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第65話 原点への回帰線

自分らしさとは固定されたものとは限らず流動性があって

ありとあらゆる変化を包括したところに成りたつ気がする


与えられた役は公演が終われば解放されるし

ふと我に返ってみれば演じていた性格がしみついてるから

なにげない気づきほど的を得る


町内会の夏祭りステージで怪演すれば

自分じゃないからこそ気持ちいい

存在しない誰かになって声を出せ

ひろげた指先の先端にまで熱が届く


演じるのは なんのため

演じれば演じるほど

自然な自分に還っていける


どこかでちゃんと断ち切らないと

似てすらいない他人のままだ

ありとあらゆる要素を混在させたままに刈り込む畑さ

花も根も葉も茎も種子も実も彩る空気も腐る菌もろとも

空から見おろせば合図だよ


自分らしさを樹に求めるなら

いつか外から森を眺めよう

凍えた爪先つまさきの話を聞け

歩きもしないくちばかりが騒ぐから


誰かになって自分になったら別の誰かに自然になれる

ほどよいループの先にあるのは原点への回帰線


かわりものでいこう

かわりものでいよう

かわるがわるに生まれよう



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