「鍛冶屋さんのお手伝いですぅ」
「そそそ。掃除とかだけど」
「頼んだよぉ~若いの」
村の鍛冶屋さんだった。
暑いというか熱い部屋の中で、黙々と掃除をする。
結構きつい。
たらたら汗が出てくる。こんなもんまで実装されてるのか。
あ、でも温泉とか入ったら気持ちいいかもしれない。
床の溜まった埃を延々と掃除していく。
「ふぅ、終わりました」
「お疲れさん、はい、お駄賃。いらないかもしれないけど、売ればけっこう高いよ」
「へぇ、なんです」
「カイサス・アイアンハンマーね!」
「お、おうおおお」
●カイサス・アイアンハンマー
ランク:B
品質:良品
装備条件:Lv10
補正:
ATK+10
耐久:50/50
鉄でできたハンマー。鍛冶で使える。
<鑑定Lv1結果>明工、カイサスの逸品だ。
なんか高そう。やったこれだよこれ。
「二人で一個しかないけど、ごめんな」
「い、いえ。換金したら分けるので」
「そうしてくれ、すまんな」
「ウルさん、ハンマー貰えてよかったね!」
「ああ、ハズキさん後で分けような」
「うん!」
このハズキさんの笑顔が一番の報酬だよなぁ。
次でさ、最後かな。
村の薬師のおばあさんの家を訪ねる。
「薬草、そうじゃの、タバレラ草を探してきてほしいじゃ」
「タバレラ草ですか?」
「なかなか生えておらんでな。森よりも光が当たる、村の中のほうが生えてたりするんじゃが」
「なるほど」
雑草抜きの中にはなかったかなとストレージを確認して見るも、見つからなかった。
「ハズキさん、探す?」
「うん、誰か薬草が必要な人がいるなら、放っておけないし」
「そっか」
ハズキさん、さすが頭が回るし優しいな。
俺とハズキさんは少し離れて二列になり村の中をあちこち探して歩く。
見つからない。
全然見つからないわ。
見た目は、モミジみたいは葉っぱらしいので、あればすぐわかると思うんだけど。
こう五芒星みたいな形というかヒトデ型というか、そういう感じらしいのだけど。
「全然ないね」
「うん」
「まぁ、頑張ってさがしまっしょい!」
「ほーい」
ハズキさんに励まされて再開する。
そして夕方になり……。
「あ、モミジ、あった、あったぞ」
「本当だ! ウルさんナイス」
「あ、ああ」
ついに見つけました。
「ウルさん、やったああ」
ハズキさんがうれしさのあまり、抱き着いてくる。
なんだかいい匂いがして柔らかい。
俺もなんだかうれしくなる。
「えへへ」
「あっああ……」
二人してテレテレして、そうしてなんとか息を整える。
採取して名称を確認、タバレラ草。確かに。
急いでおばあさんの家まで走って向かった。
「おばあさん、見つけましたよ。タバレラ草」
「ほほほ、ありがとうですじゃ」
「いえいえ」
「それで報酬だったかね。えっとサンクチュアリ・サークルをやろう。これはちょうどペアでな。げへへ」
「ありがとうございます」
「ありがとう、おばあさん」
二人してセットのサンクチュアリ・サークルという金属製のアクセサリーを見る。
「お揃いだね」
「うん」
●サンクチュアリ・サークル
ランク:B
品質:良品
補正:
LUK+10
耐久:10/10
聖なる幸運のお守り。
<鑑定Lv1結果>幸運値がかなり上がる。ユニークレア品。
「あ、これユニーク装備だ。ここに2つしかない」
「そういうものあるんだね」
「うん」
前回のアイアンハートアローのユニーク装備の弓も関係者の間ではかなり評判になった。
他にもレア装備が眠っているのではとして、今装備を整えた人たちがゴブリンキング狩りに精を出している。
そんでもってこれである。
出品者が匿名でできるので、助かってる。
幸運補正は自分用は10%のものがあるので、これは売っちゃおうかなと思ってる。
LUK+10と10%、どっちが数値が高いかという問題はあるんだけどね。
「あの、俺は売っちゃうけど、どうする?」
「え、売っちゃうの?」
「うん。ほら四葉のクローバーもあるし」
「そういえば、そっか。じゃあ、セットで売る? 恋人とかに人気かも!」
「ハズキさん、なんちゅうことを」
「え、あっ、いひひ」
まるで俺たちがカップルみたいじゃないですか。
いや、言わないけどね、ね。
二人してテレテレして、はぁはぁなんだか顔も熱くなってくるよ。
なんなんだろうね、このゲームは。
はぁはぁはぁ。
ふぅ、やっと落ち着ていてきた。
こうして当初の目標通り、ちょっといいレアアイテムをゲットして村をあとにした。