努力の
しかるべき
困難を克服して
見返りを期待してしまう
最初そんなつもり全然なかった
けど
試練を乗り越えて
ご
無理だと感じることがあって
途中こっそり逃げ出したりして
そんなの
どうだったのかな 終わりよければ
すべてよし?
それとも
ゼロよりまし みたいな
最初そんなつもり全然なかったんじゃないのかな
って今でも思うことがある
時は
世間じゃ
何時間
そこでは
うらやましくない?
嘘だろそんなの夢みたいだ
何時間
あそこで成果を出せなきゃボロクソだったじゃん
え
なに
時間
時間で
その経過だけで
報酬もらえるって?
意味わかんない
うらやましいんだよ
いったい何時間
どれだけ勉強して
いや
わかる
『おまえの将来のため』
『お金のために勉強するだとか言うな、あさましいぞ』
と
父の
母に
目で姉に助けを求めれば
『ふぁぃとっ!』
と無言で
ひとり
ああ
ひとり
なんて心地のいい
あれしなさい
ああしなさい
これしなさい
それはダメと
徹底的な
おれは目を開けたままの旅
ここにいながら
それを聞きつつ
あれを強いられ
気持ちぐんにゃりさせられようとも なお
おれは自由をすぐそばに感じた
あるわけないけど
否定しきれないよ
ほら
きっと誰にも見えないし
ゆえに誰にも証明できず
おれだけが感じ取ってる
ほんとうの成果
いままでは父の解説が必要だった各種取扱説明書が
おれも読めるようになって
商店街の買物で予算も釣銭も計算できるさ
おそらくだけど
おれが勉強してきたことの成果って
こういうことな気がする
生き抜くための知恵そのもの
人生を大げさに遊びきるため
テーマパークの難解なルール
誰かと会話を
すんなり理解できるって
これも報酬のひとつ
ほら
お
この体ひとつ
ふと思い立って
ふらり自由気ままに旅に出ても
おれなら見事に生き続けられる
そんな気がして
ならば
ま、いいか
空を目指してぐんぐん伸びて伸びて伸びゆく
ひとつひとつの
きっちり遮断されてるだろう?
こっちから そっち
そっちから あっち
いけないんだよ
そんな竹みたいに
おれも
どんなに長く伸びても地中と宇宙は
たとえば高さが届いたとしても
そういえば
あれ なんてったっけ
とても大切
しかも重要
まして自慢
なあ なんてったっけっか?
忘れていこう
忘れて進もう
忘れてもなお
身体は動く
頭脳が見抜く
なあ
入学気試験を突破したものどものナレノハテが集い
どうなることやらな
父の予言じゃ
「もっと厳しくなるぞ」
おれ
母の
「そりゃそうよ、できる子、できた子だけが
せいぜいついていきなさいと
ふ
ふたりともへんな笑顔
うんざりなんだよ
でも
そんなもん
こんなもん
だよな?
と姉に視線ちらり
ちっともこっちを見ていなくて
肩
でもまあ
これくらいが
それくらいが
すっかりおれに興味を示さなくなった姉が
「そういえば」
と
めんどくさそうに放つ
「いよいよ明日から…大人だね」
ついでのように思い出したみたいに振り返って
「やったじゃん」
と
目を細めやがる
明日いよいよ入学式
おれが合格した中学の
おれにとってのご
さあ大人の時間がはじまるよ