ーそして、局の地下フロアを進む事数分。俺達は、『ドキュメントルーム(資料室)』と表記されたドアの前に案内された。…見た感じは、何処にでもあるドアだな。
「それでは、私はこれにて失礼致します。
『用事』がお済みになるタイミングで、お迎えに上がります」
そんな事を考えていると、ガードマンは一礼してから立ち去った。
「…え、どうするの?」
「…『キー』は、一体何処に使えば?」
「…ふむー」
当然、2人は困惑する。…とりあえず俺は、ドアを観察してみる。
ー…うーん。通常のドアに付いている、カードキーリーダーの端末がないな。…やはり、この『キー』を使わないと入れないようだ。
なので、俺は『キー』入りのケースを取り出しドア本体を観察する。…ん?
すると、ドアのアンダーゾーンのライトサイド端ギリギリの所に小さな『へこみ』があった。
「…どうしました?……っ!?」
「…ウソ……」
なので、俺はそこに人差し指を当て…爪を引っ掛けてながらアンダーサイドに力を加える。
ーすると、フタが開き…中からメタリックなラウンドフォルムのパーツが出て来た。
「…なるほど。『カギアナカクシ』ですか」
「…へ?」
「…どういう事?」
俺の知っているような口振りに、2人は疑問を抱く。
「要するに、このフタでこの『カギアナ』を見えなくしていたんですよ。…単純なシステムですが、自分みたく『知っていない』と、絶対に見抜かれないシステムですね」
「…なるほど」
「…確かに、私達のようにカードキーが当たり前の社会に生きている現代の人にはバレないでしょうね」
「…後はー」
そこで俺は『キー』の入ったケースを胸ポケットから出し…本体を取り出す。
ーそして、同じカラーのパーツ…『シリンダージョウ』のセンターにある細長い『カギアナ』に、キーを差し込む。
「…っ!」
「…今の音は」
すると、分かりやすい『オープン』の音が聞こえて来た。…まあ、流石に『システム』までは再現していないか。
「…あっ」
そして、キーを『そこ』から抜くとドアはゆっくりとオープンした。
「…さあ、行きましょう。
ーイアンさん、どうぞ」
「…分かった」
俺はキーを収納すると、イアンに先頭を譲る。すると、当人は頷き最初にルームの中に入って行った。
「ーっ!」
そして、最後に俺が中に入るとルーム内のライトが起動し…直後ドアがクローズする。…スゲーな、『セキュリティ』も完璧だ。
「……っ」
感心していると、何もないワイドな空間の中心部分からメタリックカラーの装置が出て来た。多分ー。
「ー…じゃ、行って来る」
「ええ」
「頑張って」
すると、弟は意を決して中心部分に向かう。…その途中、『データチップ』を出すのを忘れない。
「ー……」
そして、装置の前に立った弟は…自分の背より低いそれをじっくり観察した。
「…私の時もそうでしたが、凄くちゃんとした『ギミック』が仕掛けられていますね」
「…まあ、『この程度の-ナゾ-も解けないようでは、-プレシャス-にたどり着くのはムリ』…と仕掛人は言いたいんでしょう」
「…なるほど、確かにそうかも知れませんね」
「…さて、イアンさんはどうでしょうか?」
「…大丈夫ですよ。
ーだって、私の『半身』ですから」
俺の言葉に、姉は自信満々に返した。…やはりこの2人は、『ジェミニ』だけあって絶対的な信頼関係で結ばれているな。
「ー…っ!」
すると、弟はオブジェクトのアンダー部分で何かを発見しチップをそこに近ける。…直後、その部分が大きくオープンした。
「…どうやら、『ファーストフェーズ』をクリアしたようですね」
「ええ。…?」
そして、弟は新たに出来たスペースにチップをセットする。…だが、オブジェクトに反応がなかった。
「……ー」
すると、弟は直ぐにスペースの周りを観察し始めた。…なるほど。ただセットしただけでは、次のステップに進めないのか。
「……っ」
分析していると、弟はまた何かを見つけた。…それは、プラスチック製のような『フタ』だった。
「…そうか。チップを入れたら、『フタ』を閉じないといけませんよね」
フタを閉じる弟を見て、姉はそう呟く。…しかし、『現代と古代』が混じったギミックだな。
「……っ!」
そんな事を考えていると、オブジェクトがライトグリーンに光った。どうやら、次のステップに進めるようだ。
ーそして、オブジェクトのトップ部分がオープンし…小さなボックスのようなモノが複数出て来た。
「…あれは……」
「……」
姉と俺は、『それ』がなんなのか良く分からなかった。しかしー。
「ー……」
弟は、同時に出現したエアウィンドウを覗き込み…ボックスの1つに手を伸ばしプッシュする。それから、少し離れたモノもプッシュした。
「ー…っ!まさか、パズルか?」
「…そうみたいですね。
ー…良かった。あのコの得意分野で」
それから、弟は同じようなアクションを何回も続ける。それを見て、何をしているのか察しが付いた。…すると、姉は弟の情報を口にする。
「…へぇ。まあ、物静かなイアンにはピッタリの趣味だな」
「ー……良しっ」
そんな事を話している内に、弟は満足気に呟いた。どうやら、パズルは完成したようだ。
「「ー…っ!」」
「……」
すると、何処からかレトロなサウンドが流れて来た。…多分、『クリアサウンド』だろう。
そして、オブジェクトのミドル部分がオープンし中から保存ケースが出て来た。
恐らく『アレ』がー。
「ー………。……これで良し」
『予想』を立てていると、弟はテキパキと『ソレ』とチップを回収しこちらに戻って来た。
「ー…上手く行った」
「お見事」
「流石です」
「…うん」
そして、弟は戻るなり得意げな顔をしたので俺と姉はホメる。…すると、弟は明るく笑ったのだったー。
◯
ーそれから、俺達は来た道を戻り久しぶりに船へと帰って来た。そして直ぐに、カノンに『アレ』を渡し中身を確認する事にした。
「ー…今度は、『何』だろう」
「…私の時は、『ガントレット』と『ブーツ』でしたよね」
カノンが準備をしている間、姉妹は中身の予想をしていた。…となるとー。
『ーお待たせ致しました。それでは、オープン作業に入らせて頂きます』
すると、ルームのモニターが起動しカノンが開始を告げて来た。
「ああ、頼む」
「「お願いします」」
『畏まりましたー』
そして、カノンはアイテムを使いながら新着に保存ケースをオープンしていく。…それから少しして、保存ケースはゆっくりとオープンされた。…っ!
ーその中に入っていたのは、『フォトケース』だった。…当然、中には『フォト』があるのだが、なんと『古代のフォト』だったのだ。
「…ウソ……」
「…マジですか……」
「…こりゃ、驚きだな」
当然、俺達は驚愕する。…すると、モニターは『フォト』に近いていった。
「…これは?」
「…?」
それは、ロングなバトンに小さなステップが付いたモノだった。…あれ?何かー。
『ー分析中、失礼致します』
『ソレ』を見た瞬間、何かを思い出しそうになる。ちょうどその時、モニターのライトサイドにクローゼが表示された。
「(ーっ!)ナイスタイミング。
ー早速、キミの意見を聞かせてくれ」
俺は直ぐに理由を察し、即座に『許可』を出した。
『畏まりました。
ーこれは、私の予想ですが…。恐らくこちらのブーツは-タケウマ-ではないでしょうか?』
「ーっ!それだっ」
すると、彼女は一礼した後予想を口にする。…直後、俺の記憶のサルベージは凄い速さで完了した。
「…『タケウマ』?」
「…っ!…確か『古代』のトイでしたよね?」
『そうです』
「ありがとう、クローゼ」
『いえ、お役に立ててなりよりです。
…しかし、どうしてこんなモノが?』
「……まあ、カノンのを見て考えるしかないだろう。
幸いな事に、『手掛かり』を入手してから調査だから早ければ直ぐに『作れる』」
『確かに、そうですね』
『では、保存作業を開始しますー』
とりあえずの方針を決め、そこで一旦解散となるのだったー。