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第26話 没落令嬢とChapter.2


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フォークロア・クエスト

【無限工房のフォークロア Chapter.2】

が発生しました。


このクエストは強制的に開始されます。


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1の続編であるChapter.2が現れたことで、いつぞやのフォークロアクエストはストーリー仕立てのクエストである……という予想はひとまず正解であっているらしい。


「――ってことはこのChapter2も1とおなじく、なにかクリアの条件があるわけで……」


ドクターとキュウを倒す──とかだろうか。

ドクターの目的は判明し、キュウも自我を失った。

つまりどちらもプレーヤー側にとって明確な“敵”になったわけだし……倒すのにこれ以上の機会はないだろう。


「ただ、そうであったとして………」


ちらりと、キュウの方を見やる。

明らかにインテリ系のドクターはともかく……どうやって倒せばいいんだろう?

正攻法じゃ絶対勝てないのはさっきのバトルが証明しちゃってる。

……何よりまたピンボールみたいに部屋中を飛び回る羽目になるのは絶対嫌だ!


ならばこそ何かアイテムを使って対処したいんだけど……。

仮眠室を軽く見渡しても、ベッド以外の家具は全部こつぜんと消えていて、なんとも殺風景なことになってしまっている。


「くっそうドクターめ……【三解】でどうこうされたらまずいからって、全部別の場所に移したわね!?」


あーもー、徹底的に対策してきてイヤになる!

キュウと1VS1で戦って強硬突破するのが正解に思えてきた!


「そうだ……! 私にはまだアレがあるじゃない!」


さっきのイベントでどさくさに手に入った【フラグメンツ・ドライブ】!

あれがとんでもなく強いスキルなら、キュウもドクターも怖くなんか──!



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フラグメンツ・ドライブ


特殊スキル。

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「こんなんよめるかーーー!!!!!」


なんで文字化けしてるんだーー!!

ちっくしょう運営めえ、こんな大切なところで大ポカしやがって!


こーなったら文句つけちゃる!

スクショ撮ってメニューから問い合わせホーム開いて……!


「……いや落ち着くのよリーズ、そういうクレームは淑女らしくないわ」


運営への恨み節なんか、今やってる時間はない。


こういう時こそマルジンさん直伝、広くものを見るべきだ。

ひとつの物事に対する視野を広く、広く。よーーく思い返すんだ。

自前でどうにかならないんだったら、もっと広く……このさい敵でも味方でも、どんなにくだらないことでもいい。


……例えばドクター。

ドクターはどうやって、このキュウの手綱を取ってた?


「……! いや、でも……仮にもモンスターにそれが効くの?」


けど、もしそうなんだったら。

これまで起きたことにスジが通る……!


「【スーサイド】・オン──」


やってみる価値は、ある!


『警告。強化系スキル使用を確認。 戦闘態勢を破棄し速やかに規定位置への帰投を命じる』


スキル発動の瞬間。

扉の前でうなだれていたキュウが起動。機械音声でガチガチのおカタ~い警告文を読み上げはじめた。


「そんなカタくなっちゃって……かわいくないわよキュウ?」


『………』


黙秘ですか。

どうやら本格的にただのロボットになってしまったらしい。


決められた言動・行動以外を返さない。

それはロボット……というか機械としては正しいものではあるけど、やっぱりキュウらしくないわよね。


「いーわよ、すぐ元に戻してあげる」


……ちょっと痛いかもしんないけど、まあピンボールみたく部屋をバウンドしていくよりはマシよ、マシ!


『警告無視、および発言の敵対性を確認──戦闘行動とみなしコード0112を適用。制圧を開始する』



━━━━━━━BOSS━━━━━━━━


 キュービック

 属性 雷


 Lv 47


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キュウはなおも歩み寄る私を敵と認定したらしい。

数分ぶりのスケスケウィンドウとともにバーニアとジェットを同時に吹かし、爆風とともに一直線で私に襲い掛かる……正直もう何度も見た動きだけれど、ステータスのせいなのか前回は最後までかわすことができなかった。


……だからまあ。

今回は真正面から受けちゃいましょうか!


「【クラックフォール】!」


火山で目覚めた殺人タックル!

格闘攻撃なんて【錬金術師】じゃあ使わないと思っていたけれど……案外使いどころがあるものだ。


さすがに勢いが違うから、これで押し勝てるまではいけない。

それでも「迫る」は「逃げる」「よける」「流す」のどれにも持ちえない利点がある!


「ここ、だあーーっ!」


それは組付ける……つまり触れるってことだ!

キュウが繰り出したパンチに真っ向からぶつかり、そのまま伸ばし切った腕とこぶしを抱えるようにつかみとる!


そして……これだけ先に言っておこう。


「なおせなかったら、ごめん──!」


たとえ、この出来事と顛末を覚えていなかったとしても。

失敗したらもう2度と会えないかもしれないんだから……!


「【分解】!」


そこから唱えたのは、完成されたアイテムを素材に戻す第2の解。

私の見立てが正しければこれで……


私の声と同時にキュウの全身は光りだし、彼をすっぽりとつつむ球体になる。

そしてその光の中に小さな球が生まれて、分かれて、分かれて。

光いっぱいにその玉がたまった頃合いで……どざーーーっと。


「うわあ……すっご」


数えるのもおっくうになるような量の機械部品となって目の前に小さな山を築いたのだった──。


━━━━━Congratulation!━━━━━━


ボスモンスターの討伐成功!



MVP:なし

ベストダメージ: なし

ラストアタック: なし


EXPを大量に獲得!


※レベル上限値のためレベルアップはできませんでした

今後の追加をおまちください


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