デパートの屋上で望遠鏡を眺める
ほんとうは望遠鏡から眺めたいけれど
ちょっと ちょっと 持ち合わせがね
だから望遠鏡を眺めている
視界には海が広がり
圧倒的な青
空のほうが広いのかな
丘の向こうの海が見えない
島へ向かう舟が白く尾を残す
すぐそこまでの距離だけれど
泳いではいけないと教わった
デパートの屋上にある観覧車は
テレビで見たことあるのより小さめだけど
グルグルガタンと目の前で濁音
圧倒的な鉄
ほんとうのことはわからない
もしかすると全部が発泡スチロールで
お菓子の家ではないにせよ
壁は食べられそうな気がする
拾い食いはだめですよ
と
自分のモノではないことくらい
おれにだって見分けられる
異国にも海が広がり
格闘技も盛んらしいから
いつか習いたいと願った
どこでどう分岐するのかわからないが
おれには塾と予備校が配られて
このカードで戦えってことらしい
このカードで闘うために
おれは海鳥に問いかける
どうすれば飛べる
どうすれば跳べる
はじめだけだよ
そのままでいい
はじめだけだな
このままでいい
一日一歩の一善から見て
減点ばかりの毎日だ
埃を拾ってゴミ箱に捨てれば
汚ないでしょ手を洗いなさい
え だって 説明しようものなら
屁理屈なんかやめなさい
はじめだけだよ
求められていくばかり
次
次
さらに次
この上
その上
さらに上を目指せ
デパートの屋上にカフェができて
長く座れるようになったから
ますます望遠鏡を眺められる
いつものように君が教えてくれる
いつものようにノートが整ってる
バイトはじめたよ 週三だけど
ちょっと ちょっと 贅沢だよね
コーヒーにアイスクリームを浮かべた
注文はしておいたから
君のにもアイスクリームを浮かべた