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第202話 主導権

洞窟にはいって壁面に手を近づけて

ふれるか ふれないか 

やんわりと冷ややかな空気に

自分の体温がもどかしい


暗くなればなるほど目を凝らしてそらさぐ

ここは地中なのか宇宙なのか

そういえば宿題やったっけ


そもそも宿題あったっけ


想像してみる

大人になった

いまよりずっと

大人になって

なんになった



向き合えば向き合うほど

視線が別のなにかを求め

誰かと話しているはずが

自分のことを気にしてる


空想してみた

子供になった

いまよりもっと

不自由だった

なによりもっと

自由を求めて

きばいたし

いだ



なんになった

大人になって

もどかしくて

たまらないな



もどかしいが

わるくないな






ガタンゴトン プアーン

列車が来るよ

んで去るよ

こっちにいても

あっちにいても

じきに終わるし

すぐに変わるよ

いまにわかるさ

回想は無駄




いつも使い慣れていた踏切が廃止になって

ガード下をくぐらなければならなくなって

安全になったかもしれないが

危険が増えたようにも見える


いろいろな意見が

いろいろと景色を変えていくけれど

いままでもそうだったみたいに錯覚する

それなりの経験を重ねればわかる

うまくいけば嬉しいし

うまくいかなきゃ悔しいさ


想像したよ

成功を


驚愕したな

失敗に


いつか自由になれる日が来る

そんなことを夢に見て

いつか報われる日が来るぜ?

どんなことも受け入れて


それって正しかったか

これって間違ってないか

あれって無意味だったか

どれ…どの選択肢なら…満足できたか


妄想は

ちゃんと自分の意志で振りほどきなよ




自分の体温

高い

   低い

     普通

        異常

ふんわりとシラケてる周囲に

ふれるか ふれないか 

なあ

もういいだろう?

正直になろうぜ



『みんなには塾に行ってることを黙ってなさい』

と父に言われて

おまえ結局どうしたっけ?


『おまえ塾に行ってるんだろ?』

と友にかれて

おまえ結局どうしたのさ?






決めた


だますのをやめる


『嘘をつけ。嘘を言え。嘘も方便だ、言うことをきけ』

あなたがどんな気持ちで言おうと

実験します

私は もう だまさない



相手を喜ばすのもやめる


嘘をついても

本当のことを教えても

友よ

君を喜ばせば

親が悲しむ

なによりこの


自由に気ままに一緒に遊びたかった

これからも大切にしたかった

けど

私は もう 喜ばそうとしない


つまり


自分の気持ちに正直になる


返事の代わりに

無言で微笑み

説明に代えて

手を振るよ


じゃあ またね また明日


自分をだませないし

自分を喜ばすには覚悟がいる



さあ


主導権ちゃんと自分で握ろうな?


















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