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メインステージ-ファイナル③-

『ー…それでは、クエスチョン:8』

 司会がコールすると、ウィンドウに『畏まったスタイル』のフードウェアが表示される。…というか、この『フォト』ー。

『ー…このフォトは、我々がとある方から譲り受けたロストチップに保存されている、-古代-のテーブルマナーのフォトです』

 すると、司会はステージの予想を肯定する。…しかし、『譲り受けた』か。

 ちょっと興味が出て来たが、俺は一旦スルーを決める。…すると、フォトの中のディッシュ(皿)に大量の『?』が出現した。

 ーそして、またフォトに変化が…何者かの手がライトサイドにある『小さめのフォーク』を掴んだのだ。

 ー…っ。ああ、『そういう事』か。

『ーさて、この手の人物は一体何を食べようとしているのでしょうか?』

『ー…っ!』

 司会が問題文を読み上げた直後、俺は素早くアンサーを記入しボタンをプッシュする。…するとまた、他のチームのリーダー達は驚いた。

 多分、『知っている』事に驚いたのかな?まあ『地方のファーマー』の俺が、格式あるテーブルマナーを…それも『古代のスタイル』に興味を持つなんて、普通考えもしないか。


『ーおおっ!?オリバー選手、連続でアンサー権利をゲットッ!そのまま、ポイントゲットとなるのかっ!?

 それでは、アンサーオープンッ!』

 そんな分析をする中、俺のアンサーはオープンされる。

『…なるほど。-サラダ-を食べようとしているのですね?

 ーさあ、果たして?』

 司会はアンサーを確認し、進行を続けた。…まあ当然ー。

『ーお見事っ!正解ですっ!

 ちなみに、現在ではディッシュごとに使用するウェアがレストランやホストが提供するのがマナーとされています。…古代の人達は、大変な思いをしながら格式ある食事をしていたのですね』

 緊張感がステージを支配した直後、正解を告げるSEが鳴り響いた。そして、司会はちょっとした解説とコメントをする。…いや、本当随分とイージーになったよな。まあ、おかげでウチのメンバーとかの『不慣れ』な人達も少しリラックスしながら、『そういうスタイル』の食事を楽しめるようになったワケだし。


『さあ、それでは-ターゲット-を選択して下さいっ!』

 そんな事を考えていると、司会はオーダーを出してくる。

『-ヒストリーメイデンズ-を選択します』

 まあ、選択肢は1つしかないので俺は迷わずクイーンチームからポイントを頂く事にする。

『ー嫌ぁあああ~っ!』

『おお~~~っ!』

『ーおおっ!遂に、ノヴァチームがトップにリターンして来ましたっ!

 さあ、果たしてこのままトップを維持出来るのかっ!?それとも、残り2クエスチョンで別のチームが上がって来るのかっ!?』

 ステージが騒然とする中、司会は盛り上げのコメントをした。

『ーそれでは、クエスチョン:9』

 そして、直ぐに次のクエスチョンが始まる。

『-古代-では、基本的にブレックファスト・ランチ・ディナーの3回の食事の時間がありました。

 しかし、中には変わったスタイルで食事をする人も居ました。

 ーでは、ブレックファストとランチの中間の時間に食べる食事を何と言うでしょうか?』

 ー…っ!

 直後、学生チームのリーヤ選手がボタンをプッシュした。…しかし、彼の顔はかなり不安そうだった。


『おお~っ!?まさかまさかの、リーヤ選手がアンサー権利を得たっ!

 それでは、アンサーオープンッ!』

 そして、彼のアンサーが表示される。…あ~。

『…ほう。-ブレンチ-ですか。

 ーさあ、果たして?』

 俺はその瞬間、『結果』が見えた。…勿論ー。

『ー…残念っ!ハズレですっ!』

『……っ』

 実に『惜しい』が、彼は間違っていた。…その直後、俺はボタンを高速でプッシュする。

『おっ!次にアンサー権利を得たのはオリバー選手ですっ!

 それでは、アンサーオープンッ!』

 どうやら、なんとか『権利』を勝ち取ったようだ。…そして、俺のアンサーが表示される。

『…なるほど。-ブランチ-ですか。

 ーさあ、果たして?』

 その後、緊張の時間が流れて…明るいSEが鳴り響いた。

『お見事っ!正解ですっ!

 なんとオリバー選手、ここでトリプルクリアを果たしたっ!…まさか、本当にこのままラストまでクリアしてしまうのかっ!?』

『ー…っ!』

『頑張ってぇえええ~っ!』

『負けないでぇええ~っ!』

『食らい付け~っ!』

『諦めるなあ~~っ!』

『GO~~~ッ!』

 司会のセリフに、他チームのリーダーは焦りを見せる。そして、オーディエンスは力一杯の声援をチームに送った。


『さあ、泣いても笑っても次が本当の-ラストクエスチョン-ですっ!

 ークエスチョン:10』

 すると、ウィンドウに器に盛られた『ライス』が表示される。…これは?

『-古代の時代-より生まれ、今尚多くの人に愛されているこのライスは様々な-楽しみ-方があります。

 例えば、中に様々な具を入れてライスボールにしたり、またメインディッシュのパートナーになったり、その上にタレの滴るジューシーなモノを乗っけたり。

 ーそれだけでなく、ライスをメインに変化させるモノもありました。…では、その代表的なモノを-2つ・古代語-でお答えくださいっ!』

『ー…っ!』

 直後、全員一斉にアンサーを記入する。…そして、誰よりも早くジェイド選手がアンサーボタンをプッシュした。

『ああっ!?まさかのジェイド選手がアンサーボタンをプッシュしたっ!…果たして、これで決まってしまうのかっ!?

 それでは、アンサーオープンッ!』

 そして、ジェイド選手のアンサーがオープンされる。…っ。

『…ほう。-アジツケノリ-と-ツクダニ-ですか。

 ーさあ、果たして?』

 司会はアンサーを確認し、その後ドラムロールが流れた。…ふう。

『ー残念っ!確かにそういう方も居ますが、実はマイナーなんですっ!

 …っ!おおっ!?次に権利を得たのはグレット選手だっ!…では、アンサーオープンッ!』

 俺はホッとしつつ、ボタンを連打する。けれど次に権利を得たのは、ジェイド選手だった。


『…ほう。-シオ-と-タマゴカケゴハン-ですか。

 ーさあ、果たして?』

 そしてまた、緊張の時間となる。…うん。

『…残念っ!…『それら』はもっと、しっかりしたモノですよっ!

 ーっ!ここで、リーヤ選手がアンサー権利を得ましたっ!

 それでは、アンサーオープンッ!』

 再度胸を撫で下ろしつつ、またボタンを連打する。…うーん、上手くいかないな~。

『…ほう。-タキコミゴハン-と-オセキハン-ですか。…さあ、果たして?』

 そして、3回目の緊張した時間が流れる。…いやマジで、良く出て来るな~。

『…残念っ!…けれど、-手間-はそんなに掛からないんですよっ!

 ーっ!…遂に、ネリエル選手がアンサー権利を得ましたっ!

 それでは、アンサーオープンッ!』

 俺はライバル達の知識に感心しつつ、ボタンを連打する。…けれど、執念の差でネリエル選手が権利を得た。

『…なるほど。-フリカケゴハン-と-オカズラー油-ですか。

 ーさあ、これで決まってしまうのかっ!?』

 そして、4回目。…ああ~。

『…残念っ!…なんと、-惜しい-事かっ!

 ーっ!そして、まるで-待っていた-かのようにオリバー選手がボタンをプッシュしたっ!

 それでは、アンサーオープンッ!』

 俺は、内心で彼女を憐れみながらボタンをプッシュした。すると、ようやくアンサー権利を得る事が出来た。


『…っ!…ほう。-オチャヅケ-と-フリカケゴハン-ですか。

 さあ、果たしてこれで-ラスト-となるのかっ!?』

 俺のアンサーを見た司会は、一瞬驚く。けれど直ぐに、内容を読み上げ進行を続けた。

 すると、ドラムロールが鳴り…ド派手でロングなメロディがステージに鳴り響いた。

 しかもそれだけでなく、俺のアンサーテーブルからクラッカーのように演出用の小物が飛び出した。

『お見事~っ!正解ですっ!

 ーそして、同時に今回のステージの勝者は-プレシャスノヴァ-に決まりましたっ!』

『ー…っ!うお~~~~っ!』

『おめでと~~~~っ!』

『キタァ~~~~っ!』

 直後、司会がクエスチョンクリアと最終的な結果を告げる。…すると、少し遅れてウチの応援団が歓喜した。

『ー……っ』

『…ああ~~~っ!?』

『うわ~~~っ!?』

『クソォ~~~~っ!』

『…………』

 一方、他チームはガックリと肩を落としたり悔し涙を流したりしていた。それに呼応するように、各応援団は悲痛なリアクションをする。

 ー…これは勝負だ。だから必ず勝者と敗者が生まれる。

『……』

 俺は…いや俺達は、対極のリアクションをするステージを見て世界の厳しさを実感したのだったー。

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