しばらく行くと、突き当りに漆黒の壁……いや、星が見える。
「おぉ! 窓だ!」
俺は急いで駆けよった。
強化ガラスを思わせる
ふと下を見て思わず息が止まった。
おわぁ!
なんとそこには
「おぉぉぉ……。これが……、海王星ですか?」
俺は
「そうじゃよ。太陽系最果ての惑星、地球の十七倍の大きさの巨大なガスの星じゃ」
「美しい……、ですね……」
俺は思わず見入ってしまった。言葉では言い表せない
壮大な水平線の向こうには薄い環が美しい円弧を描き、十万キロにおよぶ壮大なアートを展開している。氷の粒子が織りなす環は、神秘的な光の帯となって惑星を演出していた。
よく見ると満天の星々には濃い天の川がかかり、見慣れた夏の大三角形や白鳥座が地球と同様に浮かんでいた。ただ……、上の方に見慣れない星がひときわ明るく輝いている。
「あの星は……、何ですか?」
俺が首をかしげながら聞くと、レヴィアの瞳が
「わははは! お主も知ってる一番身近な星じゃぞ、分らんのか?」
「身近な星……?」
俺は首をひねった。あんなに明るく輝く星ならば恒星に違いないが……、そんな星が身近にあっただろうか?
「太陽系で一番明るい星は何じゃ?」
レヴィアはニヤニヤしながら俺の顔をのぞきこむ。豊満な胸がその存在を誇示していた。
「一番明るいって……輝いてるのは太陽しか……。へっ!? もしかして……太陽!?」
俺は驚いて太陽をガン見した。
「そうじゃよ。遠すぎてもはや普通の星にしか見えんのじゃ」
「えーーーーっ!?」
地球では決して直視できない灼熱の星が、ここではただの
点にしか見えない星、太陽。そして、その弱い光に浮かび上がる
あまりピンとこないが……。
「それで、コンピューターはどこにあるんですか?」
俺は目を凝らして辺りを見たが、データセンターらしき構造物は見当たらない。
「ここは宇宙港じゃ、港にサーバーなんかある訳ないじゃろ。あそこじゃ」
そう言ってレヴィアは
「え!? ガスの星ってさっき言ってたじゃないですか、サーバーなんてどこに置くんですか?」
ガスの中にサーバーを置くなど意味が分からない。地球の常識では考えられない状況に、思考が追いつかなかった。
「ふぅ……。行けば分かる」
レヴィアは金髪を
「……。で、どうやって行くんですか?」
俺が聞くと、レヴィアは面倒くさそうに無言で天井を指さした。