
「ー…リーダー?」
「…いえ、何でもないです。
さあ、アンサーを」
『次』の事を考えていると、ミリアムが首を傾げた。なので、敢えて『何もない』フリをしつつ、博士を促す。
「はいっ!」
博士は力強く頷き、テーブルに戻って行った。
『ーおぉっ!ユユラ選手とアミル選手の記入が終わったタイミングで、エリゼ選手がテーブルに戻りましたっ!…そして、スムーズに記入をしていきますっ!
さあ、残り2チームはまだミーティングをしていますが…シンキングタイムも確実に残りが少なくなっていますっ!』
すると、司会は現在の状況をアナウンスした。どうやら、ハンターチームと学生チームには少しハードだった…と思っていたらー。
『ーあっ!両チームの代表がほぼ同時にテーブルに戻りましたっ!
しかし、2人共少し自信がないような表情でアンサーを記入しています』
…これは、もしかしたらまた『ギャンブル』に出たのかもしれない。果たして?
『ーさあ、此処でシンキングタイムは終了しいよいよオープンタイムとなりますっ!
それでは、一斉にオープンッ!…っ!』
そして、オープンタイムのフェーズとなり全員のアンサーがオープンされる。…ほぉ。
『な、なんと3クエスチョン振りに全員のアンサーが一致しましたっ!
ー全員、-メイモン-と記入していますっ!』
『ーおぉっ!』
それを見たオーディエンス…特にハンターチームの応援団は、完全に復活した。
『それでは、アンサーを発表しますっ!』
そして、聞き慣れた例のサウンドが流れて…正解のサウンドが鳴り響いた。勿論ー。
『ーお見事っ!全員正解ですっ!』
『ーっシャアアア~ッ!』
全員に『○』が付き、ハンターチームの応援団は歓声を上げた。