『さあ、続きを見てみましょうっ!』
『ー…まさか、忙しいの理由が-合併の会議-だなんて……』
『…そういえば、こっちも今日は-遅くなります-と言われました』
『…マジか。…まあ、外に洩らしちゃいけないからボカしたんだろうね』
司会がそう言うと、また3人が現れる。…そして呆然としている間にか信号が『グリーン』に変わっていたので、横断歩道を歩き出した。…そんな時、娘がポツリと呟いた。すると叔父は、自分達の事情…『姉の右腕』である妻の事を話した。それに対し、従弟はなんとなくの予想を口にする。
『…でしょうね。…はあ、本当にびっくりした』
『…私もです。
ー…そうだ。せっかくですからこちらも-びっくり-させましょう』
『…っ!それは、グッドアイディアだね』
娘は気疲れしたように、ガックリと肩を落とした。叔父もそれに同意し…ふと、とても『イイ笑顔』を浮かべながらそんな事を言った。
すると、従弟は父親のアイディアをとても『イイ笑顔』で称賛する。
『…ちょっ、2人共。
ー私も、-混ぜて-くださいよ』
そんな2人に、娘は困惑…ではなく最高に『イイ笑顔』を浮かべるのだった。
『ーはい、というワケで正解は-ガッペイ-でしたっ!
…さあ、いよいよこの-フォースセクション-も次がラストですっ!果たして、代表選手達はあの3人の-素敵なアイディア-を見抜く事が出来るのでしょうかっ!?
ーそれでは、-ラスト・アクション-ッ!』
司会がヒートアップしながらアナウンスしている裏で、セットはセクションの始めのようなハウスに切り替わる。…すげ、僅かだがフォルムや内装が違ってる。
『ーその後、家に戻った3人は手早くディナーを済ませ…-素敵なアイディア-のスタンバイを始めました。
そして、それから数時間後。…2人の-母親-がそのハウスに帰って来ました』
テレビ局の『本気』さに驚いていると、ナレーションが入り…『母親達』が出て来た。
『ー…まあ、流石にこんな時間だと皆眠ってるわよね』
母親は、スポットライトを浴びながら『薄暗ハウス』の中に現れポツリと呟いた。…そう、何故かハウスの中は薄暗くなっていた。まあ、恐らく『ドラマ内』時間はミッドナイトくらいなのだろう。…というかー。
『ー…でも、どうして主人は社…-義理姉さんを招待するよう-に言って来たんでしょうか?』
すると、もう1人の母親…すなわち母親の右腕であり叔父の奥さんである人が当然の疑問を口にした。…っ!ああ、これは完全に『サービスクエスチョン』ってヤツだな。
その瞬間、俺は察する。…そして、このクエスチョンも全員が正解すると予想した。
『ー…とりあえず、リビングに入ってみましょう』
そして、母親(女史)はリビングへのドアを開けたー。
『ーさあ、これがラストクエスチョンッ!
果たして、2人の母親には-何-が待ち構えていたのでしょうかっ!?』
『ー……。…っ』
そこでシーンは終わり、司会はアナウンスをした。…すると代表達は一瞬ポカンとし、けれど直ぐにアンサーを記入し始めた。
『おおっ!このクエスチョンも、全員がスムーズにアンサーを記入しておりますっ!
どうやら皆さんには、イージーだったようですねっ!』
『ー……』
当然、メンバーも今回は静かだった。…何故なら、『リハーサル』でやったクエスチョンだからだ。
『ーさあ、代表選手達は全員シンキングタイム内にアンサーの記入を終えましたっ!
それでは、一斉にオープンッ!』
そして、フォースセクション最後のオープンタイムとなる。…まあ、やっぱ『予想通り』だった。
『おおっ!やはり、皆さんのアンサーは-サプライズ-で一致しましたっ!
果たして、正解は?』
そして、ラストも例のサウンドが鳴り…直後正解を告げるSEが鳴り響いた。
『お見事っ!全員正解ですっ!
それでは、-エンディング-まで一気に見てみるとしましょうっ!』
『ーっ!ああ、お帰りなさい2人共』
すると、またドラマが始まり…リビングのライトがオンになる。
その中心にあるテーブルには叔父がおり、2人を出迎えた。
『…ただいま、アナタ』
『ただいま、メルキオル。…あのコ達は、もう寝たのね?』
『ええ。2人共明日は早いそうなので。…なので2人からの-メッセージ-を預かっています』
『…っ!』
『…なるほど。…私達への-サプライズ-ということね?』
それを聞いた叔母は驚き、母親は素早く状況を理解する。
『流石お姉さん。その通りです。
ーさあ、こちらを』
そして、叔父は母親の理解力を称賛し子供達から預かっていたメッセージカードを渡した。…それを受け取った2人はー。
『ー…っ!』
『…参ったわね』
カードのサイズはコンパクトなので、恐らく内容は短いのだろう。…けれど、きっとその内容は『暖かい』モノだったのだろう。
ー何せ、内容を読んだ2人の『母親』は涙を浮かべていたのだから。
『ーこれは、古代のとあるファミリーのちょっとした記念日のストーリー。けれど、今の世に受け継がれているハッピーなトラディション』
『ーわぁあああ~っ!』
最後に素敵なナレーションが入り、ドラマは終わった。…すると、直後に歓声が上がった。
『ーさあ、此処で-フォースセクション-は終了となりましたっ!
では、-ラストセクション-に行く前に各チームのスコアを確認してみましょうっ!』
司会がそう言うと、オーディエンスシートの至るところに5チームのスコアが表示される。勿論、俺達チャレンジャーの前にもだ。
『まずは、此処まで諦めないハートを見せている-イデーヴェスヒストリー研究会-っ!
そのスコアは、310ポイントッ!』
『ーうぉおおお~っ!』
『頑張れぇえええ~っ!』
最初に発表されたのは、学生チームだ。そして直後、彼らの応援団が歓声や声援を送る。
『お次は、時にヒートで時にヒヤリとするバトルを見せて来た-ビッグキャプチャーズ-ッ!
そのスコアは、スチューデントチームとイーブンッ!果たして、次で引き離せるのかっ!?それとも、また追い抜されてしまうのかっ!?』
『ーしっかりしろぉおおお~っ!』
『根性見せろ~~っ!』
次に紹介されたのは、ハンターチームだ。すると彼らの応援団は、ヒートな励ましを送る。
『お次は、此処までベテランのプライドを見せ付けて来た-クエスト-ッ!
そのスコアは、堂々の370ポイントッ!』
『ーそのまま、行け~~っ!』
『若いモンに負けるなぁああ~っ!』
3番手に紹介されたのは、ちょうど中間のスコアを獲得しているベテランチームだ。勿論応援団は、力の限り声援を送る。
『お次は、まさかのセカンドランクに甘んじている-ヒストリーメイデンズ-ッ!
そのスコアは、脅威の410ポイントッ!』
『ー負けないでぇええ~っ!』
『お願い~~っ!』
4番手は、シビアなコメントを受けるクイーンチームだ。…当然、彼女達の応援団は不安になりながら応援する。
『そして、ラストはこのチームッ!
まさしく、ノヴァスターの如く輝く-プレシャスノヴァ-ッ!
そのスコアは、クイーンチームと20ポイント差の…430ポイントッ!』
『ー気を抜くなぁあああ~~っ!』
『勝利を掴めぇええ~~っ!』
そしてラストは、なかなかイカす紹介をされた俺達のチームだ。すると、気を引き締めさせる声援と後押しする声援が聞こえてくる。
『さあ、果たして-勝利のクラウン-を掴む事が出来るのはどのチームなのかっ!?
ーそれでは、最後の代表…いや各チームのリーダーはスタンバイをお願いしますっ!』
そして、司会はラスト前にふさわしいアナウンスをして…『リーダー』達にオーダーを出す。
ー…そう。まるで『運命』に引き寄せられるように、この『ラストセクション』はリーダー達のバトルとなったのだ。
「(…多分、製作サイドも他チームも俺が『コレ』をやるって分かっていたんだろう。
だから、製作サイドは『コレ』をラストにしたんだろうし、他4人のリーダー達も『コレ』の担当になったんだと思う。
ーその方が、最高に『面白く』なるから。)
ー…じゃあ、行って来ます」
気付けば、俺は最高に『面白く』なりながら拳を付き出した。
「…うわ、凄い『やる気』だね。…頼んだよ」
「…これは、心配無用ですね。…お願いします」
すると、最初にイアンとアイーシャが拳を重ねて来た。…2人は、俺を見て不安が消えたみたいだ。
「頼みましたよ、リーダー」
「行ってらっしゃい、リーダー」
「リーダー。貴方なら、絶対大丈夫ですよ」
次に、ヒューバートとエリゼ博士。そしてミリアムが拳を重ねてくる。…3人は、俺が負ける可能性は微塵も考えていないようで笑顔を浮かべて送り出してくれた。
「ありがとうございますー」
そして俺は、皆に背を向けて堂々とテーブルに向かいスタンバイした。