目次
ブックマーク
応援する
1
コメント
シェア
通報

第186話 宙を握る

どうすることもできないけれど

どうにかしたいと思う


どうなるのかわからないことを

わかったふりしてシラをきる


あとで ひとり 落ち込むパターンだ



何度か同じ繰り返し

幾度も似たような展開


学んだつもりが

活かしきれずに

なるようにしかならないなんて


くちびるかみしめ鏡にらめば

どうした

いつもの作り笑いは




どうすることもできないにせよ

どうにかできると決めた


どうなるのかわからないのなら

本気で強く願ってみろよ


すぐに 弱音 吐き出すくせに




いいや


今度ばかりは ちがう




変えられないけど

変われる


けなくても

くんだ



どんなにひどいこと言われても

無防備に心にいれるなよ


目をあけたまま心を閉ざす

嵐が去るのを待つように




やばい


また つい ついつい ぐちりそうになっていた

弱音を吐くヒマあるなら

言ったろ

本気で強く願ってみろと



いつか誰も使わなくなる

レッテルなんて 

はやりもの


どうなることかわからないことだ

わからないままで見栄みえ


ただの演技さ

けれど嘘じゃない


ふるえても

ないても

みっともなくても


まずは実際の自分を見せるよ


さわいでも

だまっても

変わりはしないが


まずは現在の自分で挑むよ


なにかを変えられなくてもいい

おれが変わるだけ



さあ

約束の時刻

話し合いだ


父との時間

決裂しても


まずは折れない自分を試せ


安易にうなづいてやりすごすより

恐怖で怯えて吃逆しゃっくりが出ても



負けることができるのはたたかったものだけ





なあ


どうすればよかった


話し合いのために確保できた週末の約一時間

ほんの十分で打ち切られたが

父の背を見送るとき

思った


やった


やったぞ


おれは折れずにここにいる


どうだ


やったろ


おれが折れずに今もいる



ギュッて宙を握り

ゆっくり

ひらいた







この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?