とびきりの夏物語
文芸・その他純文学
2024年08月16日
公開日
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5.4万字
連載中
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受験を控えた夏に、おれは目的意識を見失った。
何のために誰のためにと問えば問うほど虚しくなる。
予備校を通り過ぎてひなびた山道を抜けると、見たことのない浜辺。
「誰の許可を得て来たのかしら？」
と背後から質問され、振り向くと逆光に浮かびあがる長い髪の女の子。
顔は判らないが声に聞き覚えがあった。
「あら、あなたは」と彼女が先に言う「…お久しぶりね元気してた？」
思い出しそうになるが記憶をたどれない。ただなんとなく懐かしい。
懐かしいけど、なんでだろう。なにかがへんな気がした。
本文
第1話 通り過ぎる
