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1月29日 雪のち晴れ

ボールペンで書かれた短い言葉が、上からぐりぐりとかき消されている。


書きかけというよりは、その短い言葉で書き終えて、見えないように塗りつぶしたようだった。


ひらがな四つ。


耳に残り。


記憶に残り。


言葉にして。


消してしまいたかった。


記憶ではなく、記録として。


蓋をして。


見えなくして。


そうすることで忘れられる気がして。


客観的に割り切れる気がして。


きっと、そんな意味があった。


一方で、同じくらい忘れないために。


このページを読み返した時に、その苦しみが呼び起されるように――

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