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第49話 フェルディナントと二人で甘み所に居るところに宰相の娘が乱入してきました

フェルディナントと王都で人気の甘み所に行く日が来た。


私はあまり行きたくはなかったんだけど、お父様とサーヤの圧に負けて行くしかなくなったのだ。

お父様からは、

「出来たらフェルディナント殿とは今後のこともあるので、できる限り仲良くなってほしい

と頼まれるし、サーヤからは

「姫様。もうフェルディナント様は姫様にメロメロですわ。ここで一発決めれば確実に姫様に落ちます」

とか言われてしまった。

私はフェルディナントではなくて白い騎士様と仲良くしたいんだけど……


私の思惑は無視されて、フェルディナントと仲良くなることが国としては大切らしい。


「でも、私は白い騎士様が好きなのに」

「わんわん」

ころちゃんは私の言葉に吠えてくれて、私の顔をペロペロなめてくれた。

「ころちゃん」

私はころちゃんを思いっきり抱きしめていた。



フェルディナントは約束の時間通りに部屋に迎えに来てくれた。

「カーラ様、今日はこちらのバラを」

そう言って差し出したバラは六本だった。


花言葉はあなたに夢中。

本当にフェルディナントはキザだ。

私はサーヤにバラを渡した。


そして、私はフェルディナントのエスコートで馬車に乗った。

腕にころちゃんを抱えて……

ころちゃんはなんか今日はフェルディナントを睨み付けていた。


「カーラ様。今日の銀色のドレスもとてもきれいですよ。銀の妖精のようです」

早速フェルディナントは歯の浮いたような台詞で衣装を褒めてくれた。

相当、褒めるのも慣れているみたいだ。


「今日の店はフルーツパフェで有名なんです」

「フルーツパフェですか?」

私はそれがどういうものか知らなかった。


「季節のフルーツがアイスクリームやクリームで盛り付けられたデザートなんです」

「そうなんですね。でも、クリームとかたくさん入っていると、ころちゃんは食べられませんね」

私は残念そうに言った。

「うーーーー」

ころちゃんも悲しそうにした。


「その点は大丈夫です。店の方には犬を連れて行くことは伝えてありますのもで、犬用のデザートも準備してあるはずです」

「そうなのですか? ありがとうございます、フェルディナント様。ころちゃん良かったね」

「わん」

私の問いかけにころちゃんは嬉しそうに尻尾を振ってくれた。


「それと建物の外観がとても可愛いのですよ」

「本当ですか?」

「ええ」

「どんな形なんですか?」

「それは着くまでの秘密です。」

フェルディナントは笑って教えてくれなかった。

そう言われるととても気になる。

私はキョロキョロとそれらしい建物を探した。

「カーラ様。もう少し先ですよ」

「そうなんですか」

私はがっかりした。


「うーん、もう少しですから、我慢してください」

「ころちゃん、どんな形なんだろうね」

「うーーーー」

でもころちゃんはあまり興味がないみたいだ。

私の胸の中で寝だしたんだけど……

私は仕方なしに、ころちゃんの頭を撫でた。

「くーーーーん」

ころちゃんは幸せそうな顔をした。

「可愛い」

私はぎゅっところちゃんを抱きしめた。


「そうするカーラ様もとても可愛いですよ」

フェルディナントが前の席から言ってくれた。

「可愛いって子供に見えるということですか?」

私が少しむっとして言うと

「まさか、どう言ったら良いのかな、とてもキュートに見えるって言えば良いんでしょうか」

うーん、なんかフェルディナントに外語語を使って誤魔化されたような気がする。


「あっ、カーラ様。見えてきましたよ」

それはタケノコの形をしていた建物だった。

可愛いというのとは少し違うような気がするんだけど……


「ね、カーラ様。可愛いでしょ」

「そうですね」

私は無難に頷いていた。


「いらつしやいませ。フェル様」

支配人らしき男が馬車の前で迎えてくれた。偽名で予約しているみたいだ。

フェルディナントが最初に降りて、私をエスコートして降ろしてくれた。


「こちらでございます。お二階の個室をご用意しておりますから」

支配人が二階に案内してくれた。


中は完全な個室だった。

「わん」

ころちゃんが目を覚まして吠えてくれた。

「フルーツパフェで宜しいですか」

フェルディナントが聞いてくれた。私はよく判らないので頷いた。

「後、子犬用のデザートを」

「わん!」

フェルディナントの声にころちゃんが喜んで吠えていた。

私はあっさりと買収されてたころちゃんを白い目で見た。


「くーーーー」

途端にころちゃんは尻尾を垂らしてうなだれるんだけど……

ころちゃんは少し単純すぎるんじゃないだろうか?

私は少し呆れてしまった。


でも、そんな時だ。


「わんわん」

いきなりころちゃんが外に向けて吠えだしたのだ。

何事だろうと外を見ると、


「ちょっと困ります」

支配人の声が聞こえた


「あなた、私に逆らうの? ここに私の婚約者の方が来ていると聞いたのよ」

この声は聞いたことがある声だ。でも何故ここに?

私が不審そうにフェルディナントを見るとフェルディナントは首を振ったのだ。


「いえ、しかし、ここにはいらっしゃらないかと」

「何を言っているのよ。いるのは判っているんだから」

そう言って強引に扉が開けられたのだ。


「まあ、フェルディナント様とカーラ様ではありませんか」

そこには怒り顔のアレイダがいたのだった。


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