ドール・ハウス事件で匿った子供達は、孤児院に入れる事になった。
キリスト教関連の孤児院に決めた。
「もし、腐敗の王が、戦争を起こすとしたら、私は彼の右腕として動くわ」
化座は、そんな事を口にする。
いずれ、行われる黒社会。警察組織。絡新婦。ゴールデン・エイプとの戦いに巻き込まれるだろう。腐敗の王はこの社会の秩序そのものを変えたがっている。彼は狂王として生きるつもりだ。
教会の席に座りながら、ブラッディ・メリーはキリスト像を、十字架を眺め続けていた。
「どうせ償い切れない犯罪を起こすなら、行き着く処まで行ってやろうと思っているの。どうせ私の被害者は私を赦さない。私は化け物として生きる。幸せになる権利は無い。だから、私は悪と共に堕ちるわ」
化座彩南は、闇色に染まる夕日に照らされていた。
「虐待を受けた子達と話し合って、犯罪被害者遺族の気持ちが分かったんですか?」
朔は、何処か疲れたような表情で訊ねる。
「さあ。やっぱり、分からないわね。うん、分からないわ」
朔は、父親との確執があった。
彩南は、どうだったのだろうか。
彼女は自分を語らないが、酷い虐待があったのだろうか。
他者に対しての愛情が歪んでいるは、薄々と感じている。
「僕達は、生まれるべきでは無かったんでしょうね」
スワンソングは、そう呟いた。
「ひっそりと生きるべきだった」
彼は大きく溜め息を付く。
「貴方は、ナイト・リッパー事件を止めた。貴方はまだ引き返せると思う」
ブラッディ・メリーは、何処か悲しそうに呟く。
「誰にも被害者にも加害者にもなり得る。サクちゃん、私にはならないで…………」
ブラッディ・メリーは、何処か悲しそうな表情をしていた。
†
教会の外には、腐敗の王がいた。
彼に手伝って貰って、ドール・ハウス事件の孤児達の孤児院を見つける事が出来た。
腐敗の王は、がちゃがちゃと美少女ミリタリー系のアプリゲームに熱中しながら無課金で課金している者達に挑んでいるみたいだった。
「ダメだな。やはり勝てない。だが、自分もゲームに金を使ってレアキャラを出して勝つと、何と言うか、何かに負けた気がする」
連続殺人の計画を練り上げるのと、まるで同じトーンと熱量で、腐敗の王は頻繁にスマホアプリやTVゲームの愚痴を頻繁に口にする。
「…………。なにしてんの、あんた? いい年してゲームに熱中してるから、氷歌に裏でバカにされてる」
ブラッディ・メリーは呆れた顔で、自分の組織のボスを見ていて溜め息を付いた。
「やはり、ガチャは人類にとって悪い文化だ。大脳皮質を劣化させ、賭博依存と同じ心理状態になる。こいつに金回して親族にまで百万以上の借金するアホを量産する。腹立たしい事だ」
「それは、対戦で勝てない愚痴なの? ……あんたも課金すればいいじゃん、金は幾らでも持ってるし、その気になれば作れるでしょ?」
彩南は、わざとらしく大きく溜め息を付いた。
「駄目だ。それは、自分に負けた気がする」
腐敗の王は、大きく溜め息を付いた。
「ネットコンテンツでしたら、僕は推し活も悪い文化だと思いますね。外見ばかり整えた頭空っぽなYouTuberや3DモデリングのVTuberに、十代の子が月何万も投げ銭をするそうです。もう少し未成年に対して配慮するべきですよ」
スワンソングは、冗談交じりで会話に混ざる。
「それなら、スマホアプリは本当に害悪でしょ。十代の世の中を知らない子に間違ったお金の使い方を教え込む。最近のゲーム会社は本当に悪質ね。親も、もっと子供に対して目を掛けるべきよ」
彩南は大きく溜め息を付く。
連続殺人犯三名は、世の中のネットコンテンツと児童教育に対して、真摯に憂うた議論を交わしていた。