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第247話 寧々帰る。(カオス)

 ダンジョンハウスに行ってミスリルを5キロ買い、それからドッグランに行って1時間ちょっと遊んだ。

 やだー、もっとあそぶーってごねごねのヤマトと蓮を引きずり、無理矢理帰宅。こいつら……手間が掛かる!


 家に着いて玄関を開けたら、靴がいっぱいあった。あ、もう寧々ちゃんたち来てるんだ!


「ただいまー、遅くなってごめん!」

「お、じゃま……します」


 今まで惰性で引きずってきた蓮を玄関で解放し、ヤマトの足を拭いていると私の防具を着たままの寧々ちゃんが玄関に来てくれた。


「柚香ちゃん! なんかごめんね、タイミング悪くて」

「ううん、こっちからお願いして無理にレベリングしてもらったんだもん、気にしないでー」

「あのね、柚香ちゃんにどうしても早く見せたいものがあって!」


 蓮をその場に放置したまま、寧々ちゃんが私の手を引っ張ってリビングへと連れて行く。というか、力強っ! どれだけLVあがったんだろう。


「ゆ~かちゃんだー! お邪魔してます」

「お邪魔してます」

「お邪魔してます」

「お邪魔してます……ふひひひひひ」


 やっぱりライトニング・グロウの4人もいるね。そして変な声上げてるのはバス屋さんだ……って! なんか巨大な毛玉に埋もれてる!?

 え、動物? サモエドサイズのモフモフで、耳が長くてちょっと毛が長くてお腹が白くて頭に角が……ま、まさか!


「マユちゃんがもう一段階進化したの! クイーン・アルミラージって、角が白くなって回復魔法も使えるようになったんだよ!」


 寧々ちゃんはバス屋さんからマユちゃんを奪い返すと、私の目の前に差し出して見せてくれた。大興奮しててお目々がキラキラだよ。寧々ちゃんのマユちゃんの愛は凄いなあ。

 それにしても、でっかあー……。フレミッシュジャイアントとかそんな比じゃないね。てか、クイーンって事は、マユちゃんってメスだったんだね。

 当のマユちゃんは相変わらずお鼻がひこひこしてて可愛いんだけど。常識的に考えてこの大きさはないわ……。


「やべえよー、マユちゃん可愛すぎだろー。俺もツノウサテイムして、ここまで育てたい!」

「バス屋の気持ちはわかる! 私も移動中ずっと抱っこさせてもらってたけど! でもどこで飼うつもりなのよ」


 バス屋さんは悶えてて、颯姫さんもジタバタしてるけど言ってることは常識の範囲内だ。


「一戸建て買う! そのくらいの金はある!」

「バス屋、それで人生後悔しないの? おまえは本当に行き当たりばったりだな! そのしわ寄せが来るの私とライトさんなんだから真面目に人生考えて?」


 颯姫さん、凄い真顔でお説教してるなあ。きっと今まで「強いけどノープラン」のバス屋さんのおかげでいろいろ酷い目に遭ってるんだろうな。


「いや、わかるわよ……私も別にウサギ派じゃないけど、この可愛さは反則級よね」

「そうなんです。世界に占めるマユちゃんの割合が増えて、私は幸せです……」


 寧々ちゃんが抱っこしてるマユちゃんのお腹をそっとモフるママに、感無量という表情の寧々ちゃん……。

 我が家のリビングはマユちゃんを中心にふわふわオーラに包まれた。


「じゃなくてぇ! 法月、レベリングの成果は!?」


 ウサギの誘惑に耐性のある男・蓮が一番早く我に返って叫ぶ。それで全員が「ハッ」と我に返った。


「レベリングね! 新宿ダンジョン電波が入らないから経過がわからなくて、今朝出てきたときに見たら凄いことになってたの!」


 寧々ちゃんがダンジョンアプリを開いて私と蓮の前に差し出した。マユちゃんはママが引き取っていった。役得! って顔をしてたけどね……。


法月寧々 LV54

HP 318/318(+178)

MP 79 /79(+150)

STR 76(+125)

VIT 70(+118)

MAG 43(+83)

RST 44(+88)

DEX 283(+167)

AGI 93(+143)

ジョブ【テイマー】【クラフトマン】

スキル【クラフト】【初級ヒール】【中級ヒール】【初級補助魔法】【中級補助魔法】

装備【村雨丸】【アポイタカラ・セットアップ】【オリハルコン・ヘッドギア】

従魔【マユ】


「……………………はい?」


 DEX283ってなんぞ?

 いや、元々LV24で94とかあったんだっけ。それにしても伸びが凄いけど。200あればいいって話じゃなかったっけ? あ、そうか、電波が入らなかったからアプリチェックできなくて今のレベルがわからなかってこういうことか。


 うん、あきらかにやりすぎですね!


「寧々ちゃんもマユちゃんも思ったより強くて、捗っちゃったんだよねー。それで、『今日が5日目だ、一度出てみよう』って出てきたらオーバーランしてた」


 てへっと笑う颯姫さん。いや、「てへっ」の範囲を超えてますよね?


「でもこれで今後は無理にレベリングしないでいいから、ダンジョンエンジニアの修業とかに力入れられるよー」

「あ、確かにそれはいいね。学校でももうほとんどやることなくなっちゃったしねえ」

「やたらバリバリクリティカル出ると思ったら、こんだけDEX高かったんだよね。僕も驚いたよ」

「それでね、特定の武器のクラフトのことなんだけど……」


 寧々ちゃんが本題に入ろうとした瞬間、凄い勢いでうちのチャイムが連打された。

 インターフォンをチェックしたママは変な顔で玄関に向かい、ドアが開いた瞬間蓮ママこと涼子さんがリビングに走り込んでくる。


「柚香ちゃん! 蓮から聞いたんだけど、ヤマトちゃんって犬じゃないんですって? 道理で、柳川さんちに来てもくしゃみが出ないと思ったわ! ヤマトちゃんどこ? あっ、ここにいたの~! うわあああん、可愛いいい!」


 え? 何このカオス。

 涼子さんはヤマトを抱きしめてお腹吸ってるし、蓮はそんな母親を呆然と見てる。

 ――そうか、涼子さんって「犬好きの犬アレルギー」だ。蓮が前にそんなこと言ってたっけ。


 うーん? ヤマトは毎日洗ってるからそのせいじゃないのかなあ? 確かにママも「蓮ママが犬好きの犬アレルギー」って話は聞いてたから、涼子さんが来る日は念入りに掃除してたし、ヤマトは下に降りてこないように2階のケージに入れてたけど。


「はああああ……ワンコしか勝たん……蓮! 柚香ちゃんを絶対離すんじゃないわよ! ヤマトちゃん連れてお嫁に来てもらうんだから!」

「わ、わあ……圧が強ーい」

「16歳で普通こんなこと言われるか?」


 私と蓮は並んで顔を引きつらせた。なんか、蓮と将来的に結婚するフラグがビシバシと立ってる気がする……。


 でも、ヤマトってDNA的にはニホンオオカミと同じだから、抜け毛ももっさり出るしフケも出るはずなんだけども……そこはモンスター扱いで何か違うのかなあ?

 うーん、涼子さんがとりあえずアレルギー反応起こさないで幸せそうだからいいのか?


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