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第197話 ほらまた夏だよ

そろそろ限界かもしれない

そう感じてからも なお

がんばる


がんばる


がんばった


がんばった?



冷静になると見えてくる

自分自身のカラッポかげん


がんばった

たしかに

がんばったけど

たしかに がんばった それは事実


だけど



どこか心の片隅で楽しんでいた気がします


つまり


テキトーこきました




いやで いやで いやで しかたなかった

それもまた事実ではあるけれど

イヤ だけではなかったよね?


記憶ツンツン針で

ひたすらつついてみた


すると不思議


あぁ そっか そうだった 

そうだよね






誰の視点かわからない

自分で自分を見ている?

意味不明な客観性

でも

まぎれもなく自分なんだと思う

しかも

なんだか 嬉しそうにも見える


そりゃそうか

そうだよな



ドクダミが空に向かって白さを放つとき

たとえようのない

ざわめき

嫌われものですか

雑草ですね

切っては匂いが嫌がられ

抜いては図太さに辟易される

でも

私には

いとおしく思えてしまうことがあって

はびこる庭

棄てるためだけに抜いたり引いたりしたあと


ひとかけら

鉢に投げて土をかけた




わっさわっさに葉が繁り

まさにこれから白く放つ


花ではないらしいよ

花もあるけれど それじゃないんだってさ

じゃあ それは?




さあ

今日も

ちょっとだけ

がんばってみよう?

『がんばらない』を

精一杯ほら

がんばるよ



もうこれ以上はムリです…というときが何度もあったけど

どうにか無事に乗り越えられたのは


おれが いいかげんで

おれが できそこない

おれが がんばりやで

おれが がんばらない


あの意識も

その知識も

この景色のまえでは消えそうだ



新芽に風が冷たく吹いて

若葉は陽に透けて萌える

ほら

また夏だよ




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