目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

第百二十九話

図書館で鉱石のことについて調べる。


鉱石の書物が置いてある棚は、以前に探していたのですぐに見つけることが出来た。


アルージェはこの日三冊目の本を閉じる。

「うーん、デゾルブ鉱石のこと全然書いてないな」

軽く伸びをして凝り固まった体を解す。


「こういう時師匠が居ればなぁ」

アルージェはニツールでの生活を思い出し、少し家が恋しくなる。


「父さんと母さんに会いたいや。みんな元気かなぁ」

アルージェが天井を見つめながら呟くと、ルーネがそばに寄ってきて慰めるように顔を舐める。


「うわっ、びっくりした。慰めてくれてるの?ありがとうルーネ。自分のこと守れるようになったら村に戻って、みんなにルーネとミスティさんとエマのこと紹介しようね!きっとみんな驚くよ!」


「ワウッ!」

ルーネは他の人の迷惑にならないように小さめ声で吠える。


「ルーネはいつも元気だねぇ」

気分転換が出来たので、持ってきた本を開きデゾルブ鉱石についての調査を続ける。


そこからさらに何冊か読んだ後、エマが合流する。

合流してもやることは変わらず、二人とも各々の調べ物について書物を読み漁る。


「図書館閉館のお時間になりました。速やかに退館してください」

図書館閉館のアナウンスが流れる。


「あれ?もうそんな時間?早いなぁ」


「ほんと調べものしてたら時間が過ぎるの早いですね。あと少しで読み終わるのに、明日に持ち越しです」


「僕も調べたかった事は見つけたけどもう少し図書館かなぁ。そういえば、エマは今日晩御飯どうするの?」


「あぁ、実はまだ何も決めてなくて・・・」


「なら一緒に食べる?王都に行ったとき以来、あんまり話せてなかった気がするし」


「ぜ、ぜひ!」

そのまま寮に戻り、みんなで食堂に向かい一緒に晩御飯を食べた。


食後、寮に戻りお茶タイムが始まる。


「アルージェ、少しいいか?」

唇を尖らして紅茶をフゥフゥと冷ましながら飲むアルージェにミスティが声をかける。


「ん?何ですか?」

アルージェはフゥフゥをやめてミスティの方を向く。


「あぁ、そんな大層なことではない。攻撃魔法研究会について少し聞きたいと思ってな」


「答えられることならなんでも答えますよ」

アルージェは紅茶を啜るが、「熱ッ」と声を上げてふぅふぅと紅茶を冷まし始める。


「いや、実は私も入ってみたいと思ってな。ただ所属している者の熱量やら、そもそも私が入れるのかが不明でどうしたものか考えているところだ」


「熱量はたぶんかなり高めですね。皆、実戦での魔法運用をしっかりと考えてます」


「私はマナスポットの研究がメインなのだが、実地調査が増えそうで身を守るために実戦訓練をしたいんだがどうだろうか?」


「なら、明日一回一緒に行ってみます?」


「いいのか!?それは非常に助かるが・・・」


「僕も攻撃魔法研究会の皆さんに用事があったのでちょうどいいですよ!」


「わ、わたしも行っていいかな?」

二人の会話を聞いていたエマが話に加わる。


「えっ?別にいいですけどエマも攻撃魔法を?」


「あ、アルージェ君が私の首飾りの付与を解除してくれたら、私も自分の身を守らないといけないから!」


「確かにそうですね。なら明日みんなで一緒に行きましょう!」


翌日、ミスティさんとエマを連れて攻撃魔法研究会へ顔を出す。


ミスティがマイアはどうする?と聞いたら秘密結社らびっといあーのみんなに会いにいくといっていたので、別々で行動している。


攻撃魔法研究会室の扉を開くと一斉に視線が集まる。


「ディビックさんいますか?」

アルージェが聞くとディビックが奥から現れる。


「やぁ、アルージェ今日も戦いたくなったのかい?おや?奥の二人は?」

ディビックがミスティとエマに気付く。


「攻撃魔法研究会に興味が有るって言われたので連れてきました。こちらがミスティさん、隣がエマです。こちらはディビックさん。僕を攻撃魔法研究会に案内してくれた人です」


アルージェが紹介をして、各々挨拶を交わす。


「僕は別に入ってくれることには賛成さ。ただ自分たちで言うのもなんだけど、みな将来がかかってるからね。遊びでやっているわけではないよ。そこだけ留意していてほしい」


「私はマナスポットに対する研究を主にしているが、マナスポットの研究は現地での調査が必須になる。現地で死なない為に、自分も攻撃魔法について学びたい。どうだろうか?」

ミスティは自分の考えを述べる。


「わ、私も今はまだ守ってもらってばかりだけど、自分と私の周りにいる人を守れるようになりたい!」

エマは自分の決意を述べる。


「あぁぁぁぁ!素晴らしい!二人の熱い気持ちが言葉が僕の心にビンビンと伝わってくるよ!それだけの意思があればきっとやっていける」

ディビックは二人の熱意を感じ、膝を付き天を仰ぐ。

数秒間天を仰いだ後、ささっと立ち上がる。


「それに君たちみたいな美人が入ってきてくれたら、きっと男達もよりやる気になるだろうしね。これからよろしく頼むよ!」

ディビックは右手を差し出しミスティ、エマと握手をする。




この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?