ぼくから おれ
おれから 私へ
とくに なにがどう ちがうってわけじゃない
なのに なにかこう いままでとは なにかが
かわった
見えている
視力が弱っても
ますます
見えてしまう
聞こえる
難聴の波が騒がしいのに
ハッキリと
その声
とくに言い訳しなければ
ごくフツウに生きてる
どこかの誰か
そんなふうな自分を
なんとなくだけど すごく
誇らしく思うことがあるんだ
精一杯の強がりを
やせがまんの体に閉じ込めて
ありったけの希望の光
そんなものがあるのなら
ああ 放ちたい
空に宵
またたくまに星
次から次へと流星群が現れては去って
街に恋
またたくほど路地
くるおしい祈りを投げ込める場所を求めて
姿勢正して歩く
進む
歩幅は
ちょっぴり ひらいて
無理難題を肩に
紆余曲折の
こじあけろ
見えない壁を感じているのなら
段々と続く
段々に施工されて
段々が
ふるびた塔みたいだ
誰かの怒りを受けたとしても
私は逃げる
なにかの間違いだと言い張りたいけれど
私は逃げる
黙るよりも意味不明を叫びたい
いまは逃げ足の速さを
きっと目指す場所に着くためのスタートダッシュだ
つまり逃げる
あの少しだけ小高くなった噴水広場が
未来を見渡せる展望台なんだと言い聞かせて
生垣が香る その花の名前を いつか調べる余裕ができたなら
本当の理由を
こじあけろ
ぜんぶ ぜんぶ かいておくから
ぜんぶ ぜんぶ かきかけだけど
ぜんぶ
本当のことばかり
忘れた痛みがよみがえってきたとしても
のたうちまるかもしれないけれど
こじあけろ