『さあ、遂に5人のリーダーがテーブルにスタンバイしましたっ!
ーそれでは、-ファイナルセクション-を始めたいと思いますっ!』
やがて、他チームのリーダー達もスタンバイが完了しそれを確認した司会がコールする。
ー直後、司会とアンサーテーブルとの間にスーパーワイドなエアウィンドウが展開する。…どうやら『ファイナル』は、とても『シンプル』なバトルになりそうだ。
『ー…命を繋ぐは食。けれどもそれは、果てしなく長いチェーンのような繋がりで成り立っている。すなわち、捕食者とターゲットが存在している。
そして、勝負の世界も敗者と勝者が生まれてしまう。…けれど、勝負の世界は誰しもが勝者になれるのだっ!』
そして、司会は今までと違い長いセリフを読み上げていく。…実に、『ラスト』の始まりにふさわしい。
『さあ、-ポイントフィースト-を始めるとしましょうっ!』
それが終わると共に、エアウィンドウの上部に5チームのポイントが表示された。…っ!なるほど、『フィースト』とは『アルコールありの大騒ぎなパーティー』っていう意味だ。
そして、司会のセリフと合わせるとー。
『ーまずは、ルールを説明致しますっ!
まあ、例によって10コのクエスチョンにお答え頂くワケですが…なんとこの-ファナル-では、他チームからポイントを奪う事が出来ますっ!』
『ーっ!』
『……』
すると、司会の口からルール説明がされた。…当然、オーディエンスはザワザワとするが他チームのリーダー達は『やはり』という反応をした。
『…ただし、奪えるのは-自分のチームよりもポイントが多いチーム-のみ。
つまり、自分のチームよりも上に居るチームからポイントが奪えます』
『…っ』
それを聞いた他チーム…特に1番下の2チームはハッとした。
ーそう。このルールは、下位チームほど有利になるのだ。…そして多分、『それだけ』じゃない。
『さらに、上とのポイント差…すなわちランク差が開いていればいるほど多くポイントが奪えますっ!
例えば、スチューデントチームが正解した場合クリアポイント10に加えて、1ランク上のベテランチームから10ポイント。
そして、2ランク上のクイーンチームからは20ポイント。3ランク上のノヴァチームからは30ポイント奪う事が出来ますっ!
更に、状況によって4ランク、5ランク差が出た場合…なんと50ポイントを奪う事も出来るのですっ!』
『ーっ!』
それを聞いた学生チーム、そして同じランクのハンターは希望を抱いた。…いや、本当に製作サイドは『盛り上げ』上手だよな~。
『次に、-バトルスタイル-の説明をします。
この-ファイナル-は、オープンニングやサードと同じくシンキングタイムを10カウントとさせて頂きます。
そして、アンサースタイルは私がクエスチョンを読み上げた後…-クイックライティング-にてアンサーをお願い致します』
『……っ』
司会の説明に、各チームのリーダーは険しい表情をした。…これは、なかなかにレベルが高いセクションになりそうだ。
『それでは、各チームのリーダーのご紹介に移りましょうっ!
ーまずは、-イデーヴェスヒストリー研究会-よりリーヤ選手っ!』
そんな事を考えていると、物腰の柔らかそうな男子生徒がウィンドウに映し出される。…その表情は。ビッグステージにも関わらず至ってクールだった。
『2番手は、-ビッグキャプチャーズ-より-トレジャーハンター達のキング-と呼ばれているこの方っ!
グレッド選手っ!』
次は、ハンターチームのリーダーであるワイルドな雰囲気の漂うマッチョな男性が映し出された。…へぇ。要するに『一番稼いでいる』って事かな?
『3番手は、-クエスト-より-古代の食文化-研究のオーソリティーッ!
ジェイド選手っ!』
3番手は、クエストのリーダーである褐色の壮年が映し出される。…確か、あの選手も有名なスクールの教授だったよな。
『4番手は、-ヒストリーメイデンズ-より-ラバキアのクイズクイーン-こと、ネリエル選手っ!』
4番手は、言わずとしれたネリエル選手だ。…その瞳は、『絶対勝つ』という強い意思を宿していた。
『そしてラストは、この方っ!
-カノープスノヴァ-より-スーパーノヴァ-こと、オリバー選手っ!
ー数ヶ月前、あの-超人達のフェスティバル-にノヴァの如く現れ見事優勝を果たした彼は、果たして今日-ブレーン-サイドでも優勝を掴む事が出来るのでしょうかっ!?』
そして、ラストに俺の紹介となる。…しかし随分と長いセリフだな。
『では、早速……。
ークエスチョン:1』
それが終わると、司会は直ぐにコールした。すると、目の前のウィンドウに『ルーツ(木の根っこ)』のようなモノが表示される。…ふむ。
直後、俺はペンを取りスタンバイする。
『今、ウィンドウに表示されているのは古代より伝わるベジタブルで、古代の言語で-ゴボウ-と呼ばれるモノです。
では、古代で-コレ-を食べていた国家の数をお答えくださいー』
『ー…っ!』
司会の読み上げが終わった瞬間、記入が可能になったので利き手で素早く入力する。そして、ペンを持ったままバンドを素早く『グー』にして上からボタンをプッシュする。…そのスピードに、に他のリーダー達は驚愕する。
『おおっ!オリバー選手、ワイルドなプッシュでアンサー権利を取得っ!
それでは、オープンッ!』
そして、俺のアンサーがオープンされる。
『ー…ほう。-1-という事ですか。…さあ、果たして?』
司会がそう言った後、お馴染みのサウンドが流れた。…まあー。
『ーお見事、正解ですっ!…しかし、ポイントはクリアポイントのみですっ!』
平静と構えていると、正解を告げるSEが流れる。ただし、ウチのチームはトップスコアなのでポイントを奪う事は出来ない。
『なんと、今では-ヘルスフード-として人気のこのベジタブルは、古代だとたった1つの国家でしか食べらていなかったんですね~。
…なんでも、-人が食べるにはあまにもワイルド-とかいう理由で嫌われていたとか。本当、古代の人は今以上に-好き嫌い-が多かったんですね~』
すると、司会はちょっとした解説とちょっとキツいコメントをする。…というか、『ボス』のコメントをそのまま使っている。
『さあ、まずはノヴァチームが1歩前に出ましたがまだまだチャンスはありますよっ!
ークエスチョン:2』
そして、直ぐに司会は『次』をコールした。
『ー古代では、育成の結果は自然環境に左右されていました。
では、-失敗-の最たる-原因-を2つお答えください』
ー…っ!
スタンバイしていた俺は、読み上げが終わった瞬間記入を始める。…けれど、俺より僅か先にボタンをプッシュした人がいた。
『ーおおっ!?次もオリバー選手かと思われましたが…まさかの-グレット-選手が僅かに早かったようですっ!
それでは、アンサーオープンッ!』
ー…そう。先にプッシュしたのは、グレッド選手だったのだ。…やはり、『上には上』が居るようだ。
『ーなるほど。-サンライト不足-と-ロングレイン-…ですか。…さあ、果たして?』
その時点で、俺は『次』に備える。…まあ、つまりー。
『ーお見事っ!正解ですっ!』
当然、ジェイド選手は正解する。…さて、『どちら』をターゲットにするのか?
『それでは、グレット選手。
ーどのチームを選びますかっ!?』
『ー…-プレシャスノヴァ-を選ぶ』
『ーおお~っ!』
『あぁああ~っ!?』
司会の問いかけに、グレット選手は答える。直後、ハンターチームの応援団は盛り上がりウチの応援団は頭を抱える。…やはり、最初にウチのチームを狙って来たな。
『グレット選手、迷わずノヴァチームからポイントゲットッ!よって、ノヴァチームは30ポイントロストしハンターチームは30ポイント入りますっ!
さあ、どんどん参りましょうっ!』
そして、ポイント変動が終わると司会は進行を続けた。