いきなり布の壁がビュンと音を立てて消失した。
「ユータ! 行くぞ!」
見ると、胸まで届くブロンドの長い髪を無造作に手でふわっと流しながら、全裸の美女が立っていた。
へ……?
真紅の瞳には
「なんじゃ? 欲情させちゃったかのう? 揉むか?」
女性はそう言いながら腕を上げ、悩ましいポーズを取る。その仕草には、何千年もの時を生きた者とは思えない
「レ、レヴィア様! 服! 服!」
俺は真っ赤になってそっぽを向きながら言った。
「くふふふ。ここでは幼児体形とは言わせないのじゃ! キャハッ!」
うれしそうなレヴィア。その
「ワザと見せてますよね? 海王星でも服は要ると思うんですが?」
俺はギュッと目をつぶりながら
「我の魅力をちょっと理解してもらおうと思ったのじゃ」
上機嫌で悪びれずに言うレヴィア。
「いいから着てください!」
「我の人間形態もあと二千年もしたらこうなるのじゃ。楽しみにしておけよ」
そう言いながらレヴィアは赤い服を選び、身にまとった。
「まったく……」
非常時に一体何をやっているのか。俺は
◇
六角形の
通路の壁面は
何らかのメーターのように針が振れ、数字が動いている。気圧か温度のデータだろうか? のぞきこむと、急に画面が変わって俺の顔写真と各種パラメーターがずらっと並び、何らかの赤文字の警告メッセージが
「え? これは……?」
俺はいぶかしく思って首をひねる。この見慣れない文字列の意味するところは? 不安が
「何やっとる! 置いていくぞ!」
レヴィアは足音を響かせながらスタスタと先に行ってしまう。その金属音は規則正しく、この場所に慣れ親しんだ者の余裕を感じさせた。
「あぁ! 待ってください!」
俺は急いで追いかける。金属の床を踏む音が慌ただしく響き、青白い光が素早く
レヴィアの姿を追いながら、俺は改めてこの空間の異質さを実感していた。