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第158話 計画

次の日から暇があったらスマホでドレスを検索してはそれを着る自分を想像してあれでもない、これでもないと累と二人で楽し話し合った。


「結菜、海外で式をあげたい人向けのサービスが見つかったから、今度一緒に言ってみよう!」


「いいね!土曜は無理だから日曜とかどう?」


 それをいうと累はちょっと顔が曇る。


「土曜日どうしても行くの?」


「当たり前だよ。だって助けてくれたお礼だもん」


 私はさっさとその話を切り上げたくて、昼間検索した綺麗なドレスを累に見せる。


「これどうかな?刺繍が綺麗なんだよね。これくらいシンプルなのが好きなんだ」


「ああ…確かに結菜に似合いそう。じゃあこれを候補1にして他にもいいのがないか探してみて。俺も結菜に似合いそうなのを調べるから」


累はすぐに機嫌を直してまた黙々とタブレットでドレスの検索を始めた。


こうして二人で結婚式の話ができて楽しみな気持ちがふくらんでくる。ハワイなら夕日が美しいタイミングで式がしたい。 


 私は式場を検索していいところがないか探し始めた。


 そんなことをしていたら、気づけば夕食も食べずに8時になっていた。


「あ!もうこんな時間か!!ごめん結菜。お腹すいたよね?急いで作るから」


「累、今日はもうコンビニ弁当でいいんじゃない??これから一緒に買いに行こうよ」


 累はちょっと困った顔をしたが、頷いて出かける準備を始めた。累がこんな失敗をしたのは一緒に暮ら巣ようになって初めてだったから、それだけ式に対して前向きなのだと思うとなんだか嬉しかった。


「俺、コンビニご飯は食べたことないからちょっと不安だな」


「だったらおにぎりにしたら?おにぎりだったら味に大差ないから」


 そんなことを話しながら夜道を歩く。空を見上げるとその日は美しい満月が浮かんでいた。


「綺麗だね。今日はこの満月を二人で見れたからラッキーだったかも」


 私はウキウキしながら累と手を繋いで歩く。近くのコンビニに着くと外のじっとりした暑さが嘘のように涼しくて快適だった。


「私はカルビ丼にしようっと。あ!アイスも買う?」


「いいね!俺は梅といくらと後はカップ麺も買ってみようかな」


 累はカップ麺もあまり食べたことがないらしく今日はめずらしく食べてみる気になったようだ。


「それだけで足りる?」


「ああ。大丈夫。コンビニ食は未知数だからこれくらいでやめておくよ」


(口に合わないかもしれないってことかな?やっぱり累は自分の料理の方が好きなんだろうなあ)


 美味しいからそんなこだわりがあっても仕方ないかもしれないけど、いつも高級菓子を食べていて、たまに駄菓子を食べると新鮮で美味しく感じるのと同じでコンビニ食も楽しんでくれたらいいなと思いながら会計を済ませ、家に帰った。


「じゃあ食べよっか!いただきます」


 コンビニで買ったカルビ丼を温めて、累はラーメンのお湯を沸かして3分待ってから早速食べ始めた。


「うん!コンビニっぽい!美味しい」


 久々のコンビニ食に私は懐かしい気持ちになる。一人暮らしが始まった頃はよく食べていたのだが、毎食コンビニだと食費が大変なことになるので、しょぼい内容だが手料理をするようになってそれからはコンビニでご飯を買うことがなくなった。


「へえ。カップラーメンてこんななんだ。結構美味しいね。おやつみたい」


 累は美味しく食べたようだった。私はほっとして自分のカルビ丼を食べる。独特の薄い肉に甘辛いタレがついていて美味しい。

(たまにはいいな〜こういうの)


おっかなびっくりおにぎりのラップをはがしている累を横目に見ながらあっという間に食べ終え、デザートに買ったわらび餅を食べた。


 累もおにぎりを食べながらニコニコしている。意外と気に入ってくれたようで安心する。たまにはいつもと違うことするのもいいなって思った。


「食べ終わって片付けしなくていいのは結構いいね。のんびりできる」


 累はコンビニ食のいいところにちゃんと気づいてくれた。 

 そう!食べ終わったらゴミ箱に入れるだけでいいのでとても楽なのだ。


「ふふ。じゃあ空いた時間はまた調べ物しよう」


「そうだね、じゃあ俺は今日調べた式場のUR Lを送るから確認してくれる?結菜も気に入ったドレスのURL教えて」


「わかった!」


 そうして情報共有をして二人で今日の成果を見合った。そのうち二人とも同じ式場を選んでいたので、式場はそこにすることにした。調べるとそこは海外からの観光客が式を上げることが多いらしく、事前予約で牧師を呼んでもらえて二人だけの式をできるらしい。


 ドレスはお互いもう少し探したいねということで意見がまとまった。


「う〜ん。とりあえず式場が決まってよかったね。日曜日にお店でここ予約できるか聞いてみよう」


「そうだね!私達でするよりプロに任せた方が安心だしね!楽しみ」


 そう言って私たちは顔を寄せ合ってタブレットに表示された式場の写真や紹介文を読んだ。



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