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第44話 あとは戦うだけ

 今年いちばんの冷え込み

 と言われてもこれから毎日のように記録は更新されていくだろう

 なんて思っているうちに新年だろうか


 だがな そのまえにな 直前模試があってだな

 あと一週間もあるんだよ

 不思議

 さんざん『もう時間がない』と言われてきたのに

 この時期になってみてわかる

 あとまだ一週間もあるじゃないかと


 やれることやって

 やることやりおえて

 課題すべてこなして

 それでも身についていないことはたくさんあるだろうが

 時間に追われるラインは乗り越えてしまったよ


 まだ まだ時間あるんだ

 それが正直な感想


 やれるだけのことをやってきて

 そりゃあまだ まだまだ やろうとすればできるけど

 それはそれ別の話だと思ってる



 愚痴に歩調を合わせたくないんだ

 だって愚痴りたくないから努力してきたんだろ

 そりゃあ想像以上にたどりつけていないのも事実で

 足元ぐらついているのも確かだけどさ

 これはこれ

 あとは戦うだけ


 予備校の自習室に通うのを終えて

 図書館にも足を運ばなくなったけれど

 喫茶店で彼女と待ち合わせは続けている

 お互いに批判しないでいこうと決めて

 お互いになにか気づいたらどうする

 指摘する しない

 そんなとまどいが 

 指摘するしないと関係なく

 空気でわかるから貴重なんだよ


 口に出していわなくても なんとなく伝わってくる

 声に出して伝えなくても それとなく伝わってくる

 違和感

 それがわかるから

 いまこの時期に微調整するのにちょうどいいと思ってる


 なぜだろうか

 ひとまわり小さく見えてしまう

 彼女の顔

 その黒髪でおおわわれた頭蓋骨のラインが

 くるっとこの手でつつんでなでたくなる

 愛おしさが静かに湧いてくると

 おれは未知のエネルギーを獲得できるんだ


 そうだね確かに反対のことを主張するひとも少なくないけれど

 おれは彼女と会っている時間のおかげで

 努力の先のプラスアルファが手に入っているんだと考えている

 だから感謝しかないんだよ

 だから感謝がすべてなんだよ


 ここからはプラスアルファを獲得したものだけが

 半歩ちょっと靴先だけリードできると思ってる

 それでいい

 余裕なんてなくてもいい

 必要なのは

 生命力そのものだ

 これだけあればいい

 あとは戦うだけ


 おまえらのことなんか構ってあげないよもう

 あとは戦うだけ

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