「ユータ、行くぞ! 急げ!」
レヴィアはポッドの最終調整をしながら急かす。その声には、いつもの
俺は優しくドロシーの髪をなでながら、しっかりと目を見つめる。月光のように
「待っててね……」
しかし、ドロシーは心細げにうつむく――――。
俺は愛おしさと切なさに
「行ってくるよ……」
ドロシーは口をとがらせ……、静かにうなずいた。
俺はポンポンとドロシーの背中を叩き、覚悟を決めるとポッドに乗り込んでいく。早く決着をつけたい思いが俺を後押ししていた。
冷たい
「横たわって、静かに待つんじゃ!」
レヴィアは厳しい声でそう言いながらハッチをガチリと閉めた。俺は思ったより狭い内部に息苦しさを覚える。
ふぅ……。
密閉された空間に響く息遣いが、緊張を一層高めていく。
内側からドロシーに手を振ると、ドロシーは
「あなた……、気を付けてね……」
ポッドのガラスカバーを不安そうになでるその
俺もその指先に指を合わせる――――。
ヴゥン……。
かすかな電子音が響いた。それは別れの時を告げる
直後、俺は意識を失った――――。
闇に沈んでいく意識の中で、最後に見たドロシーの
◇
気が付くと、俺は細いベッドに横たわっていた。金属の配管が縦横無尽に這う天井のあちこちから漏れる青白い光が、
「……、え……?」
辺りを見回せば、どうやら壁から飛び出ている寝台のようなベッドの上にいるようだった
壁には蜂の巣のように六角形の模様が刻まれ、同じような寝台がたくさん収納されているように見える。周りは半透明の布で囲まれ、その向こうに人影らしきものが
俺たちの世界を構成しているコンピューターのある星、まさに神の星にやってきたのだ。