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17. ギルド設立


 どれどれゴブリンキングのドロップはと。


 おお、なんじゃこれ。


「アイアンハートアローだと」

「なんですかそれ」

「弓。なんかめちゃ強い」

「そうですかぁ」

「でも弓使い、いないんだよね」

「そうですね」


 ハズキさんに武器を見せる。

 ハートマークがついているピンクの弓だ。

 なかなかにかわいい。

 ハズキさんに持たせてみるとまるでキューピッドみたいだ。


 森をダッシュで走って戻る。

 意気揚々と町、王都トライセンまで戻ってきた。


「ムルリックさんいるかな」

「いますよ」

「ゴブリン鉄、追加、おなしゃす」

「はいよ」

「インゴット量産ですね」

「そそ! よろしく」


 こうしてまたゴブリンの武器を大量に抱えて戻ってきた俺たちはゴブリン鉄を量産する。


「今度はハーフアーマーをよろしく」

「はい、今の熟練度ならなんとか」

「ありがとう」

「いえいえ」


 武器の更新は終わっているので次は防具類なのだ。

 さてそれも終わって、それではいよいよです。


「じゃじゃーん」

「なんだなんだ」

「ギルドを設立することを、宣言します!」

「おおおお」


 ということでメンバーのご紹介。

 場所は冒険者ギルドに集合だ。

 冒険者ギルドは中央通りのど真ん中にあった。

 行ってみるとけっこう混んでいて、人通りがある。


「まず俺、ウル。ウルベウス・ニューウェスト」

「私、ハズキ・ラフェリエル」

「情報屋のマミ・エンバッドよ」

「鍛冶屋のムルリック・エバーソン」

「槍剣士のミハエルだ。よろしく」

「ヒーラーのエリスだよん」

「みんな、よろしく」

「「「「おおおお」」」」


 さてギルド名を決めなければ。

 ギルドには冒険者ギルドっていうのと、プレイヤーが集まって作るプレイヤーギルドというシステムがあるのだ。

 で設立できるのはプレイヤーギルドの方だった。

 ゲームによっては血盟クラン、グループ、クラブなどと呼んだりもする。


「俺ウルからの提案。ギルド名『無欲の天使達』とかどう?」

「金にがめついのにか?」

「そこが矛盾しててジョークになってんのよ」

「あ、なるほどぉ」

「んじゃあ、それでいいわよ、ウルさん」


 ということで「無欲の天使達」というギルドに決まった。

 まああれだ天使というのは俺じゃなくてハズキさんの黒髪の天使なんだけどけどね。

 恥ずかしいからそういうのは秘密だ。


「じゃあクエスト受けるぞ」

「うん」


 ギルドを設立するには簡易的な専用クエストを受けないといけないのだ。

 俺が代表してギルド作成というクエストを受注する。


「それではみなさん、○×の○を上げてください」

「○」

「「「「○」」」」


 じゃじゃーんとこどからともなく効果音が流れてクエストが進行する。


「次は、○×の×を上げてください」

「×」

「「「「×」」」」

「ここで違うの出したらどうなるの?」

「最初からやり直しになりますね」

「ふむ」


 またじゃじゃーんと音が鳴って次へ進む。


「次は、リーダーのみ×を他の人は○を上げてください」

「×」

「「「「○」」」」

「OKです。クエスト達成」


 最後にはパンパカパーンとファンファーレが鳴り響いていた。

 これでギルドクエストは完了になり、以降はシステムコマンドが使える。


「みんな、ありがとう」

「いいっての」

「やったね」

「万歳! 万歳!」


 ギルドができたからといってなにか今すぐ特典があるとかでもない。

 一応、冒険者ギルドに行くと倉庫が使えるのだが、ギルド倉庫という共有倉庫がある。

 それが使える。

 倉庫にはお金も置けるので、資金の出し入れが可能なのだ。

 必要な時はUIからも資金を直接出し入れできるのでわざわざ冒険者ギルドに行く機会は少ない。


「ギルドのエンブレムはもうちょっとギルドが成長したらだから」

「わかったわ」


 ギルドには専用のエンブレムを設定できるのだ。

 俺の素案だと、天使の輪っかに左右に白い翼の形のエンブレムにする予定になっている。


「んじゃ、一度解散」

「はい」

「んじゃ、また今度」

「ばいばい~」


 ギルドを作成っていっても、まあこんなもんだ。

 みんな三々五々それぞれの作業に戻っていく。


 さて、今度はアイアンハートアローを売却だ。

 これはユニーク装備というボスドロップでかなり強い。

 現状では最強装備だが問題は弓職専用なので、使いどころが限られる。

 とりあえず11,000ptでバザールに置いておこう。

 ははは、これ一個で1万円なり。

 売れるといいな。誰か買ってくれ。


「あーあ、ウルさんの弓、かわいかったのに」

「いいのいいの、もっとかっちょいいの買うからな」

「うんっ」


 ちょっと寂しそうな表情をしたハズキさんだったがすぐに笑顔になってくれた。

 うんうん。

 このハズキさんのスマイルを見るためにゲームして働いていると言っても過言ではない。

 自分のためだったはずだが、もうハズキさんなしでは考えられないな。


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