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第137話 二人での生活

 「く〜」


 私のお腹がひとなきすると、累は後ろからくすくすと笑った。


「お腹すいた?」


「うん。かなり…すいてるかも」


 私は恥ずかしかったけどお腹がすいているのは本当だったのでそう答えた。


「冷蔵庫に明太子があるから明太子パスタ作るね。結菜はここでテレビでも見てて」


「え?手伝うよ」


「だーめ。結菜には無理させちゃったから俺に甘えてゆっくりして…ね?」


 さっきまでの行為を私は思い出して赤面する。確かに今日の累はいつもより荒々しかったから少し痛むので、ありがたく休ませてもらうことにした。


 ゴロリとソファに横になると配信サービスのボタンを選択して見たかった映画を選択する。すると流れ始めた映画が私を魅了した。

 真剣に見ていると美味しそうな匂いが漂ってきてまた私のお腹がなった。

(いい匂い。明太子パスタ久しぶりだから楽しみだな)


「結菜お待たせ。できたよ」


 私は映画を一時停止してキッチンに向かった。


「わあ!美味しそう」


 さすが累が作っただけあって、お店で出せそうなクオリティの高い明太子パスタが2皿並んでいた。1皿は明らかに山盛りでそちららが累の皿だとわかった。


「じゃあ私これはこんじゃうね」


「ありがとう。フォークは俺が持って行くから」


 累はカトラリーを淹れてある棚を開けてフォークを取り出すと私の後にダイニングへと入ってきた。


「美味しそう!じゃあいただきます」


 席に着くと私は早速食べ始めた。もぐもぐと咀嚼すると明太子の辛みと旨みが一気に口の中に広がってすごく美味しい。


「すごく美味しい!どうやって作ったらこんなに美味しくなるの?」


「う〜ん。それは内緒。教えて作れるようになったらもう作ってって頼んでもらえなくなるから」


「え〜けち〜」


「だっていつまでも結菜に甘えて欲しいんだよ」


 累はそういうと自分も大盛りのパスタを食べ始めた。あっという間にその量が減っていく。でもここはお店じゃないので私は累の食べっぷりを見ながらマイペースに味わって食べていった。


「はあ〜。結菜が食べてる姿ってうさぎが草食んでる姿っぽくて可愛い」


 そう言われて私はちょっとドキッとした。まるで獲物を狙う肉食獣のようだったから。


「怖いよ〜。目の奥が笑ってない」


「ごめんごめん。それくら可愛いっていったつもりだったんだけどね」


「もう!」


 2人でお喋りしながら食べる食事はいつのも倍おいしかった。これからはこうして一緒に食卓を囲めることが嬉しい。

 しかもこの後は家に帰らなくていい。一緒のベッドに入って眠ることができるので幸せすぎてニコニコ笑っていると、累が首を傾げる。


「結菜は今日はご機嫌だね」


「だってこれからずっと一緒に生活できるのが嬉しいんだもん」


「そっか。結菜が嬉しいって思ってくれててよかった。じゃあさ、婚約のこと、もう一度考えてくれないかな。今度一緒に指輪を選びに行かない?」


 累は真剣な顔になって私に提案する。

(もう一度婚約…)


 正直嬉しかった。でも不安もある。また感情が失われたらと思うと手放しでは喜べなかった。

 累は私のそんな不安を嗅ぎ取ったのかテーブルに置いた手に累の大きな手をそっと添えてくれる。


「大丈夫だよ。もし何かあっても俺が結菜のこと守るから。だから安心して婚約しよう」


 その言葉で私は覚悟を決めた。累ともう一度婚約することを。


「累ありがとう。私累に甘えてばかりになっちゃうけど、これからのじんせいも一緒に生きていきたいから累と婚約したい」


「ありがとう!結菜」


「じゃあ来週末に一緒に銀座に行こうか」


「わあ。銀座かあ。ちょっと緊張しちゃうな」


「ふふ。普段行かない場所だもんね。俺は仕事でよく行くから平気だけど、不安ならずっと手を握っていてあげる」

(累は建築士だから銀座でも仕事してるんだ。すごいな)


 私は改めて累がそれなりに名の通った建築士なのだと知って驚いた。


「ブランドはどこがいいかなあ。ペアでつけられるものがいいよね」


「時計を贈りあうのもありだと思うけどどうかな?」


「うーん時計は今のが気に入ってるからやっぱり指輪がいいな。結婚指輪と重ね付けできるようなシンプルなのがいいな」


 2人はスマホでサイトを検索して気に入ったものを見せ合いっこして週末を楽しみにした。


 食事が終わった後は二人で片付けをして今後の家事の分担を決めることにした。


「基本的には時間に自由がきく俺が家事をするから結菜は手が空いてる時に部屋の掃除とか休日の食事作りとかをお願いできたら助かるかな」


 累はそういってくれたが、それでは累が大変になってしまうので心配だった。

(でも確かに平日は私の方が帰るの遅くなっちゃうから家事をしてもらえるのは助かるかも…でもなあ。任せきりなのはちょっとなあ)


 うーんと悩んでいると累はクスッと笑った。


「結菜の気持ちはわかるけど、俺はいつもリラックスするために家事してるから全然苦じゃないんだよ。それに外回り行く時は結菜にお願いすることになると思うし。だから安心して任せて」


「それなら…わかった!でも辛かったら早めに教えてね」


そう言うと私は累とか自分担について取り決めを行ったのだった。



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